環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第2章>第4節 森・里・川・海のつながりを確保する取組

第4節 森・里・川・海のつながりを確保する取組

1 生態系ネットワークの形成と保全・再生の推進

優れた自然環境を有する地域を核として、これらを有機的につなぐことにより、生物の生息・生育空間のつながりや適切な配置を確保する生態系ネットワーク(エコロジカル・ネットワーク)の形成を推進するとともに、重要地域の保全や自然再生に取り組み、私たちの暮らしを支える森・里・川・海のつながりを確保することが重要です。

(1)「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクト

森里川海の恵みを将来にわたって享受し、安全で豊かな国づくりを行うため、環境省と有識者からなる「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトを立ち上げ、2015年度に全国約50か所で開催したリレーフォーラムにおける参加者の意見等を踏まえ、2016年9月には「森里川海をつなぎ、支えていくために(提言)」を公表しました(図2-4-1)。

図2-4-1 森里川海をつなぎ、支えていくために(提言)と地域循環共生圏のイメージ

本提言の下、多様な資源がその地域の中で循環し、相互に支え合う「地域循環共生圏」の構築に向け、森里川海の保全・再生に取り組む10の実証地域を選定し、多様な主体によるプラットフォームづくり、自立のための経済的仕組みづくり、人材育成等に向けた地域の活動の支援を開始しました。

また、森里川海の恵みや自然体験の大切さを子どもや保護者等に伝える「森里川海大好き!読本(仮称)」や、流域単位で河川の恵みを認識・共有する「ふるさと絵本」の作成検討を開始しました。さらに、「つなげよう、支えよう森里川海アンバサダー」による情報発信等を通して、国民一人ひとりが森里川海の恵みを支える社会に向けて、ライフスタイルを変革していくことの重要性について普及啓発しました(写真2-4-1)。

写真2-4-1 「つなげよう、支えよう森里川海」アンバサダー任命式の様子
(2)重要地域の保全
ア 自然環境保全地域

自然環境保全法(昭和47年法律第85号)に基づく保護地域には、国が指定する原生自然環境保全地域と自然環境保全地域、都道府県が条例により指定する都道府県自然環境保全地域があります。これらの地域は、極力自然環境をそのまま維持しようとする地域であり、我が国の生物多様性の保全にとって重要な役割を担っています。

これらの自然環境保全地域等において、自然環境の現況把握や標識の整備等を実施し、適正な保全管理に努めています(表2-4-1)。

表2-4-1 数値で見る重要地域の状況
イ 自然公園

(ア)公園区域及び公園計画の見直し

自然公園法に基づいて指定される自然公園(国立公園、国定公園及び都道府県立自然公園)は、国土の14.7%を占めており(図2-4-2)、国立・国定公園にあっては、適正な保護及び利用の増進を図るため、公園を取り巻く社会条件等の変化に応じ、公園区域及び公園計画の見直しを行っています。

図2-4-2 国立公園及び国定公園の配置図

2016年度は、西表石垣国立公園の拡張、やんばる国立公園及び奄美群島国立公園の指定、瀬戸内海国立公園(広島県地域及び山口県地域)、若狭湾国定公園(福井県地域)の公園計画の見直しを実施しました。西表石垣国立公園については、西表島のほぼ全域の国立公園化を始めとした国立公園区域の拡張を行いました。また、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、様々な固有動植物及び希少動植物が生息・生育し、多様な生態系を有していることが評価され、やんばる国立公園及び奄美群島国立公園の新規指定を行いました。

(イ)自然公園の管理の充実

生態系維持回復事業制度については、8つの国立公園において9つの生態系維持回復事業計画を策定しており、シカや外来種による生態系被害に対する総合的かつ順応的な対策を実施しました。また、外来種対策については、特に重点的対策を要する小笠原国立公園及び西表石垣国立公園において、重点的な防除事業及び生態系被害状況の調査を実施し、外来種の密度を減少させ本来の生態系の維持・回復を図る取組を推進しました。2015年に策定した国立・国定公園の特別地域において採取等を規制する植物(以下「指定植物」という。)の選定方針に基づき、各国立公園において順次、指定植物の見直しを進めており、既に見直しを完了した大山隠岐国立公園に続いて、2016年度は新たに7か所の国立公園で見直し作業を開始しました。

