環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和6年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第6章>第4節 国際的取組に係る施策

第4節 国際的取組に係る施策

1 地球環境保全等に関する国際協力の推進

(1)質の高い環境インフラの普及

「インフラシステム海外展開戦略2025」(令和5年6月追補版)に基づき、質の高い環境インフラの海外展開を進め、途上国の環境改善及び気候変動対策を促進するとともに、我が国の経済成長にも貢献します。

また、環境インフラ海外展開プラットフォーム(JPRSI)を活用し、環境インフラのトータルソリューションを官民連携で海外に提供するとともに、脱炭素社会実現のための都市間連携に係る取組や二国間クレジット制度(JCM)を通じて、環境インフラの海外展開を一層強力に促進します。

さらに、海外での案件においても適切な環境配慮がなされるよう、我が国の環境影響評価に関する知見を活かした諸外国への協力支援によって、環境問題が改善に向かうよう努めます。

(2)地域/国際機関との連携・協力

相手国・組織に応じた戦略的な連携や協力を行います。具体的には、各国と政策対話等を通じた連携・協力を深化させるとともに、G7、ASEAN、太平洋島嶼国、中央アジア、南アジア、アフリカ諸国等の気候変動・環境対策の各分野及びその統合的な実施において我が国からの貢献を行い、これらの国々、地域とのパートナーシップ強化にもつなげます。

さらに、日ASEAN友好協力50周年を契機として発足した「日ASEAN気候環境戦略プログラム(SPACE)」を始め、日中韓、ASEAN、東アジア首脳会議(EAS)等の地域間枠組に基づく環境大臣会合に積極的に貢献するとともに、国連環境計画(UNEP)、経済協力開発機構(OECD)、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、生物多様性条約(CBD)、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)、アジア開発銀行(ADB)、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)、国際連合経済社会局(UNDESA)、アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)等の国際機関等との連携を進めます。

(3)多国間資金や民間資金の積極的活用

多国間資金については、特に、緑の気候基金(GCF)及び地球環境ファシリティ(GEF)に対する貢献を行うほか、JCMプロジェクト形成のためのADBや国連工業開発機関(UNIDO)に対する拠出金を活用して、優れた脱炭素技術の普及支援を行います。また、民間資金の動員を拡大するため、国際開発金融機関等との連携強化や企業の透明性の向上など環境インフラやプロジェクトの投資促進に向けた取組を支援します。

(4)国際的な各主体間のネットワークの充実・強化
ア 自治体間の連携

我が国の自治体が国際的に行う自治体間連携の取組を支援し、自治体間の相互学習を通じた能力開発を促します。また、日本の自治体が有する経験・ノウハウを活用し、都市レベルでの脱炭素社会の構築に向けた制度構築支援や、二国間クレジット制度(JCM)による排出削減プロジェクトにつながる取組を支援します。

イ 市民レベルでの連携

持続可能な社会を形成していくためには、国や企業だけではなくNGO・NPOを含む市民社会とのパートナーシップの構築が重要です。このため、市民社会が有する情報・知見を共有し発信するような取組や、NGO・NPO等の実施する環境保全活動に対する支援を引き続き実施します。

(5)国際的な枠組みにおける主導的役割

JCMを含め、パリ協定第6条に沿った市場メカニズムによる「質の高い炭素市場」を構築するため、「パリ協定6条実施パートナーシップ」を通じ、パリ協定第6条を実施するための各国の理解や体制の構築を促進するとともに、各国の体制整備等を支援する目的でCOP28において公表したパッケージを通じ、世界の温室効果ガス排出の更なる削減に貢献します。

G20大阪サミットでの「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の共有、G7広島サミットでの2040年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心の合意を主導した我が国として、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた政府間交渉委員会(INC)等の国際交渉において主導的な役割を果たしていきます。

この他、有効性評価等、水銀に関する水俣条約の実施を水銀対策先進国として積極的にリードし、我が国が持つ技術や知見を活用しつつ国際機関とも連携して、途上国を始めとする各国の条約実施に貢献するとともに、化学物質、廃棄物、汚染分野に係る科学・政策パネルの設立交渉において、合意形成への貢献を行います。