報道発表資料
平成21年5月11日(月)から15日(金)まで、第2回国際化学物質管理会議(ICCM2)がスイスのジュネーブにおいて開催されました。この会議では、2020年までに化学物質が人の健康・環境への影響が最小となるような方法で生産・使用されることを目標とした「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」(SAICM)の実施状況がレビューされ、ナノ材料の安全性等の課題への各国政府や国際機関等の対応について検討がなされました。今後、これらの課題について、各国政府、国際機関、産業界等は、関連する情報の収集や共有等を進めるとともに、対応を強化していくこととなります。
次回会合は平成24年に開催される予定であり、その準備のための作業部会が平成23年に開催される予定です。
I 会合結果
- 1.会合の概要
- 日時:平成21年5月11日(月)から15日(金)
開催地:スイス・ジュネーブ
会合の目的:
・2020年までに化学物質が人の健康・環境への影響が最小となるような方法で生産・使用されることを目標とした「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」(SAICM)の実施状況のレビュー
・ナノ材料の安全性等の課題への対応
・SAICM実施のための財政措置のあり方 等 - 2.主な会合結果
(1).会合の議長団(議長及び副議長) - 議長:イワン・アルジェン氏(スロベニア保健省事務次官)(中東欧代表)
副議長アジア太平洋地域代表(書記を兼務):日本(環境省化学物質審査室戸田室長)
ラテンアメリカ地域代表:チリ
アフリカ地域代表:セネガル
西欧等代表:スペイン なお、会合の議長団の任期は第3回国際化学物質管理会議(ICCM3)終了時まで。この議長団がICCM3までの間に開催される作業部会においても議長団を務める。 - (2)SAICM実施状況のレビュー
- SAICMの実施状況については、実施のための着実な努力が進められている一方、途上国ではなおも実施のための能力が欠如しており、経済的・技術的支援が必要との指摘が途上国等からなされた。また、人の健康や動植物への影響、管理方法等に関連する情報へのアクセスをさらに向上させるべきとの意見もみられた。
このため、財政措置や「新規の課題」の議論において係る点が考慮されることとなった。 - (3)「新規の課題」
- ナノテクノロジー及びナノ材料、製品中化学物質、e-Waste及び塗料中鉛のそれぞれについて、ICCM3に向けた、各国、国際機関及び関係者の検討事項についての決定が行われた。また、今後のICCMにおける「新規の課題」の選定方法についても決定された。
なお、これら新規の課題の検討の成果については、平成23年を目途に作業部会が開催され、進捗状況の検討等がなされ、議論の上、ICCM3での検討に付される。 - [1] ナノテクノロジー及び工業用ナノ材料
- ナノテクノロジー及び工業用ナノ材料のベネフィット及びリスクに対応するための途上国等の能力向上、各国政府及び産業界による人の健康及び環境保全のための行動の促進、ベネフィット及びリスク双方をよりよく理解するための研究の促進、公衆のためのセミナーの開催、情報へのアクセスの改善等に関する各国の施策の強化等が決定された。
- [2]製品中化学物質
- 既存情報システムに関する情報の収集・整理及び評価、今後の活動のための提案の検討を行うこととし、UNEPがこの作業をリードし、ワークショップを開催することとなった。また、UNEPの検討に助言を行う運営委員会が設置され、世界各地域からの専門家、国際機関及びNGOの代表が今後推薦されることとなった。
- [3]e-Waste
- 電化製品のライフサイクルを通じた化学物質の管理に着目した活動が必要との観点から、バーゼル条約等の関連機関と連携し、将来活動について検討するためのワークショップが開催されることとなった。
- [4]塗料中鉛
- G8環境大臣会合においても子どもの環境保健に関連して言及された課題であり、既に提唱されているグローバルパートナーシップ活動において、関係者の意識向上、鉛ばく露の可能性の検討などを行うことを要請することとなった。
- (4)将来の「新規の課題」の選定
- 将来のICCMで検討される「新規の課題」を選定するプロセスについても検討がなされた。提案者はICCM開催の18ヶ月前までに案を提出することとされた。
- (5)作業部会
- 次回ICCMまでに関係作業の進捗状況等を検討するため、平成23年に作業部会が開催される予定。
- (6)SAICM実施のための財政措置のあり方
- 途上国におけるSAICM実施を支援するためにSAICM事務局に設置された信託基金については、平成25年まで設置期間を延長することとされた。また、世銀等の機関やGEFに対して関係活動の拡大を検討するよう呼びかけることとなった。
なお、SAICMへの日本の貢献が評価され、他国とともにUNEPから表彰された。 - (7)その他
[1]ペルフルオロ化合物(PFOS,PFOA等を含む)に関する決定 - 米国の提案により、ペルフルオロ化合物を含む製品に関する情報交換についての各国及び国際での活動拡大等が決定された。
- [2]地域代表
- 各地域の地域代表が交代した。これまで日本(環境省戸田室長)が務めたアジア太平洋地域代表については、今次会合終了時からインドが務めることとなった。
新たな地域代表は、米国、インド、ジャマイカ、ポーランド及びザンビア。
II.今後の対応
我が国は、化学物質管理のための国際協調に積極的に関与していくこととしており、ICCM2の副議長を務めた国として、アジア太平洋地域グループ及び他地域グループ、事務局等と緊密に連携し、検討を促進するとともに、国内においてもSAICM国内実施計画の策定及びSAICMに位置づけられた各種施策の着実な実施を進める。
添付資料
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
課長:木村 博承(内線6350)
課長補佐:瀬川 恵子(内線6353)
係長:栗栖 雅宜(内線6360)
担当:寺井 徹(内線 6356)
関連情報
過去の報道発表資料
- 平成18年2月7日
- 「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ」の採択について
- 平成18年1月31日
- 国際化学物質管理会議の開催について