さらに、国立・国定公園内の植生や自然環境の復元等を目的とし、釧路湿原国立公園等において、植生復元施設や自然再生施設等の整備を推進しました。また、アクティブ・レンジャーを全国に配置し、現場管理の充実に努めました。

国立公園の管理運営については、地域の関係者との協働を推進するため、協働型管理運営の具体的な内容や手順についてまとめた「国立公園における協働型管理運営の推進のための手引書」を2015年3月に作成しました。また、2017年3月末現在、国立公園で5団体と国定公園で2団体が自然公園法に基づく公園管理団体に指定されています。

国立公園等の貴重な自然環境を有する地域において、自然や社会状況を熟知した地元住民等によって構成される民間事業者等を活用し、環境美化、オオハンゴンソウ等の外来種の駆除、景観対策としての展望地の再整備、登山道の補修等の作業を行いました。

(ウ)自然公園における適正な利用の推進

自動車乗入れの増大により、植生への悪影響、快適・安全な公園利用の阻害等に対処するため、「国立公園内における自動車利用適正化要綱」に基づき、2016年度には、大雪山国立公園の高原温泉や中部山岳国立公園の上高地等の19国立公園において、自家用車に代わるバス運行等の対策を地域関係機関との協力の下、実施しました。

国立公園等の山岳地域において、山岳環境の保全及び利用者の安全確保等を図るため、山小屋事業者等が公衆トイレとしてのサービスを補完する環境配慮型トイレ等の整備を行う場合に、その経費の一部を補助しており、2016年度は中部山岳国立公園の山岳トイレの整備を支援しました。

ウ 鳥獣保護区

鳥獣保護管理法に基づき、鳥獣の保護を図るため、国際的又は全国的な見地から特に重要な区域を国指定鳥獣保護区に指定しています(表2-4-1)。

エ 生息地等保護区

種の保存法に基づき、国内希少野生動植物種の生息・生育地として重要な地域を生息地等保護区に指定しています(表2-4-1)。

オ 名勝(自然的なもの)、天然記念物

文化財保護法(昭和25年法律第214号)に基づき、日本の峡谷、海浜等の名勝地で観賞上価値の高いものを名勝(自然的なもの)に、動植物及び地質鉱物で学術上価値が高く我が国の自然を記念するものを天然記念物に指定しています(表2-4-1)。さらに、天然記念物の衰退に対処するため関係地方公共団体と連携して、特別天然記念物コウノトリの野生復帰事業等33件について再生事業を実施しました。

カ 保護林、保安林

我が国の森林のうち、優れた自然環境の保全を含む公益的機能の発揮のため特に必要な森林を保安林として計画的に指定し、適正な管理を行いました(表2-4-1)。また、国有林野のうち、自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存等を図る上で重要な役割を果たしている「自然維持タイプ」の森林については、自然環境の保全を第一とした管理経営を行いました。特に、原生的な森林生態系や希少な野生動植物の生息・生育地等については、「保護林」として積極的に設定するなど、その拡充を図るとともに、モニタリング調査等により状況を的確に把握し、必要に応じて植生の回復等の措置を講ずるなど、適切な保全・管理を推進しました。

キ 特別緑地保全地区等

都市緑地法(昭和48年法律第72号)等に基づき、都市における生物の生息・生育地の核等として、生物の多様性を確保する観点から特別緑地保全地区等の都市における良好な自然的環境の確保に資する地域の指定による緑地の保全等の取組の推進を図りました。2016年3月現在、全国の特別緑地保全地区等は600地区、6,428haとなっています。

ク 景観の保全

景観の保全に関しては、自然公園法によって優れた自然の風景地を保護しているほか、景観法(平成16年法律第110号)に基づき、2016年3月末現在、523団体で景観計画が定められています。また、文化財保護法により、2017年3月末現在、人と自然との関わりの中で作り出されてきた重要文化的景観を51地域選定しています(表2-4-1)。

