環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成25年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第6章>第4節 国際的取組に係る施策

第4節 国際的取組に係る施策

1 地球環境保全等に関する国際協力等の推進

 地球環境問題に対処するため、[1]国際機関の活動への支援、[2]条約・議定書の国際交渉への積極的参加、[3]諸外国との協力、[4]開発途上地域への支援を積極的に行っています。

(1)地球環境保全等に関する国際的な連携の確保

ア 多国間の枠組みによる連携

(ア)国連を通じた取組

a 国連持続可能な開発会議(リオ+20、UNCSD)における取組

 平成24年6月にブラジル・リオデジャネイロで国連持続可能な開発会議が開催されました。会議には世界各国から多数の首脳や閣僚級が参加したほか、各国政府関係者、国会議員、地方自治体、国際機関、企業及び市民社会から約3万人が参加しました。会議では、グリーン経済の重要性や国連環境計画(UNEP)の組織強化について盛り込まれた成果文書「The Future We Want」が採択され、我が国も議論に貢献しました。

 また、我が国は、環境未来都市の世界への普及、世界のグリーン経済移行への貢献、災害に強い強靱な社会づくりの3分野を柱とする「緑の未来」イニシアティブを発表しました。さらに、我が国の優れた環境技術や省エネ技術等をアピールすることを目的に、官民が連携して日本パビリオンを設置し、展示やセミナーを行いました。

b 国連環境計画(UNEP)における活動

 我が国は、創設当初から一貫して国連環境計画(UNEP)の管理理事国であるとともに、環境基金に対し、平成24年は約280万ドルを拠出する等、多大な貢献を行っています。同年2月には、第12回管理理事会特別会合/グローバル閣僚級環境フォーラムがケニア・ナイロビで開催され、UNEPの活動計画案や予算案に加え、グリーン経済、国際環境ガバナンス、化学物質・廃棄物管理等について議論が行われました。

 大阪に事務所を置くUNEP国際環境技術センター(IETC)に対しては、平成24年は約170万ドルを拠出する等財政的な支援を実施するとともに、IETCが実施する開発途上国等への環境上適正な技術の移転に関する支援、環境保全技術に関する情報の収集・整備及び発信や廃棄物管理に関するグローバル・パートナーシップへの協力等を行い、関係府市等と協力して、同センターの円滑な業務の遂行を支援しました。なお、UNEP及びIETCへの拠出金に関しては、平成24年6月に行われた環境省行政事業レビューにおいて抜本的に見直しを行うべきという委員からの指摘があり、同年10月から外部有識者による検討会を開催し、同機関への今後の拠出のあり方についての検討に着手しました。

 また、UNEPアジア太平洋地域事務所が実施する「気候変動に強靱な発展支援プログラム」への拠出を通して、アジア太平洋地域の途上国に対し適応基金へのダイレクトアクセスの能力開発を行いました。

(イ)世界気象機関(WMO)における取組

 我が国は、WMOの全球気象監視計画(WWW)、世界気候計画(WCP)、大気研究・環境計画(AREP)などを通じた地球環境保全のための取組に積極的に参画しました。平成24年10月に開催された世界気象会議(WMO総会)2012年臨時会合において、我が国も策定に参画してきた、気候サービスのための世界的枠組み(GFCS)の実施計画が承認され、また、気候サービスのための政府間委員会の設立が決まりました。また、気象庁はWMOの地域気候センター(RCC)を運営しており、平成24年11月には天候監視情報作成に関する研修セミナーを開催するなど、アジア地区内の気候情報の利用促進と能力向上等について貢献しました。

(ウ)経済協力開発機構(OECD)における取組

 我が国は、平成24年1月からOECD環境政策委員会の副議長を務めるなど、OECD環境政策委員会及び関連作業部会の活動に積極的に参加しています。

(エ)主要国首脳会議(G8サミット)における取組

 平成24年5月にアメリカ合衆国で開催されたG8キャンプデービッド・サミットでは、エネルギー・気候変動が議題として取り上げられました。G8首脳は、環境に安全で持続可能である上、確実かつ受容可能な価格のエネルギー源の発展及びこれに対する普遍的なアクセスは、世界の経済成長にとって及び気候変動問題に対処する世界の取組全般にとって不可欠であることを認識し、G8が共に取るべき幾つかの行動を特定したファクトシートを作成しました。

