環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第1部第2章>第4節 我が国の適応に係る取組

第4節 我が国の適応に係る取組

1 気候変動適応法の成立まで

IPCC第5次評価報告書を受けて、気候変動の脅威に対応するには、国際社会が協調して緩和策に取り組むのはもちろんのこと、既に現れている気候変動の影響、更には、どうしても避けられない将来の気候変動の影響に対処するために、適応策を推進することが必要であることが明らかになってきました。

我が国においても、気候変動の影響は既に現れ始めています。我が国における気候変動の影響については、2015年に、中央環境審議会が気候変動影響評価報告書として取りまとめており、本報告書においては、気候変動により様々な面で多様な影響が生じる可能性があることが明らかにされました。そしてこの報告書の科学的知見を踏まえて、2015年11月に、政府として気候変動の影響への適応計画(以下「2015年適応計画」という。)を閣議決定しました。

2015年適応計画の閣議決定以降、各府省庁により各分野の適応策が実施されるとともに、環境省が中心となって、関係府省庁と連携しつつ、気候リスク情報の共有や、地域での適応の推進など、基盤的な施策を実施し、適応策の有効性や更なる推進の必要性について関係者の理解が深まってきた一方、同計画の策定後においても、法制化を求める声や適応策の法的位置付けの明確化の要望がなされていたことから、政府において法制化の議論を始めました。そして、中央環境審議会や地方公共団体からの意見聴取を行い、2018年2月に気候変動適応法案を閣議決定し、同年6月に気候変動適応法(平成30年法律第50号)が国会で全会一致で成立、同年12月に施行されました。

2 気候変動適応法

気候変動適応法は、気候変動に起因して、生活、社会、経済及び自然環境における気候変動影響が生じていること並びにこれが長期にわたり拡大するおそれがあることに鑑み、気候変動適応を推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする法律で、4つの柱により構成されています(図2-4-1)。

図2-4-1 気候変動適応法の概要
(1)適応の総合的推進

はじめに、国、地方公共団体、事業者、国民が気候変動適応の推進のために担うべき役割を、責務や努力として規定し、明確化しています。その責務に従い、政府は、気候変動適応に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、気候変動適応計画を定めなければならないとされています。同計画では、関係府省庁の取組に限らず、法に定める役割に従い、地方公共団体、事業者、国民等の幅広い主体の連携・協力による取組を幅広く盛り込むこととされています。また、環境省は、気候変動影響に関する最新の科学的知見等を踏まえ、おおむね5年ごとに気候変動影響の評価を行うこととされています。

(2)情報基盤の整備

気候変動適応に関する取組を推進していくためには、現在及び将来の気候変動影響に関する科学的な情報が不可欠です。このため、法に基づき、国立環境研究所が中核となって適応の情報基盤を整備していくこととされています。国立環境研究所は、農業や防災関係の研究機関をはじめ、様々な国の調査研究等機関と連携し、農業、自然災害、自然生態系など、様々な分野の気候変動影響に関する情報の集約を行い、以前から運営してきた気候変動適応情報プラットフォームの充実・強化を進めていくことになります。

(3)地域での適応の強化

気候変動の影響は、地域の気候や社会経済状況により異なり、また、適応策は、地域の防災や農業等の施策と連携しながら進めていくことが重要です。法では、都道府県及び市町村が地域気候変動適応計画を策定するよう努めるとされています。地域気候変動適応計画策定のため、環境省による計画策定マニュアルの作成や、国立環境研究所による技術的助言等を充実させていくこととしています。また、法では、都道府県及び市町村が地域における気候変動影響に関する情報の収集・分析・提供等を行う拠点として、地域気候変動適応センターを確保するよう努めることや、地域の関係者が、優良事例を共有し合い、連携をしながら効果的な適応策を実施していくために気候変動適応広域協議会を組織することができるとされています。

