環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第6章>第4節 国際的取組に係る施策

第4節 国際的取組に係る施策

1 地球環境保全等に関する国際協力の推進

(1)質の高い環境インフラの普及
ア 環境インフラの海外展開

2020年7月に発表した「インフラ海外展開に関する新戦略の骨子」において、石炭火力発電輸出の厳格化の方針が示されるとともに、質の高いインフラの一つとして「環境性能の高いインフラ」が明記されました。また、同年12月には、「インフラシステム海外展開戦略2025」が策定され、戦略の目的の3本柱のうち二つに「カーボンニュートラル、デジタル変革への対応等を通じた、産業競争力の向上による経済成長の実現」と「展開国の社会課題解決・SDGs達成への貢献」が位置付けられ、脱炭素と環境がインフラ政策の中核に加わり、これらの実現に向けて、相手国のニーズも踏まえ、実質的な排出削減につながる「脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援」を推進することになりました。具体的には、環境インフラの海外展開を積極的に取り組む民間企業等の活動を後押しする枠組みとして、2020年9月に環境インフラ海外展開プラットフォーム(JPRSI)を立ち上げました。本プラットフォームに約350団体が参加し、ウェブサイトやセミナーを通じて、環境インフラの海外展開に関する事例紹介や、知見・ノウハウの共有等を行いました。

イ 技術協力

独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じた研修員の受入れ、専門家の派遣、技術協力プロジェクトなど、我が国の技術・知識・経験を活かし、開発途上国の人材育成や、課題解決能力の向上を図りました。

例えば、課題別研修「気候変動に係る『国が決定する貢献』策定・実施に向けた能力強化コース」等、環境管理に関するオンライン講義等の協力を行いました。

(2)地域/国際機関との連携・協力

地球環境問題に対処するため、[1]国際機関の活動への支援、[2]条約・議定書の国際交渉への積極的参加、[3]諸外国との協力、[4]開発途上地域への支援を積極的に行っています。

ア 多数国間の枠組みによる連携

(ア)国連や国際機関を通じた取組

○ SDGs等における取組

2015年9月の国連サミットにおいてSDGsを核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。SDGsは、エネルギー、持続可能な消費と生産、気候変動、生物多様性等の多くの環境関連の目標を含む、17の目標と169のターゲットで構成され、毎年開催される「国連持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)」において、SDGsの達成状況についてフォローアップとレビューが行われます。

2020年7月には新型コロナウイルス感染症の影響もあり、初めてオンラインでHLPFが開催されました。環境省は、「自然と共生する社会のための「SATOYAMAイニシアティブ」:コミュニティ、ランドスケープ及びシースケープへの包摂的アプローチ」を関係各国及び国際機関等と共催で、オンライン開催しました。この際、小泉進次郎環境大臣から、「SATOYAMAイニシアティブ」によるSDGsの達成及び「ポスト2020生物多様性枠組」の検討への貢献についてビデオメッセージを発信しました。

さらに、2020年9月には、国内ステークホルダー向けアウトリーチイベントとし、「国連ハイレベル政治フォーラム2020の報告~コロナ禍からの復興とSDGs達成に向けた日本が果たすべき役割~」をオンラインで開催し、HLPFで発せられたメッセージを踏まえ、SDGs達成に向けた行動強化を通じ、相互に影響し合う課題間の関係を理解し、政策や取組の相乗効果(シナジー)をどのように最大化していくかについて議論を深めました。

○ UNEPにおける活動

我が国は、UNEPの環境基金に対して継続的に資金を拠出するとともに、我が国の環境分野での多くの経験と豊富な知見を活かし、多大な貢献を行っています。2019年3月には、第4回国連環境総会(UNEA4)が開催され、環境に関する様々な決議が採択されました。今年度も海洋プラスチックごみに関する議論や2021年及び2022年の2回に分けて開催予定の第5回国連環境総会(UNEA5)に向けたテーマの検討等に対応しています。

大阪に事務所を置くUNEP国際環境技術センター(UNEP/IETC)に対しても、継続的に財政的な支援を実施するとともに、UNEP/IETC及び国内外の様々なステークホルダーと連携するために設置されたコラボレーティングセンターが実施する開発途上国等への環境上適正な技術の移転に関する支援、環境保全技術に関する情報の収集・整備・発信、廃棄物管理に関するグローバル・パートナーシップ等への協力を行いました。さらに、関係府市等と協力して、同センターの円滑な業務の遂行を支援しました。また、UNEP/IETCは、2019年度から民間企業の協力も得て、持続可能な社会を目指す新たな取組である「UNEPサステナビリティアクション」の展開を開始しており、環境省としても支援しています。