(3)自然再生の推進

自然再生推進法(平成14年法律第148号)に基づく自然再生協議会は、2017年3月末現在、全国で25か所となっています。このうち24か所の協議会で自然再生全体構想が作成され、うち21か所で自然再生事業実施計画が作成されています。

2016年度は、国立公園における直轄事業6地区、自然環境整備交付金で地方公共団体を支援する事業4地区の計10地区で自然再生事業を実施しました(図2-4-3)。

図2-4-3 環境省の自然再生事業(実施箇所)の全国位置図

これらの地区では、生態系調査や事業計画の作成、事業の実施、自然再生を通じた自然環境学習等を行いました。このほか、国立公園など生物多様性の保全上重要な地域と密接に関連する地域において都道府県が実施する生態系の保全・回復のための事業を支援するため、生物多様性保全回復施設整備交付金により、熊本県が行っている球磨川の生態系を回復する事業を支援しました。

2 森林の整備・保全

森林の有する多面的機能を持続的に発揮させるため、森林整備事業による適切な造林や間伐等の施業を実施するとともに、立地条件に応じて、針広混交林化や複層林化等により、多様で健全な森林づくりを推進しました。また、自然環境の保全など森林の有する公益的機能の発揮及び森林の保全を確保するため、保安林制度・林地開発許可制度等の適正な運用を図るとともに、治山事業においては、豊かな環境づくりや周辺の生態系に配慮しつつ、荒廃山地の復旧整備、水土保全機能の低下した森林の整備等を計画的に推進しました。

なお、森林所有者や境界が不明で整備が進まない森林も見られることから、意欲ある者による施業の集約化の促進を図るため、所有者の特定や境界確認等に対する支援を行いました。さらに、所在不明の森林所有者がある共有林で伐採をできるようにするための裁定制度、森林所有者や林地の境界に関する情報を「林地台帳」として市町村が一元的にまとめる制度の創設を含む森林法(昭和26年法律第249号)等の改正案が2016年3月に閣議決定されました。

東日本大震災で被災した海岸防災林については、「今後における海岸防災林の再生について」等に基づき、被災箇所ごとに被災状況や地域の実情、更には地域の生態系保全の必要性等に応じ再生方法を決定するとともに、海岸防災林の有する津波に対する減災機能も考慮した復旧・再生を推進しました。

松くい虫等の病害虫や野生鳥獣による森林の被害対策の総合的な実施、林野火災予防対策を推進しました。

森林内での様々な体験活動等を通じて、森林と人々の生活や環境との関係についての理解と関心を深める森林環境教育や、市民やボランティア団体等による里山林の保全・利用活動等、森林の多様な利用及びこれらに対応した整備を推進しました。また、企業、森林ボランティア等、多様な主体による森林づくり活動への支援や緑化行事の推進により、国民参加の森林づくりを進めました。

森林資源のモニタリング調査を引き続き実施するとともに、時系列的なデータを用いた解析手法の開発を行いました。また、これらの調査結果については、モントリオール・プロセスでの報告等への活用を図りました。

国家戦略及び農林水産省生物多様性戦略に基づき、森林生態系の調査等、森林における生物多様性の保全及び持続可能な利用に向けた施策を推進しました。国有林野においては、原生的な森林生態系において「保護林」や保護林を中心にネットワークを形成する「緑の回廊」を設定し、生態系に配慮した施業やモニタリング調査等を実施することにより、より広範で効果的な森林生態系保全の取組を推進しました。

そのほか、国有林野において、育成複層林や天然生林へ導くための施業の推進、広葉樹林の積極的な造成等を図るなど、自然環境の維持・形成に配慮した多様な森林施業を推進しました。また、優れた自然環境を有する森林の保全・管理や国有林野を活用して民間団体等が行う自然再生活動を積極的に推進しました。さらに、野生鳥獣との棲み分け、共存を可能にする地域づくりに取り組むため、地域等と連携し、野生鳥獣の生息環境の整備と個体数管理等の総合的な対策を実施しました。