(4)適応の国際展開等

開発途上国は、気候変動に特に脆(ぜい)弱であり、適応策に対する強いニーズがあります。開発途上国の科学的知見に基づく適応策の立案・実施を支援するため、これまで国内において推進してきた気候変動適応情報プラットフォームの取組を国際展開し、2020年までに「アジア太平洋気候変動適応情報プラットフォーム(AP-PLAT)」を構築していくことを目指しています。また、AP-PLATを通じて、開発途上国における将来の気候変動影響に関するリスク情報と合わせて、我が国の事業者が有する適応技術・製品・サービスに関する情報を積極的に発信し、適応ビジネスの発展を図っていくこととしています。

3 気候変動適応計画

気候変動適応法第7条第1項に基づき、2018年11月に、気候変動適応計画を閣議決定しました。同計画は、気候変動適応法の目的を踏まえ、気候変動適応に関する施策を総合的かつ計画的に推進することで、気候変動影響による被害の回避・軽減、更には、国民の生活の安定、社会・経済の健全な発展、自然環境の保全及び国土の強靱化を図り、安全・安心で持続可能な社会を構築することを目指すものです。

同計画では、気候変動適応の推進に当たり、国、地方公共団体、事業者、国民、国立環境研究所がそれぞれ果たす役割を明記するとともに、計画の目標を達成するため、7つの基本戦略を定めています。基本戦略では、[1]あらゆる関連施策に気候変動適応を組み込む、[2]科学的知見に基づく気候変動適応を推進する、[3]我が国の研究機関の英知を集約し、情報基盤を整備する、[4]地域の実情に応じた気候変動適応を推進する、[5]国民の理解を深め、事業活動に応じた気候変動適応を促進する、[6]開発途上国の適応能力の向上に貢献する、[7]関係行政機関の緊密な連携体制を確保する、ということが挙げられています。また、「農業、森林・林業、水産業」、「水環境・水資源」、「自然生態系」、「自然災害・沿岸域」、「健康」、「産業・経済活動」及び「国民生活・都市生活」の7つの分野について、気候変動影響評価結果の概要と政府が推進する気候変動適応に関する施策を記載しています。

また、同計画では、施策の効果的な推進を図るため、関係行政機関の緊密な連携協力体制の確保と進捗管理等についても記載されています(図2-4-2)。

図2-4-2 気候変動適応計画の概要
(1)気候変動適応推進会議

気候変動適応に関する施策の推進に当たっては、防災に関する施策、農林水産業の振興に関する施策、生物の多様性の保全に関する施策その他の関連する施策との連携を図ることが重要です。各分野の施策は多くの関係府省庁が担当しており、適応に関する施策を総合的かつ計画的に推進していくには、関係府省庁と緊密な連携を図るための連携体制を構築することが必要です。

気候変動適応計画では、関係府省庁と緊密な連携を図るため、環境大臣を議長、環境副大臣を副議長とし、関係府省庁で構成される「気候変動適応推進会議」を設置し、同会議の下で関係府省庁間の必要な調整を行い、連携協力をしながら政府一体となって適応に関する施策を推進するとともに、その進捗状況を定期的に確認していくこととしています。2018年12月にはその第1回会議を開催し、気候変動適応法及び気候変動適応計画の下、各府省庁が連携して適応策を推進していくことを確認しました。

(2)進捗管理等

適応を効果的に推進していくには、気候変動影響の評価と気候変動適応計画の進捗管理を定期的・継続的に実施し、その結果を踏まえて計画の見直しを行うことが重要です。

政府は、気候変動及び多様な分野における気候変動影響の観測、監視、予測及び評価並びにこれらの調査研究を推進するとともに、調査研究等の成果や科学文献により得られる最新の科学的知見を踏まえ、おおむね5年ごとに、気候変動影響の総合的な評価を行い気候変動の影響評価報告書を取りまとめることとしています。次期の気候変動影響評価については、2015年3月の気候変動影響評価報告書の取りまとめから起算して、おおむね5年となる2020年に行うこととしています。