持続可能な消費と生産パターンの国際的定着に向け、国や地方レベルの政策、民間・NGO等を含む各種事業、人材育成、技術移転、研究等を促進するために、リオ+20で合意された「持続可能な消費と生産10年計画枠組み」が2014年から本格的に始まり、本枠組みの6つのプログラムのうち、環境省は「持続可能なライフスタイル及び教育」プログラムの共同リード国として、アジアを始めとする新興国・途上国における低炭素・持続可能な消費行動・ライフスタイルへの移行に向けた取組を実施しています。

UNEPが、気候変動適応の知見共有を図るために2009年に構築した「世界適応ネットワーク(GAN)」及びアジア太平洋地域の活動を担う「アジア太平洋適応ネットワーク(APAN)」への拠出金等により、各地域の適応行動を関係者で共有するためのフォーラム、脆(ぜい)弱性削減に向けたパートナーシップの強化、能力強化活動を支援しました。

○ 経済協力開発機構(OECD)における取組

我が国は、2012年1月から経済協力開発機構(OECD)環境政策委員会の副議長を務めるなど、OECD環境政策委員会及び関連作業部会の活動に積極的に参加してきました。2019年6月に我が国が議長国を務めた「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」にOECD事務局が参加し、本会合におけるイノベーション、海洋プラスチックごみ・資源循環、気候変動等の議論に協力し、会合の成功に貢献しました。また、2020年9月には、「グリーン・リカバリー」をテーマとした第3回OECD閣僚理事会ラウンドテーブル(MCR)がテレビ会議方式で行われ、小泉進次郎環境大臣が副議長として出席しました。小泉進次郎環境大臣は、「オンライン・プラットフォーム」閣僚級会合の成果について述べ、脱炭素社会への移行、循環経済への移行、分散型社会への移行の3つの移行による経済社会のリデザイン(再設計)が重要であることを指摘し、日本の脱炭素社会実現に向けた歩みの成果を紹介しつつ、今後も国際社会の連帯を強めながら経済社会のリデザイン(再設計)を推進することを呼び掛けました。

○ 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)における取組

我が国は、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の設立当初より2018年まで理事国に選出、2019年のアジア太平洋地域の理事国を務め、2020年は代替国に就任しました。具体的には、IRENAに対して分担金を拠出するとともに、特に島嶼(しょ)国における人材育成及び再生可能エネルギー普及の観点から、2019年には、IRENAとの共催により、国際ワークショップを実施しました。

(イ)アジア太平洋地域における取組

○ 日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)

2019年11月に我が国の北九州市で開催された第21回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM21)において合意された次期共同行動計画(2020-2024)に向けた新たな優先分野を基に、次期共同行動計画が検討されました。また、個別分野においては、海洋プラスチックごみ対策、大気汚染対策等、日中韓に共通する環境問題について、TEMMの下で今後の協力の方向性を議論しました。

○ 日ASEAN環境協力イニシアティブ

2017年11月に提唱した「日ASEAN環境協力イニシアティブ」をレビューし、新たな協力を合意した2019年の日ASEAN環境閣僚対話の成果に基づき、ASEAN地域でのSDGs促進のため、廃棄物・リサイクル、持続可能な都市、排水処理、気候変動における環境インフラへの支援や、海洋汚染、化学物質、生物多様性の分野における協力が進んでいます。また、本イニシアティブに基づき提唱された「日ASEAN気候変動アクション・アジェンダ」では、透明性、適応及び緩和の3分野で、我が国とASEAN諸国の協力強化を進めており、それぞれPaSTI、AP-PLAT、JCMによる支援を実施しました。2020年11月には、日ASEAN環境対話がオンラインにて開催され、包括的な環境協力の着実な実施を確認し、生活排水処理等の協力が新たに合意されるとともに、脱炭素移行の提案が歓迎されました。また、同月にオンラインで開催された日ASEAN首脳会合においては、脱炭素社会の実現のため、ASEAN諸国と協力していくことを表明しました。