(オ)アジア・太平洋地域における取組

a ASEAN+3(日中韓)環境大臣会合及び東アジア首脳会議(EAS)環境大臣会合

 平成24年9月に、バンコク・タイにおいて第11回ASEAN+3環境大臣会合及び第3回EAS環境大臣会合が開催されました。第11回ASEAN+3環境大臣会合では、同年8月にカンボジアで開催された日・ASEAN環境協力対話の結果や、日・ASEAN統合基金(JAIF)による環境協力の進捗状況が報告されたほか、ASEAN環境モデル都市プログラム等について意見交換が行われました。また、第3回EAS環境大臣会合においては、平成24年3月にカンボジアで開催された第3回環境的に持続可能な都市(ESC)ハイレベルセミナーの成果が報告されるとともに、今後の協力の方針について議論されました。

b 日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)

 平成24年5月に、中国・北京において第14回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM14)が開催され、各国の環境政策の進展、地球規模及び地域の環境課題、環境協力に係る三カ国共同行動計画の進捗等について意見交換が行われました。本会合では、今後、電気電子機器廃棄物(E-waste)の不法越境移動、遺伝資源へのアクセスと利益分配(ABS)を含む生物多様性、グリーン経済、グリーン成長、低炭素成長、越境大気汚染等の分野での協力又は対策強化を行うこと、災害対策に関するセミナーを日本で開催すること等が合意されました。また、TEMM14にあわせて開催されたビジネスフォーラム及び学生フォーラムにおいて、国際協力を拡大することによる環境サービス産業の促進、持続可能な開発とグリーン経済を促進するための若者の役割等についてそれぞれ議論が行われ、両フォーラムの結果は大臣会合に報告されました。さらに、TEMMの下でのプロジェクトとして、日中韓環境産業円卓会議及び日中韓合同環境研修等が開催されました。

c 北東アジア環境協力プログラム(NEASPEC)

 第17回北東アジア環境協力プログラム高級実務者会合(NEASPEC SOM17)が平成24年12月に中国の成都で開催され、「国境地域の自然保全」、「越境大気汚染」や「海洋環境」等をテーマとして議論を行いました。

d その他の取組

 平成24年7月に、東京において「第21回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」が開催され、アジア太平洋地域(17カ国)及び国際機関等(12機関)から約55名の緩和・適応分野における技術開発・移転に関わる事業の担当官、専門家、気候変動に係る行政官が参加し、同地域の技術開発・移転について議論を行いました。

(カ)クリーンアジア・イニシアティブ

 環境と共生しつつ経済発展を図り、持続可能な社会の構築を目指すクリーンアジア・イニシアティブは、平成19年6月に閣議決定された「21世紀環境立国戦略」で提唱され、20年6月に具体的な目標や政策が取りまとめられました。24年度は、引き続きアジア各国に対し、本イニシアティブの周知を図るとともに、各種環境大臣会合等で協力を呼びかけました。

a アジアEST(環境的に持続可能な交通)地域フォーラム

 アジア地域23か国の代表が参加し、ESTに関する政策、先進事例等の共有を図るアジアEST地域フォーラムの第7回会合の準備を進めるとともに、第5回会合において示された「バンコク宣言2020」の目標実現に向けて、取組の推進を図りました。

b 東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)

 平成24年11月に、ミャンマーのヤンゴンにおいて第14回政府間会合が開催され、「EANETの強化のための文書」の平成24年1月からの運用開始を受けた活動の実施に関する検討や、EANETの活動の方向性等の審議が行われました。

c アジア水環境パートナーシップ(WEPA:Water Environment Partnership in Asia)

