環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第1部パート2第2章>第4節 災害発生時の様々なリスク管理対策

第4節 災害発生時の様々なリスク管理対策

 各府省庁は、災害対策基本法等に基づき、[1]それぞれ防災に関し必要な体制を確立するとともに、[2]災害予防、災害応急対応、災害復旧・復興その他防災に関し採るべき措置及び[3]地域防災計画の作成の基準となるべき事項並びに地震防災強化計画及び地震防災対策推進計画を定めています。

 環境省でも、防災業務計画や業務継続計画(BCP)を策定し、災害発生時の環境保全対策に備えています。例えば、船舶からの危険物等の大量流出等による海洋汚染(以下「油汚染」という。)等の二次災害への備えにおいては、油汚染災害が生じた場合、その環境への影響を迅速に把握・評価するとともに、油汚染災害に対する措置を的確に講じ、被害の発生を最小限とするために参考とすべき各海域の自然的・社会的・経済的諸情報を収集・整理するなどとしています。油汚染災害発生時には、関係機関や地方自治体と協力し、自己評価や防除作業実施者の健康安全管理、野生生物の救護等も遅滞なく行うこととなっています。

 このほか、災害とは関係が薄いように見えますが、絶滅のおそれのある野生生物の保全に当たっても、災害発生時のリスク管理対策の取組が実施されています。例えばアホウドリは、主に伊豆諸島鳥島の燕崎(つばめざき)で繁殖していますが、鳥島は火山島であるため、噴火による直接的な被害や降雨による火山灰の流入等による繁殖地の消失が懸念されています。このため、環境省では、既存繁殖地の環境整備や、鳥島内における新たな繁殖地の形成等を行ってきました。また、平成20年から平成24年まで、過去にアホウドリが繁殖していたことが確認されている小笠原諸島の聟島(むこじま)に新たな繁殖地を形成するための事業を実施し、災害に備えた危険分散を図った例もあります。