GFCの戦略目標Cでは、懸念課題の特定、優先化、対応を順次進めていくことが掲げられています。この目標達成に向けた取組の一環として、人の健康の保護の観点から、その目標値や基準、管理の在り方等に関し国際的にも様々な科学的な議論が行われ、社会的に関心が高まっているPFASについては、引き続きエコチル調査において健康影響に関する知見を集めるとともに、一般的な国民への化学物質のばく露の状況を把握するための血中濃度調査の検討や環境モニタリングを実施します。得られた成果は必要に応じて関係省庁及び地方自治体等に周知・共有し、化学物質管理施策につなげられるよう連携を行います。
化学物質の内分泌かく乱作用については、EXTEND2022の下で、用いるべき試験法を完成させ、確立された新しい試験法を用いた試験・評価に乗り出すことも含め試験・評価の加速化を図ります。
欧米で研究が進む新たな評価手法(NAMs)について、我が国においても研究開発を推進し、各法令・制度における適切な活用方策を検討します。また、QSAR、トキシコゲノミクス等の新たな評価手法の開発・活用については、海外で検討が進んでいる有害性発現経路(AOP)も含め、OECDにおける取組に積極的に参加し、またその成果を活用しつつ、我が国においても、これら評価手法の開発・活用に向けた検討を引き続き精力的に推進します。
複数化学物質の影響評価(いわゆる「複合影響評価」)について、物質の構造の類似性や作用機序の同一性に着目しつつ、知見の収集及び試行的評価の実施を進め、環境行政として化学物質の複合影響評価を行う上でのガイダンスを作成します。複合影響評価の推進に向けて、これらの知見を既存のリスク評価体系に提供します。
ナノマテリアルについては、OECD等の取組に積極的に参加しつつ、その環境リスクに関する知見の集積を図り、OECDが取り上げたアドバンストマテリアル等の新たな懸念物質群についても、知見の充実に努めます。
環境中に存在する医薬品等(PPCPs)については、環境中の生物に及ぼす影響に着目して生態毒性及び存在状況に関する知見を充実し、環境リスク評価を進めます。
薬剤耐性(AMR)に関して、ワンヘルスの観点からG7札幌 気候・エネルギー環境大臣会合(2023年)の共同コミュニケにおいて知見の空白を埋める努力を続けることが明記されたことなどを踏まえ、環境中における抗微生物剤の残留状況に関する基礎情報の収集、人の健康及び環境中の生物に及ぼす影響に着目した調査を推進します。
プラスチック添加剤等の化学物質による汚染については、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた政府間交渉委員会(INC)等の議論の動向を注視し、適宜適切に対応します。