報道発表資料
1. 背景・目的
残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約(以下「POPs条約」という。)は、ポリ塩化ビフェニル(PCB)などのPOPsによる地球規模の汚染を防止することを目的として、平成13年に採択され、平成16年5月17日から発効しています。
この条約では、締約国に対し、POPsの製造等の規制に加え、ヒト及び環境中におけるPOPsの存在状況を明らかにするために国内及び国際的な環境モニタリングを実施すること(第11条)、モニタリングデータなどを活用した条約の対策面での有効性の評価を行うこと(第16条)が規定されています。
環境省では、平成14年度から東アジア地域における国際協力によるモニタリング体制の構築及びPOPs条約の有効性評価に資するための継続的なデータ収集の円滑な実施を目的として、ワークショップを開催しています。
2. ワークショップの概要
(1)日時
令和2年1月29日(水)~1月31日(金)
(2)場所
バンコク(タイ)
(3)主催
環境省
(4)協力
タイ天然資源環境省
(5)参加者
・ 東アジア地域9か国(カンボジア、インドネシア、韓国、ラオス、マレーシア、モンゴル、タイ、ベ
トナム、日本)政府の実務担当者
・ 国連環境計画(UNEP)、バーゼル・ロッテルダム・ストックホルム条約事務局、スウェーデン オ
レブロ大学、及び日本の専門家
(6)主な内容
本ワークショップは、袖野玲子芝浦工業大学システム理工学部教授と柴田康行国立環境研究所フェローを
共同議長として、以下の内容について話し合われました。
① 国連環境計画/地球環境ファシリティ(UNEP/GEF)プロジェクトとの連携について
GEF資金を用いてPOPsモニタリングを支援するUNEP/GEFプロジェクト(リード国:ベトナム)が平
成28年から開始されたことから、関係国の取組状況について情報交換するとともに、今後の東アジアPOPs
モニタリングプロジェクトとの連携のあり方等について意見交換が行われました。
② POPs条約の有効性評価について
次期有効性評価を支援する第3回グローバルモニタリング計画の動向に関する情報共有や、そのベースと
なる、アジア太平洋地域における報告書取りまとめに向けた進め方について意見交換が行われました。
③ データウェアハウスについて
POPsモニタリングデータを集約し活用するために構築しているデータウェアハウスの現状等について、
バーゼル・ロッテルダム・ストックホルム条約事務局及び韓国からそれぞれ現状について情報共有がなさ
れ、今後のあり方等について意見交換が行われました。
④ 東アジアPOPsモニタリングの結果と今後のモニタリング計画について
特定の汚染源の影響を受けない地点として指定された重点調査地域(辺戸岬(沖縄県)及び済州島(韓
国))並びに参加国におけるモニタリングの取組み状況や結果等について報告がなされました。また、重点
調査地域におけるモニタリングについては、引き続き日本(辺戸岬)及び韓国(済州島)において行うこと
が了承されました。
東アジア地域において日本がサンプリングと分析を支援する協力モニタリングについては、2020年度は
モンゴルで実施することを確認すると共に、2021年にはカンボジアとベトナムにて実施するための調整を
進めることとなりました。
⑤ 将来的な東アジアPOPsモニタリングプロジェクトの枠組について
東アジア地域でのPOPsモニタリングを持続可能な形で継続・強化させていくために、日本及び韓国に続
く中核的な役割を担う研究機関をいくつか定め、独立して試料採取から分析まで実施できる体制を整えてい
くことについて議論が行われました。今後、日本及び韓国に加え、新たにフィリピン及びタイがその候補国
とされていることが事務局より報告され、今後、この活動内容を明確にしていくことが議論されました。
このような取組を介して、東アジア地域全体のPOPsモニタリング能力が効率的に向上していくことが
期待されます。
なお、議長総括及びその和訳については、28日までに環境省ウェブサイト(https://www.env.go.jp/chemi/pops/eaws.html)に掲載する予定です。
連絡先
環境省大臣官房環境保健部環境安全課
- 代表03-3581-3351
- 直通03-5521-8261
- 課長太田 志津子(内線 6350)
- 保健専門官水谷 玲子(内線 6361)
- 担当竹本 法博(内線 6355)