 平成25年2月にカンボジアにおいて第4回国際ワークショップ及び第8回年次会合を開催し、各国の産業排水管理や生活排水対策に関する現状と課題に関する情報共有・意見交換を行いました。

d アジア水環境改善モデル事業

 我が国企業による海外での事業展開を通じ、アジア等の水環境の改善を図ることを目的に、平成23年度よりアジア水環境改善モデル事業を実施しています。平成24年度は、前年度に実施した実施可能性調査の2件に関し、マレーシア、インドネシアで実証試験を実施したほか、新たに公募により選定された民間事業者が、中国やベトナムにおいて事業場排水や生活排水処理事業に関する3件の実施可能性調査を実施しました。

e アジア・コベネフィット・パートナーシップ

 平成22年11月に創設された「アジア・コベネフィット・パートナーシップ」において、アジアの途上国における環境汚染対策と温室効果ガス排出削減を同時に効率的に推進するための方策検討に積極的に参画するとともに、専用ウェブサイトを活用し、コベネフィット・アプローチの普及啓発に取り組みました。

f アジア諸国における石綿対策技術支援

 平成24年9月にモンゴルに行政・技術専門家を派遣し、石綿対策に関する基礎情報の提供を行いました。

g 日本モデル環境対策技術等の国際展開

 日本の環境対策・環境測定技術を、規制・制度、人材などとパッケージにしてアジア諸国へ普及・展開することを目的として、中国、ベトナム及びインドネシアにおいて、環境対策技術等に関する共同政策研究、ワークショップ等の協力事業を実施しました。また、こうした協力事業の成果をアジア諸国において共有する取組、アジア諸国で必要とされている環境対策技術等の情報を国内事業者に提供する取組を実施しました。

イ 二国間の枠組みによる連携

(ア)中国

 日中環境保護協力協定に基づき、平成24年9月、中国・北京で第10回日中環境保護合同委員会を開催し、日中それぞれの環境政策及び廃棄物、大気汚染、生物多様性、気候変動対応等における環境協力の推進について、幅広く意見交換しました。

 大気分野については、平成19年12月に、両国の環境大臣間での合意により開始した、環境汚染対策と温室効果ガスの排出削減の双方に資するコベネフィット協力について、平成23年4月には、協力の第2フェーズに係る覚書に合意し、中国第12次五ヶ年計画の大気汚染物質削減目標に資する協力を進めました。さらに、中国での窒素酸化物の総量削減に資するため、平成21年度から窒素酸化物削減手法や評価に関する共同研究を実施しており、23年度からは湖北省武漢市を対象として、NOx削減対策技術を導入するモデル事業を開始しています。

 水分野については、平成23年4月に両国環境大臣間で締結された覚書に基づき、農村地域等におけるアンモニア性窒素等総量削減モデル事業を実施しており、山東省威海市のモデル施設が完成したほか、四川省においても新たに事業に着手しました。

(イ)インドネシア

 平成19年12月に両国の環境大臣間で締結したコベネフィット協力に関する共同声明に基づき協力を実施してきたところですが、平成23年9月に協力の第2フェーズに係る文書に署名し、農産業分野を対象とした協力を進めるため現地調査・協議を行いました。

 また、平成23年11月25日日本国政府とインドネシア政府との間で両国間の気候変動分野における具体的な協力と更なる対話の促進が重要との認識の下、森林保全、二国間オフセット・クレジット制度(JCM/BOCM)、測定・報告・検証(MRV)の強化、低炭素成長の実現等における協力を謳った二国間協力文書が合意され、両国の間で具体的な施策に関する協議を進めました。

 さらに、平成24年12月5日、我が国とインドネシアの環境大臣間で、日本国環境省とインドネシア共和国環境省の間の環境協力に関する協力覚書が署名されました。今後は、同協力文書に基づき、気候変動、水質汚濁、大気汚染等の分野において、環境的に持続可能な都市という観点から既存の協力事業をパッケージ化することで、分野間の連携を高め、協力を深化させることとしています。

(ウ)インド

 平成24年7月5日、インドで第1回日インド環境次官級会合が開催されました。同会合では、両国における最近の環境への取組について互いに紹介し、今後の両国間の取組に関する情報交換を進めていくことを確認しました。また、平成24年10月にインドで開催された生物多様性条約第11回締約国会議(COP11)に向けて、第10回会議(COP10)の議長国である我が国と、COP11の議長国であるインドとの協力について改めて確認しました。

(エ)モンゴル

 平成24年11月20日、東京で第7回日本・モンゴル環境政策対話が開催され、気候変動対策や水銀対策等の環境政策について意見交換を行うとともに、ハイレベルの対話の継続に加えてさまざまな分野において具体的な協力を一層推進すること等が合意されました。