3 都市の緑地の保全・再生等

(1)緑地、水辺の保全・再生・創出・管理

緑豊かで良好な都市環境の形成を図るため、都市緑地法に基づく特別緑地保全地区の指定を推進するとともに、地方公共団体等による土地の買入れ等を推進しました。また、「都市の生物多様性指標」に基づき、都市における生物多様性保全の取組みの進捗状況を地方公共団体が把握・評価し、将来の施策立案等に活用されるよう普及を図りました。

首都圏近郊緑地保全法(昭和41年法律第101号)及び近畿圏の保全区域の整備に関する法律(昭和42年法律第103号)に基づき指定された近郊緑地保全区域において、地方公共団体等による土地の買入れ等を推進しました。都市緑化に関しては、緑が不足している市街地等において、緑化地域制度や地区計画等緑化率条例制度等の活用により建築物の敷地内の空地や屋上等の民有地における緑化を推進するとともに、市民緑地契約や緑地協定の締結を推進しました。さらに、風致に富むまちづくり推進の観点から、風致地区の指定を推進しました。

緑化推進連絡会議を中心に、国土の緑化に関し、全国的な幅広い緑化推進運動の展開を図りました。また、都市緑化の推進として、「春季における都市緑化推進運動(4月~6月)」、「都市緑化月間(10月)」を中心に、普及啓発活動を実施しました。

都市における多様な生物の生息・生育地となるせせらぎ水路の整備や下水処理水の再利用等による水辺の保全・再生・創出を図りました。

(2)都市公園等の整備

都市における緑とオープンスペースを確保し、水と緑が豊かで美しい都市生活空間等の形成を実現するため、都市公園の整備、緑地の保全、民有緑地の公開に必要な施設整備等を支援する「都市公園・緑地等事業」を実施しました。

(3)国民公園及び戦没者墓苑

旧皇室苑地として広く一般に利用され親しまれている国民公園(皇居外苑、京都御苑、新宿御苑)及び千鳥ケ淵戦没者墓苑では、その環境を維持するため、施設の改修、園内の清掃、芝生・樹木の手入れ等を行いました。

4 河川・湿地等の保全・再生

(1)河川の保全・再生

河川の保全等に当たっては、河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境等の保全・創出するための「多自然川づくり」をすべての川づくりにおいて推進しました。

また、多様な主体と連携して、河川を軸とした広域的な生態系ネットワークを形成するため、湿地等の保全・再生や魚道整備等の自然再生事業を推進しました。

さらに、災害復旧事業においても、「美しい山河を守る災害復旧基本方針」に基づき、河川環境の保全・復元の目的を徹底しました。

また、河川やダム湖等における生物の生息・生育状況の調査を行う「河川水辺の国勢調査」を実施し、結果を河川環境データベース(http://mizukoku.nilim.go.jp/ksnkankyo/(別ウィンドウ))として公表しています。また、世界最大規模の実験河川を有する国立研究開発法人土木研究所自然共生研究センターにおいて、河川や湖沼の自然環境保全・復元のための研究を進めました。加えて、生態学的な観点より河川を理解し、川の在るべき姿を探るために、河川生態学術研究を進めました。

(2)湿地の保全・再生

湿原や干潟等の湿地は、多様な動植物の生息・生育地等として重要な場です。しかし、これらの湿地は全国的に減少・劣化の傾向にあるため、その保全の強化と、既に失われてしまった湿地の再生・修復の手立てを講じることが必要です。

特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(以下「ラムサール条約」という。)に関しては、2015年5月に新たに4つの湿地を条約に登録し、これにより国内のラムサール条約湿地は現在50か所となっています。また、2001年度に選定した「日本の重要湿地500」について、選定から10年以上を経た環境の変化を踏まえ、見直し作業を実施し、2016年4月に「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」を公表しました。そのほか、湿原、河川、湖沼、干潟、藻場、マングローブ林、サンゴ礁等について、湿地とその周辺における生物多様性上の配慮の必要性について普及啓発を進めました。

