報道発表資料

平成27年2月16日
地球環境
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強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会第2回会合第8セッション(ADP2-8)の結果について(お知らせ)

2月8日~13日、スイス・ジュネーブにおいて、国連気候変動枠組条約の下の「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」第2回会合第8セッションが行われたところ、概要は以下のとおり。我が国から、外務・経済産業・環境・農林水産・国土交通各省関係者が出席した。
(注)ADPは、2011年末に南アフリカ・ダーバンで開催された第17回気候変動枠組条約締約国会議(COP17)での決定を受け設置されたもの。(1)2015年に採択される予定の、全ての国に適用される2020年以降の新しい法的枠組み(以下「2015年合意」という。)(ワークストリーム1)及び(2)2020年までの緩和の野心の向上(ワークストリーム2)について議論を行う。

1.2015年合意についての議論(ワークストリーム1)

昨年12月にペルー・リマで開催されたCOP20の決定において、同決定の添付文書である「交渉テキスト案の要素」をCOP20の成果として認識し、本年5月前に「交渉テキスト」を作成することを目指し、作業を加速化させることが決定された。今次会合は、5月前に開催される最後のADPセッションであり、会合の最終日(13日)に交渉テキスト案を作成する予定とされていた。

(1)2015年合意に関する交渉

(ア)今次会合では、まず、「交渉テキスト案の要素」を踏まえ、セクション(A:前文、B:定義、C:総則/目的、D:緩和、E:適応及び損失と損害(ロス・アンド・ダメージ)、G:資金、H:技術開発・移転、I:キャパシティ・ビルディング、J:行動と支援の透明性、K:目標の周期及びプロセス、L:実施の促進及び遵守、M:手続・組織事項)ごとに、交渉テキスト案の要素に盛り込まれていない事項のみについて、各国からの追加提案が受け付けられた。その後、当該文書をどのように簡素化するかについて各国が意見を述べ、これに基づき実際に簡素化のための作業を行うのは次回会合とされた。

(イ)さらに、2015年合意の「構造」や、各国から様々な提案がなされている目標の周期、市場メカニズムといった個別テーマに焦点を当てた議論も行われた。「構造」については、多くの国が現在の文書の構造は最終的な合意の構造を予断しないと述べた。また、多くの先進国が、2015年合意はすべての国に適用され、気候変動枠組条約の附属書に基づく先進国・途上国の差異化を含めないものとなるべき、2015年合意の核となるのは緩和に向けた各国の取組であり、緩和に関する目標の周期が必要であること等を主張した。一方、一部の途上国は、気候変動枠組条約の附属書に基づく差異化が2020年以降も継続する、先進国が一定の周期に基づいて緩和に関する目標の提出、資金提供の義務を負うべきと主張した。

 2015年合意の中核となる法的合意とそれに関連するCOP決定にそれぞれどのような内容を含めるべきかについても議論された。この中で、先進国は永続的なものは法的合意に、時間の経過とともに柔軟に発展させるべきものはCOP決定に含めるべきであり、重要性の違いではないと主張した。一方、多くの途上国は、本件を議論するのは時期尚早として意見を示さなかった。

(ウ)目標を提出する周期については、10年を主張する国と5年を主張する国とで分かれ、加えて、5年ごとのレビューを行う案や目標年を5年後とし10年後の参照目標も提出する案等が提示された。また、多くの途上国が、緩和に限らず、適応や資金も同様に目標に関する周期を設定するべきと主張した。

(エ)市場メカニズムについては、先進国と途上国を含む多くの国が、経験から学びつつ今後も目標の達成に市場メカニズムを活用することは有益であると主張したが、一方でその活用に反対する国もあった。また、2015年合意の下で定めるべきルールの内容、国連の関与のあり方、対象とするセクター、既存の京都メカニズムの取扱い等について議論が行われた。

(オ)こうした議論を踏まえ、12日の夜に交渉テキスト案(「ジュネーブテキスト」)がホームページ上に掲載され、翌13日の閉会会合において、今後、当該文書を交渉テキストとして事務局が編集し、国連公用語に翻訳の上、3月中に締約国に配布されることが決定した。

(2)我が国の立場

(ア)我が国は、新たな枠組みは全ての国が参加する公平かつ実効的なものであるべき、2015年合意において、各国は①定量化可能な目標の提出、②目標達成に向けた対策措置の実施、③実施状況のレビューを受けること、の3点について義務を負うべき、と主張した。

(イ)適応については、緩和とは性質の異なるものであることに鑑み、各国が適応を国家開発計画等に統合し、適応計画プロセスに着手し、適応行動をとるべき、資金については、先進国のみならず全ての責任と能力のある国による資金支援を奨励すべき、といった点を法的合意に含めることが考えられると主張した。

(ウ)市場メカニズム(我が国の進めている二国間クレジット制度(JCM)を含む)については、各国が目標の達成において、様々な市場メカニズムを適切に活用するよう、クレジットの二重計上防止を含む各国共通の計上ルールを構築していくべきと主張した。また、土地セクターについては、各国の国内事情を踏まえ行動にインセンティブを与えることや、既存のアプローチの活用が望ましいことを主張した。

(エ)目標の周期については、目標の終了年を2030年とする10年間の周期が好ましいと考える一方、5年毎の中間レビューを設けるという折衷案も検討しうるため、周期を中間レビューとともに10年毎に設定することを支持する、このレビューは各締約国の目標に対する明確性、透明性、理解、比較可能性を促進することが目的である旨主張した。

2.2020年までの緩和の野心向上(ワークストリーム2:WS2)

 10日及び12日に2020年までの野心向上、及びそのためにCOP20決定においてADPに要請された、「技術的検討プロセス」の推進に関する議論が行われた。

先進国及び途上国の両方からWS2の取組の重要性が述べられた。途上国からは、改正京都議定書の批准が進んでいないこと、支援の提供についてギャップがあること、先進国の削減目標の野心が不足していることなどの主張があった。先進国からは、WS2における昨年からの成果を強調するとともに、先進国及び途上国の双方が着実に2020年までの取組を進めつつ、技術的検討プロセスを着実に実施していくことが重要であること、野心向上に向けては既存の仕組みを活用が重要であること、資金に関しては民間資金の活用が重要であるとの主張がなされた。

また、「技術的検討プロセス」については、主に、①削減効果の高い取組を実施に移すために「技術的検討プロセス」はどう貢献できるか、②これまでの経験に基づき、2015 年の「技術的検討プロセス」の活動をどう強化するか、③国以外のアクターの活動に関する情報共有をどう促進すべきかについて、国際機関からの発表と締約国との議論が行われた。

さらに、今後の技術専門家会合(TEM)の具体的なテーマ等について議論が行われた。会合の最終日に事務局から本会合の概要が発表され、今回の会合を受けて今後の計画が4月までに発表される予定。

3.他国やステークホルダー等との対話

 様々な交渉グループに属する国々と緊密な意見交換を行うとともに、国内外のNGOとの意見交換、邦人記者に対するブリーフを行った。

4.今後のADP交渉予定

次回会合は6月1日~11日にドイツ・ボンにおいて開催される予定。また、通常の6月、12月に加えて、8月31日~9月4日及び10月19日~10月23日の2回のADP追加会合の開催が決定した。

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
直通:03-5521-8330
代表:03-3581-3351
室  長:大井 通博
室長補佐:増田 大美
係  員:村井 辰太朗

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