環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成25年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第2章>第7節 東日本大震災からの復興・再生に向けた自然共生社会づくりの取組

第7節 東日本大震災からの復興・再生に向けた自然共生社会づくりの取組

1 三陸復興国立公園の創設

(1)陸中海岸国立公園の復旧整備

 陸中海岸国立公園の主要な利用拠点において、防災機能を強化しつつ、被災した公園利用施設の復旧・再整備を推進しました。岩手県宮古市では、浄土ヶ浜の海岸遊歩道の主要部を平成24年4月までに仮復旧して民間企業と地域による春の大規模観光キャンペーンから暫定供用を開始し、また宮古姉ヶ崎の沿岸部野営場の高台移転整備に着手しました。宮城県気仙沼市では、気仙沼大島の海辺の自然体験学習施設を復旧し、同年9月から団体旅行客の受入れを再開しました。

(2)三陸復興国立公園に関する取組

 東日本大震災からの復興の基本方針(平成23年7月29日、東日本大震災復興対策本部)を踏まえ策定した「三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興のビジョン」(平成24年5月7日、環境省)に基づき、三陸復興国立公園の創設、里山・里海フィールドミュージアムと施設整備、復興エコツーリズム、みちのく潮風トレイル、森・里・川・海のつながりの再生、持続可能な社会を担う人づくり、自然環境モニタリングといったグリーン復興プロジェクトを推進しました。

2 東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応

(1)野生動植物への影響のモニタリング

 東京電力福島第一原子力発電所の周辺地域での放射性物質による野生動植物への影響を把握するため、関係する研究機関とも協力しながら、植物の種子やネズミ等の試料の採取及び分析を進めました。また、関連した調査を行っている他の研究機関や学識経験者とも意見交換を行いながら、何世代にも渡る長期的な影響の把握に必要なモニタリング方法の検討や、警戒区域内での人間活動の減少による野生動植物への二次的な影響の把握方法の検討などを行いました。

(2)東日本大震災にかかる被災ペット対応

 震災発生以降、各自治体や緊急災害時動物救援本部((公財)日本動物愛護協会、(公社)日本動物福祉協会、(公社)日本愛玩動物協会、(公社)日本獣医師会で構成)等と連携して被災ペットの救護を支援してきました。

 特に、福島県においては、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、警戒区域内に多くのペットが取り残されたため、福島県と全面的に協力し、他の自治体、緊急災害時動物救援本部、(公社)日本獣医師会等の協力を得て、被災ペットの保護活動を実施するとともに、新たに動物収容施設を設置しました。また、飼い主からの保護依頼情報を収集、整理し、平成24年9月及び12月に集中保護活動を実施しました。これまでの保護活動により、行政が警戒区域から保護した被災ペットは、犬453頭、猫541頭になります(平成25年3月31日現在)。保護した犬猫は、福島県内の動物収容施設等で飼養管理を行いながら、元の飼い主への返還や新しい飼い主への譲渡を行いました。また、震災の教訓を踏まえて、災害時における被災動物の救護対策ガイドライン等を作成しました。

警戒区域内から保護した被災ペットについて

 環境省及び福島県が警戒区域内から保護したペットについては、福島県動物救護本部が運営するシェルター(福島県田村郡三春町)において飼育管理されています。このシェルターは、平成23年10月に設置されました。また、保護活動が進む中、新たな飼育施設を確保するために、環境省は平成24年7月に、当該シェルターの敷地内に、新たなシェルターを増設しました。このシェルターには、避難生活を送る飼い主から預かったり、飼い主がわからないなどの犬54頭及び猫213頭(平成25年3月31日現在)が暮らしており、約10名のスタッフと専任の獣医師が常駐し、毎日、給餌・給水、掃除、散歩などを行っています。中には長期の放浪生活のため、人への警戒心が強い犬や猫もいますが、家庭に戻すためにスタッフが愛情をかけて世話を行っています。


シェルターで飼育される動物

 飼い主が判明しない犬及び猫については、新しい飼い主を探しています。福島県動物救護本部では、ポスター等を作成して譲渡を呼びかけたり、ウェブサイト上で、シェルターで飼育される動物たちを紹介するなどし、譲渡の努力を続けています。

 (福島県動物救護本部のホームページ: 福島県動物救護本部 公式ページ - 福島県動物救護本部(別ウィンドウ))