 平成24年12月6日、我が国の環境大臣とモンゴル国の自然環境・グリーン開発大臣が「環境協力・気候変動・二国間オフセット・クレジット制度に関する共同声明」に署名しました。その後、平成25年1月8日には、他国に先駆けて二国間オフセット・クレジット制度(JCM/BOCM)に関する二国間文書への署名が行われ、同制度を正式に開始することとなりました。

(オ)韓国

 日韓環境保護協力協定に基づき平成24年12月27日、佐賀で第15回日韓環境保護協力合同委員会を開催し、気候変動、生物多様性、大気・海洋汚染等につき意見交換を行うとともに、共同研究等を進めました。

ウ 環境と貿易

 アジア太平洋経済協力(APEC)の枠組みでは、平成24年9月にロシア・ウラジオストックでAPEC首脳会議が開催され、合意された首脳宣言の中に54品目の環境物品リストの承認等の内容が盛り込まれました。また、カナダ、モンゴル等との二国間の経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)等の二国間の枠組みにおいて、適切かつ戦略的な環境配慮の確保に努めました。

エ 海外広報の推進

 海外に向けた情報発信の充実を図り、報道発表の英語概要を逐次掲載しました。また、英語版広報誌の発刊、「Japan Annual Report on the Environment, the Sound Material-Cycle Society and the Biodiversity 2012」(英語版環境・循環型社会・生物多様性白書)等海外広報資料の作成・配布やインターネットを通じた海外広報を行いました。

(2)開発途上地域の環境の保全

 我が国は政府開発援助(ODA)による開発途上国支援を積極的に行っています。環境問題は、「政府開発援助大綱」において、「地球的規模の問題への取組」の中で「重点課題」として位置付けられています。

 さらに、ODAを中心とした我が国の国際環境協力については、平成14年に表明した「持続可能な開発のための環境保全イニシアティブ(EcoISD)」において、環境対処能力向上や我が国の経験と科学技術の活用等の基本方針の下で、地球温暖化対策、環境汚染対策、「水」問題への取組、自然環境保全を重点分野とする行動計画を掲げています。平成23年度においては、環境分野の国際協力として5,324.47百万ドルの支援を行いました。

ア 技術協力

 技術協力は、独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じて環境分野においても実施しています。我が国の技術・知識・経験を生かし、開発途上国の社会・経済の開発の担い手となる人材の育成や、課題解決能力の向上を支援します。具体的には、研修員の受入れ、専門家の派遣、機材供与、また、それらを組み合わせた技術協力プロジェクト、さらに政策立案や公共事業計画策定の支援を目的とした協力(開発計画調査型技術協力)などを行っています。

イ 無償資金協力

 無償資金協力は、居住環境改善(都市の廃棄物処理、上水道整備、地下水開発、洪水対策など)、地球温暖化対策関連(森林保全、クリーン・エネルギー導入)等の各分野において実施されています。

 また、草の根・人間の安全保障無償資金協力についても貧困対策に関連した環境分野の案件を積極的に実施しています。

ウ 有償資金協力

 有償資金協力(円借款)は経済・社会インフラへの援助等を通じ開発途上国が持続可能な開発を進める上で大きな効果を発揮します。環境関連分野でも同様であり、上下水道整備、大気汚染対策、地球温暖化対策等の事業に対しても、JICAを通じて、積極的に円借款を供与しています。

エ 国際機関を通じた協力

 我が国は、UNEPの環境基金、UNEP国際環境技術センター技術協力信託基金等に対し拠出を行っており、また、我が国が主要拠出国及び出資国となっている国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アジア開発銀行等の国際機関も環境分野の取組を強化しており、これら各種国際機関を通じた協力も重要になってきています。

 地球環境ファシリティ(GEF)は、開発途上国等で行う地球環境保全のためのプロジェクトに対して、主として地球環境益に資する増加コストに対する資金を供与する国際的資金メカニズムです。我が国はアメリカに次ぐ世界第2位の資金拠出国として、実質的な意思決定機関である評議会の場等を通じ、GEFの活動に積極的に参画しました。

2 調査研究、監視・観測等に係る国際的な連携の確保等

(1)戦略的な地球環境の調査研究・モニタリングの推進

 「環境研究総合推進費」制度の一環として、海外の研究者を招へいして日本の国立試験研究機関等において共同研究を行う「国際交流研究」の枠組み等を活用し、継続して調査研究等の充実、強化を図りました。