また、計画に基づく施策の進捗状況を定期的・継続的に把握し、必要に応じて評価を行うなど、PDCAサイクルの下で的確に進捗管理を行うことが必要です。しかし、気候変動適応に関する施策の効果を把握・評価する手法は、適切な指標を設定することが困難であることや評価に当たって長い期間を要することなどの課題があり、諸外国でも具体的な手法が確立されていません。このため、気候変動適応法において、政府が評価手法等の開発に努めるよう規定されています。

これまで2015年適応計画のフォローアップを通じて設定した指標等を踏まえて、関係府省庁が連携して、我が国にとって適切な評価手法等の開発に努めていくこととしています。

4 政府における取組

(1)分野別施策

政府では、気候変動適応法及び気候変動適応計画の下、各分野で以下のような取組を進めていくこととしています。

ア 農業、森林・林業、水産業
イ 自然生態系
ウ 水環境・水資源
エ 自然災害・沿岸域
オ 健康、産業・経済活動、国民生活・都市生活

コラム:シャインマスカット(佐賀県)

ぶどうの一品種であるシャインマスカットは、大粒の果実で味・食感に優れ、種無し栽培ができ、皮ごと食べられるぶどうとして評判を呼んでいます。シャインマスカットはもともと、欧州ぶどうの持つ硬くてしまりのある肉質、大粒の果実といった品質の良さと、米国ぶどうの持つ病気に強く、果実が割れにくい、栽培しやすいという特徴を併せ持つ品種として開発されたものです。その開発には延べ30年もの期間を経ましたが、最近ではその良好な品質が評価され、市場での流通量も増加しています。

そして良好な品質だけでなく、最近では気候変動への適応策の観点から注目されています。近年、成熟期のぶどうの高温による着色不良が報告されており、気候変動の影響が懸念されているところ、黄緑系品種であるシャインマスカットを着色不良対策として導入する動きが出てきています。佐賀県においても施設栽培を中心に面積拡大が進んでおり、生産者の所得向上につながる品種として期待されている状況です。

シャインマスカットは、その栽培が気候変動への適応策になるだけでなく、商品価値が高く育てやすい品種であり、さらに豊産性であることから生産者からも関心を集めているように、適応策を実施する上では、複数の効果が上がるという視点も重要です。

雨よけ栽培シャインマスカットの結実状況

コラム:コメ作りが地域の防災に貢献

あぜに囲まれた水田や耕作された畑の土壌には、雨水を一時的に貯留する働きがあり、洪水の発生を防止する役割を果たしています。あぜに囲まれた水田は、大雨の際、雨水を一時的に貯留し、時間をかけてゆっくりと下流に流すことができ、耕作された畑では、土の粒子が集まって団粒構造を作り、その小さな隙間に水を一時的に貯留することができることから、降雨時に一度に河川に流れる水量を減らすことが可能です。

例えば新潟県では、低平地が多く以前から大雨が降ると洪水等の被害を受けることが多かったことから、田畑の持つこうした機能に着目し、水田の洪水防止機能を強化するため、県内15市町村で「田んぼダム」の取組を行っています。

「田んぼダム」とは、排水溝に排水管より小さな穴の開いた調整板を設置し、水の流出を抑えることでダムのような役割を果たす田んぼのことです。多くの田んぼで取り組むことで、大雨の時に水田内に水を貯留させ、下流域の洪水を軽減させる効果があります。また、田んぼダム活動を集落全体で取り組むことにより、農家と非農家の連携を深め、防災意識の啓発が図られています。

田んぼダムは、新潟県村上市で始まって以来、全国各地に広がっており、北海道や兵庫県、福井県等でも取組が進んでいます。

田んぼダムの理論、調整板設置の様子、排水路への排水状況
(2)基盤的施策
ア 気候変動等に関する科学的知見の充実及びその活用

各分野の取組を支えるため、政府では、以下のような気候変動影響及び気候変動適応に関する科学的知見の充実やその活用等の基盤的な施策にも取り組んでいます。

○観測・監視

関係府省庁や関係機関が連携して包括的なデータの収集、長期的な観測の実現、データの利便性の向上、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」シリーズによる地球全体のCO2等の継続的な観測等を通じた、科学的な知見の充実。