(ウ)アジア太平洋地域における分野別の協力

自然と共生しつつ経済発展を図り、低炭素社会、循環型社会の構築を目指すクリーンアジア・イニシアティブの理念の下、2008年から様々な環境協力を戦略的に展開してきました。2016年以降は特に、SDGsの実現にも注力し、アジア地域を中心に低炭素技術移転及び技術政策分野における人材育成に係る取組等を推進しています。

気候変動については第1章第1節7、資源循環・3Rについては第3章第7節1、汚水処理については第3章第7節2、水分野については第4章第3節、大気については第4章第7節3(3)を参照。

イ 二国間の枠組みによる連携

(ア)先進国との連携

○ フランス

2015年12月に両国大臣間で、両国間の友好関係の強化と、国際及び国内レベルにおける低炭素社会の構築を目指した環境協力の覚書への署名が行われました。2016年12月に、上記覚書に基づき第1回年次会合を、2018年3月に、第2回年次会合が開催されたのに続き、2019年10月には、第3回年次会合を開催し、気候変動対策、生物多様性、海洋プラスチックごみ等について、両国の政策や課題、二国間連携の進捗状況について意見交換を行い、今後の更なる連携協力について合意しました。2020年については新型コロナウイルス感染症の影響もあり、会合の開催はかなわなかったものの、オンライン会議等を通じて意見交換を行い、今後の連携協力に向け再確認しました。

(イ)開発途上国との連携

○ 中国

2019年11月には、中国生態環境部と東京で日中環境ハイレベル円卓対話等を開催するなど、中国生態環境部と環境政策及び大気汚染、海洋プラスチックごみ、気候変動対応、生物多様性等における環境協力を推進し、両省間で環境に関する協力覚書を署名することに合意しました。

気候変動については、2018年10月に、気候変動対策に関する研究面からの知見について両国の研究者が意見交換を行うため、環境省が、中国・気候変動戦略研究・国際協力センター(NCSC)と協力して「気候変動に関する日中政策研究ワークショップ」を北京で開催しました。日本及び中国の気候変動政策の現況、長期戦略研究の現状、排出削減と持続可能な発展との相乗効果、2度目標達成に向けたアジア地域での日中両国の協力の在り方について、活発な意見交換を行いました。

大気分野については、2018年6月に署名した「大気環境改善のための研究とモデル事業の協力実施に関する覚書」等に基づき、日中の政府間及び都市間の連携を通じて、PM2.5発生源対策に資するVOCの削減技術及び気候変動対策に資するコベネフィット型環境技術の導入促進等に関する協力を行いました。

海洋プラスチックごみについては、日中高級事務レベル海洋協議の下に設置された日中海洋ごみ協力専門家対話プラットフォーム会合及び日中海洋ごみワークショップの結果を踏まえ、モニタリング手法の比較・検証等を行いました。

○ インドネシア

2019年6月に署名された海洋調整担当大臣との共同声明に基づき、海洋プラスチックごみについては、モニタリングの技術協力として、当地マニュアル案への助言、研修を行いました。2021年1月には、日本・インドネシア環境ウィークを開催し、ハイレベル政策対話や分野別の技術セミナー、オンライン展示会・商談会を実施、日尼両国の環境ビジネスの促進に貢献しました。

○ イラン

2014年4月にイラン・イスラム共和国環境庁と署名された環境協力に関する協力覚書に基づき、定期的にハイレベル政策対話や専門家によるテクニカル・セミナーを開催してきました。2020年11月には、廃棄物管理に関するオンライン研修にイラン環境庁が参加しました。

○ 韓国

日韓環境保護協力協定に基づき、「日韓環境保護協力合同委員会」を開催しており、2019年7月には同合同委員会の第21回目を静岡県で開催し、両国間での環境協力に関して幅広い意見交換等を行いました。

○ モンゴル

2018年12月に更新されたモンゴル自然環境・観光省との環境協力に関する協力覚書に基づき、「第13回日本・モンゴル環境政策対話」を2020年2月に東京で開催し、大気汚染対策、GOSATシリーズ、二国間クレジット制度(JCM)、フルオロカーボン・イニシアティブ、気候変動適応策、植物の活用等について、意見交換を行いました。