さらに、多様な主体と連携して、河川を軸とした広域的な生態系ネットワークを形成するため、湿地等の保全・再生や魚道整備等の自然再生事業を推進しました。

(3)土砂災害対策における自然環境の保全・創出

山麓斜面に市街地が接している都市において、土砂災害に対する安全性を高め緑豊かな都市環境と景観を保全・創出するために、市街地に隣接する山麓斜面にグリーンベルトとして一連の樹林帯の形成を図りました。また、生物の良好な生息・生育環境を有する渓流や里山等を保全・再生するため、NPO等と連携した山腹工等を実施しました。土砂災害防止施設の整備に当たり良好な自然環境の保全・創出に努めているところです。

5 沿岸・海洋域の保全・再生

(1)沿岸・海洋域の保全

海洋基本計画、国家戦略及び海洋生物多様性保全戦略に基づいて、「生物多様性の観点から重要度の高い海域」の抽出を行い、2016年4月に公表しました。

景観や生物多様性保全上重要な海域については、自然公園法に基づく海域公園地区に指定するなど海域の保護を図りました。

有明海・八代海における海域環境調査、東京湾等における水質等のモニタリング、海洋短波レーダを活用した流況調査、水産資源に関する調査等を行いました。

サンゴ礁生態系保全行動計画を改訂し、2016年3月に「サンゴ礁生態系保全行動計画2016-2020」を策定しました。これに基づき、重点課題に対応するモデル事業の実施など保全の取組を推進しました。

(2)水産資源の保護管理

漁業法(昭和24年法律第267号)及び水産資源保護法(昭和26年法律第313号)に基づく採捕制限等の規制や、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(平成8年法律第77号)に基づく海洋生物資源の採捕量の管理及び漁獲努力量に着目した管理を行ったほか、[1]「資源回復計画」の推進、[2]外来魚の駆除、環境・生態系と調和した増殖・管理手法の開発、魚道や産卵場の造成等、[3]ミンククジラ等の生態、資源量、回遊等の実態把握及び資源回復手法の解明に資する調査、[4]ヒメウミガメ、シロナガスクジラ及びジュゴン等の原則採捕禁止等、[5]サメ類の保存・管理及び海鳥の偶発的捕獲の対策に関する行動計画の実施促進等、[6]混獲防止技術の開発等を実施しました。

海洋生物の生理機能を解明して革新的な生産につなげる研究開発と生物資源の正確な資源量の変動予測を目的に生態系を総合的に解明する研究開発を実施するとともに、国立研究開発法人科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業として海洋生物の観測・モニタリング技術の研究開発を推進しました。

(3)海岸環境の整備

海岸保全施設の整備においては、海岸法(昭和31年法律第101号)の目的である防護・環境・利用の調和に配慮した整備を実施しました。

(4)港湾及び漁港・漁場における環境の整備

みなとの良好な自然環境を活用し、自然環境の大切さを学ぶ機会の充実を図るため、地方公共団体やNPO等による自然体験・環境教育プログラム等の開催の場ともなる緑地・干潟等の整備を推進するとともに、海洋環境整備船による漂流ごみ・油の回収を行いました。また、2013年に策定した「プレジャーボートの適正管理及び利用環境改善のための総合的対策に関する推進計画」に基づき、これまでの取組の中間評価を行うとともに、放置艇の解消を目指した船舶等の放置等禁止区域の指定と係留・保管施設の整備を推進しました。更には、海辺の自然環境をいかした自然体験・環境教育を行う「海辺の自然学校」等の取組を推進しました。

漁港・漁場では、水産資源の持続的な利用と豊かな自然環境の創造を図るため、漁場の環境改善を図るための堆積物の除去等の整備を行う水域環境保全対策を実施したほか、水産動植物の生息・繁殖に配慮した構造を有する護岸等の整備を総合的に行う「自然調和・活用型漁港漁場づくり推進事業」を実施しました。また、藻場・干潟の保全・創造等を推進したほか、漁場環境を保全するための森林整備に取り組みました。さらに、サンゴの有性生殖による種苗生産を中心としたサンゴ増殖技術の開発に取り組みました。

(5)海洋汚染への対策

第4章第7節を参照。