○予測・技術

スーパーコンピュータ等を用いたモデル技術やシミュレーション技術、時間・空間分解能の高度化、各分野のニーズを踏まえた気候変動予測データの整備。

○調査・研究

イ 各主体の適応の取組支援

各主体の適応の取組を促進するため、地域での説明会において適応に関する説明を行っているほか、地域気候変動適応計画策定のためのマニュアルの作成、企業の適応の取組を促進するガイドの作成など、様々な取組を行っています。

また、地域での適応の取組を推進するため、2017年度から3か年の計画で、環境省・農林水産省・国土交通省の連携事業として地域適応コンソーシアム事業を実施しています。全国と6地域(北海道・東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州・沖縄)において、年2回程度地域ごとに協議会を開催することで、地方公共団体、大学、研究機関など、地域の関係者との連携体制を構築し、知見の共有や意見交換を行うとともに、各地域のニーズに沿った気候変動影響に関する情報の収集・整理や、気候変動による影響調査を実施することにより具体的な適応策の検討が進められています。

事例:オランダ沿岸における「サンドモーター」

オランダの沿岸の砂浜は毎年、海流により砂が削られていました。砂浜の消失は、海抜ゼロメートル地帯にある市街地への海水侵入につながります。海面水位の上昇によるこれらの被害を防ぐために、サンドモーターという事業が考案されました。

サンドモーターの仕組みは、沖合1kmに人口の半島(サンドモーター)を形成し、その半島が沿岸の海流を変化させ、変化した海流により半島と海岸の間が砂で埋まり、砂浜が維持されることで、市街地への海水の侵入を防ぐものです。

「自然を生かした沿岸造り」というコンセプトの下、海岸に堆積させた砂を風や波、海流によって歳月をかけて自然に拡散させ、失われた海岸を再形成することを目指しています。この方法は砂を堆積させる回数が少ないため、従来の浸食対策よりもコストが抑えられ、一度の作業で今後20年は砂の補給が不要になると考えられています。

サンドモーター

コラム:科学的根拠に基づく対策の評価と実践(英国)

英国では、2007年夏に記録的な洪水が発生しました。約5,500の建物が浸水し、約7,000人が救助され、13人が亡くなり、水や電気等の生活インフラを失った人は50万人に上りました。このような緊急事態は、同国では第二次世界大戦以来のことでした。

この洪水を踏まえ、いったい何が起こったのか、そして何を変えなければならないのかについて、公平な評価を行うため、徹底的かつ独立的な検証を行うべく調査がなされ、報告書がまとめられました。調査報告書では、洪水被害を減らすために工学的な防御の補足として自然物を用いた防御を行うよう提案がなされましたが、自然物を用いた防御は、その有効性と経済的な実行可能性に関する科学的根拠が得られていませんでした。

これを受け、環境・食糧・農村地域省(Defra)は、2009年から2015年にかけて自然洪水管理の手法を用いた多目的洪水管理実証スキーム(Multi-Objective Flood Management Demonstration Scheme)を国内3か所で開始しました。各プロジェクトでは、採用する対策や実施場所を特定するための費用対効果のシミュレーションが実施され、対策が地域にもたらす多面的な価値について、評価がなされました。また、対策が実施された後の効果には、それぞれの対策が洪水にどの程度効果があったかも専門家により分析され、自然物を用いた防御が洪水管理に有効であることが示されました。

これらの三つのプロジェクトの成果を受け、Defraは2015年に、50万ポンドの資金を提供し、新たに6つの農村で洪水対策を行うための事前調査を開始するとともに、国内の約30万戸の住宅を洪水から守るため、2021年までに23億ポンドの予算を投ずることを表明しています。