○ ミャンマー

2018年に署名した環境省とミャンマー天然資源・環境保全省の間の環境分野での協力覚書に基づき、廃棄物の法制度整備や水質環境基準の策定、国家プラスチック行動計画の策定に向けた政策支援、水銀に関する調査に加えて、モニタリング等の技術協力として、海洋プラスチックごみ、大気環境、環境アセスメント、廃棄物管理に関する研修を行いました。

○ フィリピン

2017年1月に、安倍晋三内閣総理大臣(当時)とロドリゴ・ドゥテルテ大統領の立会いの下で二国間クレジット制度(JCM)に関する二国間文書への署名が行われたことを踏まえ、2018年2月にJCMに関する日・フィリピン間の第1回合同委員会が開催され、各種規程・ガイドライン類の採択等が行われ、JCM実施のための基盤が整いました。また、2021年3月に「第5回日・フィリピン廃棄物分野における環境対話」をオンラインで開催し、廃棄物管理について意見交換を行いました。

○ シンガポール

2017年6月に更新されたシンガポール環境水資源省との間の「環境協力に関する協力覚書」に基づき、2020年12月に「第6回日本・シンガポール環境政策対話」をオンラインで開催し、大気汚染、廃棄物管理、気候変動対策について意見交換を行い、今後も二国間及びASEAN地域における環境協力を強化していくことに合意しました。

○ タイ

2020年1月、環境省とタイ天然資源環境省は、「日本・タイ環境ウィーク」を開催し、第2回日本・タイ環境政策対話、環境ソリューションセミナー等を通じて、環境技術を広くタイ国の政府、地方公共団体、民間企業に紹介しました。海洋プラスチックごみについては、モニタリングの技術協力として、研修を行いました。

○ ベトナム

2020年8月、「第6回日本・ベトナム環境政策対話」を開催し、包括的な環境協力覚書(MoC)の更新に署名するとともに、脱炭素移行促進に向けた包括的協力や、海洋プラスチックごみ対策、浄化槽の普及による水環境改善等の分野で、環境協力を推進していくことに合意しました。また、海洋プラスチックごみについては、モニタリングの技術協力として、研修を行いました。

○ サウジアラビア

2020年12月、サウジアラビア王国環境・水・農業省とのハイレベル会談を実施し、環境協力に関する協力覚書に署名するとともに、廃棄物管理や海洋プラスチックごみ対策、自然保護対策等の分野における協力について議論しました。

ウ 海外広報の推進

海外に向けた情報発信の充実を図り、報道発表の英語概要を逐次掲載しました。また、英語版広報誌や環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の英語抄訳版の刊行など、海外広報資料の作成・配布やインターネット・SNSを通じた海外広報を行いました。

エ 開発途上地域の環境の保全

我が国は政府開発援助(ODA)による開発協力を積極的に行っています。環境問題については、2015年2月に閣議決定された「開発協力大綱」において地球規模課題への取組を通じた持続可能で強靱な国際社会の構築を重点課題の一つとして位置付けるとともに、開発に伴う環境への影響に配慮することが明記されています。また、特に小島嶼(しょ)開発途上国については、気候変動による海面上昇など、地球規模の環境問題への対応を課題として取り上げ、ニーズに即した支援を行うこととしています。

(ア)無償資金協力

居住環境改善(都市の廃棄物処理、上水道整備、地下水開発、洪水対策等)、地球温暖化対策関連(森林保全、クリーン・エネルギー導入)等の各分野において、無償資金協力を実施しています。

草の根・人間の安全保障無償資金協力についても貧困対策に関連した環境分野の案件を実施しています。

(イ)有償資金協力

下水道整備、大気汚染対策、地球温暖化対策等の各分野において、有償資金協力(円借款・海外投融資)を実施しています。

(ウ)国際機関を通じた協力

我が国は、UNEPの環境基金、UNEP/IETC技術協力信託基金等に対し拠出を行っています。また、我が国が主要拠出国及び出資国となっているUNDP、世界銀行、アジア開発銀行、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)等の国際機関も環境分野の取組を強化しており、これら各種国際機関を通じた協力も重要になってきています。

(3)多国間資金や民間資金の積極的活用

地球環境ファシリティ(GEF)は、開発途上国等が地球環境問題に取り組むためのプロジェクトに対して、主に無償資金を提供する多国間基金です。2020年12月に開催されたGEF評議会では、各プロジェクト実施状況の報告や、新規プロジェクトの採択、環境改善効果の向上に向けた取組、基金のガバナンス等が議論されました。我が国はGEFの主要ドナー国として、意思決定機関である評議会の場等を通じ、GEFの活動に積極的に参画しています。