 監視・観測については、UNEPにおける地球環境モニタリングシステム(GEMS)、世界気象機関(WMO)における全球大気監視(GAW)計画、WMO/ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)合同海洋・海上気象専門委員会(JCOMM)の活動、全球気候観測システム(GCOS)、全球海洋観測システム(GOOS)等の国際的な計画に参加して実施しました。さらに、「全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画」を推進するための国際的な枠組みである地球観測に関する政府間会合(GEO)において、平成20年11月まで執行委員会国を務めるとともに、GEOの専門委員会である構造及びデータ委員会の共同議長を務めるなど、GEOの活動に積極的に参加しました。全球気候観測システム(GCOS)の地上観測網の推進のため、世界各国からの地上気候観測データの入電状況や品質を監視するGCOS地上観測網監視センター(GSNMC)業務や、アジア地域の気候観測データの改善を図るためのWMO関連の業務を、各国気象機関と連携して推進しました。

 気象庁は、WMOの地域気候センター(RCC)を運営し、アジア太平洋地域の気象機関に対し基礎資料となる気候情報やWEBベースの気候解析ツールを引き続き提供しました。さらに、アジア太平洋地域の気象機関を対象にした研修を実施するなど、域内各国の気候情報の高度化に向けた取組と人材育成に協力しました。

 また、超長基線電波干渉法(VLBI)やGPSを用いた国際観測に参画するとともに、験潮、絶対重力観測等と組み合わせて、地球規模の地殻変動等の観測・研究を推進しました。

 さらに、東アジア地域における残留性有機汚染物質(POPs)の汚染実態把握のため、これら地域の国々と連携して環境モニタリングを実施しました。

(2)国際的な各主体間のネットワーキングの充実・強化

 2009年(平成21年)4月に開催されたG8環境大臣会合では、各国の低炭素社会にかかわる研究機関による「低炭素社会国際研究ネットワーク」(LCS-RNet)の発足が了承されました。その後、毎年参加国において年次会合が開催されており、2012年(平成24年)9月には、英国において第4回年次会合が開催されました。現在、日本を含む7か国から16研究機関が参加しています。また、LCS-RNetの活動を通じて得られた知見を生かし、2012年(平成24年)4月に開催された東アジア低炭素成長パートナーシップ対話において、アジア太平洋地域の低炭素社会を推進する研究機関による「低炭素アジア研究ネットワーク」(LoCARNet)の設立が報告され、2012年(平成24年)10月にタイで開催された第1回会合において具体的な活動を開始しました。

 また、アジア太平洋適応ネットワーク(APAN)を他の国際機関等との連携により支援し、アジア太平洋地域の気候変動適応に関する政策立案者及び決定者・実施者に対する能力強化等の活動の強化を推進しました。さらに、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)の枠組みを活用し、アジア太平洋地域における特に開発途上国の地球変動研究の推進を積極的に支援しました。神戸市のAPNセンターを中核として、気候変動や生物多様性に関する国際共同研究などを支援し、地域内諸国の研究者及び政策決定者の能力向上に大きく貢献しました。特に気候変動緩和分野では、上記LoCARNetと、適応分野ではAPANとの連携を推進しました。

 また、地球環境の現状を把握するための地球全陸域の地理情報を整備する「地球地図プロジェクト」を関係国際機関等と連携して主導しました。本プロジェクトには166か国・16地域が参加しており、76か国・7地域分のデータが公開されています(平成25年3月31日現在)。さらに、東アジアをリアルタイムでカバーできる温暖化影響観測ネットワーク網の構築によりアジアの環境影響評価を行うとともに、アジア太平洋環境経済統合モデル(AIMモデル)を用いて、アジア各国(中国、インド等)が自ら将来の環境変化を予測するための能力開発に協力をしました。

3 民間団体等による活動の推進

 経済成長著しいアジアで活動を展開しようとする我が国企業が、優れた環境技術・サービスの積極的な海外展開を通じた国際協力を推進することを目的とし、民間企業を対象とした我が国の環境技術のアジア展開支援に関するセミナーを開催しました。また、企業の社会的責任(CSR)を念頭においた環境社会配慮を積極的に推進できるよう、我が国企業の国際環境協力に関する先進事例を調査し、それらの情報をウェブサイトに掲載しました。