5 国立環境研究所の取組

気候変動適応法では、国立環境研究所が気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の収集・整理・分析・提供や、地方公共団体や地域気候変動適応センターにおける気候変動適応に関する取組に対する技術的助言等を行う役割を担うことが定められており、気候変動適応に関する研究を一体的に実施するための拠点として、2018年12月に国立環境研究所に新たに気候変動適応センターが設立されました(図2-4-3)。

図2-4-3 国立環境研究所の体制図

国立環境研究所は、気候変動適応の推進に当たり情報基盤の整備や技術的助言を行うこととしています。

(1)気候変動影響及び気候変動適応に関する情報基盤の整備

国立環境研究所は、2016年に構築された適応の情報基盤である気候変動適応情報プラットフォームを以前より運営してきました。同プラットフォームは、気温、降水量、米の収量、熱中症の搬送患者数など、様々な気候変動影響に関する予測情報の発信や、地方公共団体の気候変動適応に関する計画や具体的な取組事例、事業者の適応ビジネス情報等についても紹介することで、国、地方公共団体、事業者等の適応策を促進してきました。

気候変動適応法の施行を受け、あらゆる主体の科学的知見に基づく適応の取組をより一層推進するため、気候変動適応情報プラットフォームの充実・強化を図り、気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の収集、整理、分析及び提供を行います。その際、国立環境研究所は、自らが率先して気候変動影響及び気候変動適応に関する調査研究及び技術開発に取り組むとともに、気象、防災、農林水産業、生物多様性、人の健康等に関する他の研究機関や、地域気候変動適応センターと緊密に連携し、必要に応じて共同研究を実施することなどにより、これらの機関が有する関連する研究成果、データ、情報等を活用し、情報基盤の充実・強化を図ることとしています。加えて、国民一人一人が日常生活において得る気候変動影響に関する情報の有用性に留意し、地方公共団体や地域気候変動適応センター等の協力も得つつ、適切に情報を収集、整理、分析し、その活用を図ることとしています。

(2)地方公共団体に対する技術的援助

地域気候変動適応計画の策定又は推進に対して、都道府県及び市区町村の意向を勘案し、気候変動適応情報プラットフォームを通して提供する科学的知見を積極的に活用することなどにより、技術的助言等を行います。

(3)地域気候変動適応センターに対する技術的援助

地域気候変動適応センターと意見交換を行い、地域における気候変動影響の観測、監視、予測及び評価並びにこれらの調査研究等を推進する上で必要となる情報やノウハウの提供等により、地域気候変動適応センターの活動に対して、技術的助言等を行います。

6 国際的な協力

開発途上国は、一般的に気候変動影響に対処する適応能力が不足している国が多くあります。特に、後発開発途上国や小島嶼(しょ)開発途上国では、経済構造が気候変動の影響を受けやすい農林水産業に依存している国が多いこと、また、貧困層はとりわけ適応能力が低いことなどから、現在及び将来の気候変動に対する脆(ぜい)弱性が大きく、気候変動影響はより深刻になり得ます。今後、洪水や異常気象の頻発・激甚化、気候変動影響による食糧不足、農水産物の輸入価格の変動、海外における企業の生産拠点への直接的な影響によるサプライチェーンの分断等が生じることにより、結果的に我が国の経済及び社会に悪影響が及ぶことも懸念されています。

このため、アジア太平洋地域を中心に二国間による協力を行い、各国のニーズに応じた気候変動の影響評価や適応計画の策定等への支援を行っています。さらに、気候変動等に関する情報の国際間における共有体制の整備を進めています。特に、地理的・経済的に我が国と密接に関係しているアジア太平洋地域の開発途上国に焦点を当て、これらの開発途上国が科学的知見に基づき気候変動適応に関する計画を策定し、実施できるよう、国立環境研究所と連携し、2020年までにAP-PLATを構築すべく準備を進めています。また、AP-PLATを活用し、我が国の事業者の適応ビジネスの国際展開の促進を図ることとしています。