地盤沈下は、地下水の過剰な採取により地下水位が低下し、粘性土層が収縮するために生じます。2022年度に地盤沈下観測のための測量が実施された22都道府県30地域の沈下の状況は、図4-5-1のとおりでした。
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2022年度の地盤沈下の経年変化は図4-5-2に示すとおりであり、2022年度までに地盤沈下が認められている地域は39都道府県64地域です。かつて著しい地盤沈下を示した東京都区部、大阪府大阪市、愛知県名古屋市等では、地下水採取規制等の結果、長期的には地盤沈下は沈静化の傾向をたどっています。しかし、消融雪地下水採取地、水溶性天然ガス溶存地下水採取地など、一部地域では依然として地盤沈下が発生しています。
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長年継続した地盤沈下により、建造物、治水施設、港湾施設、農地等に被害が生じた地域も多く、海抜ゼロメートル地域等では洪水、高潮、津波等による甚大な災害の危険性のある地域も少なくありません。
地盤沈下の防止のため、工業用水法(昭和31年法律第146号)及び建築物用地下水の採取の規制に関する法律(昭和37年法律第100号)に基づく地下水採取規制の適切な運用を図りました。
雨水浸透ますの設置など、地下水かん養の促進等による健全な水循環の確保に資する事業に対して補助を実施しました。
濃尾平野、筑後・佐賀平野及び関東平野北部の3地域については、地盤沈下防止の施策の円滑な実施を図るため、協議会において情報交換を行いました。
持続可能な地下水の保全と利用の方策として、「地下水保全」ガイドライン及び事例集の周知を図りました。また、全国の地盤沈下に関する測量情報を取りまとめた「全国の地盤沈下地域の概況」及び代表的な地下水位の状況や地下水採取規制に関する条例等の各種情報を整理した「全国地盤環境情報ディレクトリ」を公表しています。
地下水・地盤環境の保全に留意しつつ地中熱利用の普及を促進するため、「地中熱利用にあたってのガイドライン(令和5年3月改訂)」及び一般・子供向けのパンフレットや動画で周知を図りました。