環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第6章>第6節 環境情報の整備と提供・広報の充実

第6節 環境情報の整備と提供・広報の充実

1 EBPM推進のための環境情報の整備

政府(国、地方公共団体等)、市場(企業等)、国民(市民社会、地域コミュニティを含む。)の共進化には、環境情報の充実、公開が基盤となります。このため、企業の経営や活動に関する環境情報(例:気候変動や自然関連の財務情報、サプライチェーン全体でのGHG排出量)や、地域計画・国土利用に関する環境情報(例:再生可能エネルギー導入ポテンシャル・生態系情報)等について、見える化し、各主体が利用可能な形に整備します。また、これらの環境情報に加え、環境関連の統計情報については、「統計改革推進会議最終取りまとめ」(2017年5月統計改革推進会議決定)及び「公的統計の整備に関する基本的な計画」(2023年3月閣議決定)等に基づき、客観的な証拠に基づく政策の立案(EBPM)に資するよう、環境行政の政策立案に必要な統計データ等の着実な整備を進めるとともに、統計ユーザー等にとってアクセスしやすく、利便性の高いものとなるよう、ユーザー視点に立った統計データの改善・充実を進めます。

2 利用者ニーズに応じた情報の提供

国、地方公共団体、事業者等が保有する官民データの相互の利活用を促進するため、「オープンデータ基本指針」(2017年5月高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議決定 2021年6月改正)等に基づき、環境情報に関するオープンデータの取組を強化します。また、各主体のパートナーシップを充実・強化し、市民の環境政策への参画や持続可能なライフスタイルへの転換等を促進するため、情報の信頼性や正確性を確保しつつ、SNSやAI等のデジタル技術を活用しながら、いつでも、どこでも、分かりやすい形で環境情報を入手できるよう、利用者のニーズに応じて適時に利用できる情報の提供を進めます。加えて、「デコ活」による脱炭素型の製品・サービスに関する情報提供等を通じ、消費者の行動変容を促します。

3 利用可能な最良の客観的な証拠に基づく政策立案の実施

政策立案の根拠としては、ランダム化比較試験等の頑健な効果検証の手法により得られた、因果関係の確からしい科学的知見等の客観的な証拠を参照することが望ましいです。上記の環境情報の整備や提供に当たっては、証拠としての質(エビデンスレベル)に留意することとします。一方で、常に質の高い証拠が得られるとは限らないため、そのような場合においては、根拠が得られた諸条件や内的及び外的妥当性等に留意しつつ、その時点で得られる最良の客観的な証拠(Best Available Evidence)を踏まえるとともに、「予防的な取組方法」の考え方に基づいて政策を立案することが重要です。