開発途上国の温室効果ガス削減と気候変動の影響への適応を支援する緑の気候基金(GCF)については、初期拠出の15億ドルに続いて、2019年10月の第1次増資ハイレベル・プレッジング会合において、我が国から最大15億ドルの拠出表明を行い、これまでに我が国を含む31か国及び2地方政府が総額約100億ドルの拠出を表明しました。また、2021年3月までに121か国における173件の支援案件がGCF理事会で承認されました。我が国は基金への最大級のドナーとして資金面での貢献に加え、GCF理事国として、支援案件の選定を含む基金の運営に積極的に貢献しています。また、我が国は、途上国の要請に基づき技術移転に関する能力開発やニーズの評価を支援する「気候技術センター・ネットワーク(CTCN)」に対して2020年度に約118万ドルを拠出し、積極的に貢献しました。

(4)国際的な各主体間のネットワークの充実・強化
ア 地方公共団体間の連携

脱炭素・低炭素社会形成に関するノウハウや経験を有する日本の地方公共団体等の協力の下、アジア等各国の都市との間で、都市間連携を活用し、脱炭素・低炭素社会実現に向けて基盤制度の策定支援や、優れた低炭素技術の普及支援を実施しました。2020年度は、札幌市、福島市、富山市、川崎市、横浜市、東京都、広島県、大阪市、福岡市、北九州市による20件の取組を支援しました。

イ 市民レベルでの連携

独立行政法人環境再生保全機構が運営する地球環境基金では、プラットフォーム助成制度に基づいて、国内の環境NGO・NPOが国内又は開発途上地域において他のNGO・NPO等との横断的な協働・連携の下で実施する環境保全活動に対する支援を行いました。

(5)国際的な枠組みにおける主導的役割

2020年9月、サウジアラビアを議長国としてG20環境大臣会合がオンラインで開催されました。本会合では、[1]土地劣化と生息地の損失、[2]サンゴ礁保全・海洋ごみについてG20各国及び招聘(へい)国の環境大臣等による意見交換を行い、コミュニケを取りまとめました。COP26を見据えて、国連気候変動枠組条約及びパリ協定の完全な履行に向けた各国の努力を加速・増幅するあらゆる機会を活用すること、生物多様性及び貧困削減に取り組むには、自然に基づく解決策又は生態系に基づくアプローチが不可欠であること、そして2050年までに海洋プラスチックごみの追加的な汚染をゼロに削減するとのコミットメント等を再確認しました。2019年、我が国が議長国を務め開催した、G20持続可能なエネルギーと地球環境に関する関係閣僚会合(エネルギー・環境大臣会合。2019年6月、長野県軽井沢町)に続き、環境大臣会合が開催され、環境大臣単独の会合としては、G20史上初でした。我が国は前回議長国として、小泉進次郎環境大臣による開会挨拶(ビデオメッセージ)等を行いました。

なお、宇宙空間のごみ(スペースデブリ)が、新たな国際的な課題となっており、国際社会が協力してスペースデブリ対策に取り組む必要があることから、我が国では、JAXAにおいて、2019年4月から世界に先駆けて大型デブリ除去プロジェクトを開始し、2020年4月からは、民間企業と連携して、2022年度の関連技術実証を目指して必要な開発を進めています。

上述の2019年のG20エネルギー・環境大臣会合で採択された「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」に基づき、上述の2020年のG20環境大臣会合にあわせて、サウジアラビアのイニシアティブの下、日本が支援し、「第2次G20 海洋プラスチックごみ対策報告書」を取りまとめました。また、「海洋プラスチックごみのモニタリング手法調和とデータ整備に関するG20ワークショップ」を開催しました。ワークショップでは、日本から新たな世界的モニタリングデータ共有システムを提案しました。

また、2018年11月のASEAN+3サミットにて提唱された「ASEAN+3海洋プラスチックごみ協力アクション・イニシアティブ」に基づき、海洋プラスチックごみナレッジ・センター(RKC-MPD)を2019年10月に設立するとともに、ASEANにおける海洋プラスチックごみ対策を支援し、2019年6月の「ASEAN地域における海洋ごみ対策に関するバンコク宣言」につながりました。