環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和8年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第1部>第3章 循環経済への移行に向けた取組

第3章 循環経済への移行に向けた取組

循環経済への移行は、日本の未来を拓くカギであると言えます。従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」という持続困難な経済システムである一方通行の線形経済から脱却し、廃棄物を資源として再活用し、新たな付加価値を生む経済システムへの転換が求められています。今後、世界経済が持続的に発展していくためには、循環経済への移行は不可避の流れであり、日本も例外ではない状況です。この世界的潮流の中心にいるのが静脈産業であり、我が国においても動静脈連携を強化し、全力で循環経済への移行の取組を進めていくことが重要です(図3-1-1)。

図3-1-1 線形経済から循環経済へ

2025年の主な取組として、例えば、自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアムの取組が挙げられます。本コンソーシアムは、環境省が経済産業省と連携し2024年11月に立ち上げたものです。2026年3月に、具体的な供給目標と工程表を含んだロードマップを公表しました。今後は、再生プラスチックの安定供給体制の構築に向けて、再生プラスチック集約拠点等の在り方に関する議論を進めていきます。

また、国内の再生材の質と量を確保するための施策としては、2025年11月に施行された資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律(令和6年法律第41号)が挙げられます。この制度は、製造業者等の需要に応じた再生材を供給する高度な再資源化事業の創出を目的に、廃棄物処分業者の判断の基準を定めるとともに、廃棄物の合理的な収集・運搬、再資源化、再生材の安定した供給までを行う事業等を国が一括して認定するものです。目標とする3年間で100件以上の事業認定等を通じて、国内における再生材の質と量の確保を進める事業者の取組を後押ししていきます。

さらに、国内外での循環資源の回収拡大と再資源化を通じた再生材供給サプライチェーンの強靱化に向けた取組を進めています。資源循環ネットワーク形成・拠点構築に関する提言が、環境省が設置した有識者検討会において取りまとめられました。本検討会の下で、環境省では、鉄・非鉄金属・プラスチック等の10種類の資源と国内2地域を対象として、資源循環の現状、課題やニーズを洗い出しました。今回の調査により、循環資源の海外流出や、再生材市場が未成熟なため必要な投資が国内で進んでいないという状況が明らかとなりました。この調査を基に、国内循環の促進支援、資源循環業の規模拡大や効率性の向上といった対策の方向性についての提言が整理されました。今後、資源循環産業から製造業に安定的な質・量の再生材を供給するため、サプライチェーン上の各種拠点にかかる整備の集約化・高度化を行うための関連設備導入や実証事業の支援を行うべく取組を進めています。

地域の資源循環基盤の強化に向けた取組も進展しました。具体的には、「資源循環自治体フォーラム」を活用した先進事例の共有、自治体・企業・スタートアップ等のマッチングを全国で取り組みました。2025年9月の大阪における全国版の開催を皮切りに、全国7地域で開催しました。現地とWeb合わせて2,000名を超える方に参加いただき、機運の醸成につながりました。さらに、自治体に対して先進事例に取り組むマイスターによる資源循環に関する現状評価やポテンシャル診断を行うとともに、ビジョン作成やモデル実証事業を支援し、新規ビジネスの創出を進めています。創出されたビジネスの実装に向け、自治体、地元企業、地域住民が連携した体制構築と継続的なフォローアップを実施しています。あわせて、こうした資源循環の取組を先導する中核人材の育成を推進し、全国的な循環経済への移行を促進しています。