環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成24年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第6章>第9節 国際的取組に係る施策

第9節 国際的取組に係る施策

1 地球環境保全等に関する国際協力等の推進

 地球環境問題に対処するため、[1]国際機関の活動への支援、[2]条約・議定書の国際交渉への積極的参加、[3]諸外国との協力、[4]開発途上地域への支援を積極的に行っています。

(1)地球環境保全等に関する国際的な連携の確保

ア 多国間の枠組みによる連携

(ア)国連を通じた取組

 [1] 国連持続可能な開発委員会CSD

 国連持続可能な開発委員会(CSD)第19会期が、平成23年5月にニューヨークの国連本部にて開催され、「廃棄物管理」、「化学物質」、「持続可能な生産と消費に関する10年取組枠組み」等をテーマとし、各国政府等がとるべき行動について活発な議論が行われ、わが国も積極的に議論に貢献しました。

 [2] 国連環境計画UNEP)における活動

 日本は、創設当初から一貫して国連環境計画(UNEP)の管理理事国であるとともに、環境基金に対し、平成23年は約280万ドルを拠出する等、多大な貢献を行っています。同年2月には、第26回管理理事会/グローバル閣僚級環境フォーラムがケニア・ナイロビで開催され、UNEPの活動計画案や予算案に加え、グリーン経済、国際環境ガバナンス、廃棄物管理、生物多様性等について議論が行われました。

 さらに、日本に事務所を置くUNEP国際環境技術センターIETC)が実施する開発途上国等への環境上適正な技術(EST)の移転を支援しました。

 [3] 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)における活動

 第16回北東アジア環境協力高級実務者会合(NEASPECSOM16)が平成23年9月に韓国のソウルで開催され、「黄砂対策」や「国境地帯の自然保護」等をテーマとして議論が行われるともに、リオ+20の準備における国内・サブ地域の活動及びプロセスのレビューについて各国より発表が行われました。日本も本会合においてラポルトゥールを務めるなど積極的な貢献を行いました。

 また、リオ+20アジア太平洋地域準備会合が平成23年10月に開催され、各国政府から、リオ+20の2つのテーマであるグリーン経済及び制度的枠組みに関してそれぞれステートメントが行われました。日本もラポルトゥールを務めるともに、ビューロー会合の一員として、リオ+20の方向性に係る原理原則を記述した成果文書案の採択に貢献しました。

(イ)世界気象機関WMO)における取組

 わが国は、WMOの全球気象監視計画(WWW)、世界気候計画(WCP)、大気研究・環境計画(AREP)などを通じた地球環境保全のための取組に積極的に参画しました。平成23年5~6月に開催された第16回WMO総会では、「気候サービスのための世界的枠組み(GFCS)」をWMOの主要事項として推進していくことが決定され、わが国はGFCSの実施計画策定に参画・貢献しています。また、地域気候センター(RCC)及び中国と連携したRCCネットワークを運営して、アジア地区内の気候情報の利用促進と能力向上等について貢献しました。

(ウ)経済協力開発機構(OECD)における取組

 わが国は、平成22年1月から平成23年12月までOECD環境政策委員会の議長を務めるなど、OECD環境政策委員会及び関連作業部会の活動に積極的に参加しています。平成23年には、当該委員会の下で、平成20年のOECD環境大臣会合で作成することとされた2050年の地球環境の将来予測をまとめた報告書「OECD環境アウトルック2050」についての議論が行われました。また、OECD閣僚理事会では、平成21年のOECD閣僚理事会で策定されることが合意された「OECDグリーン成長戦略」の統合報告書が発表されました。

(エ)世界貿易機関(WTO)等における取組

 WTO貿易と環境に関する委員会CTE)特別会合等では、貿易と環境の相互支持を強化することを目的として、平成13年のWTO第4回閣僚会議で採択されたドーハ閣僚宣言に基づき、WTOルールと多国間環境協定(MEAs)が規定する特定の貿易上の義務との関係や、環境関連の物品及びサービスの関税・非関税障壁の削減又は撤廃等について交渉が行われています。

 これに加え、わが国は経済連携協定の締結交渉も精力的に進めてきており、これまでのところ、ベトナムやスイス等との間で二国間協定を締結したほか、ASEANとの経済連携協定の締結も行いました。こうした協定において、環境保全に関する規定や環境協力の内容を盛り込む等により、貿易をはじめとする国際経済活動と環境保全との相互支持性を向上させる取組を進めています。

(オ)主要国首脳会議(G8サミット)における取組

 平成23年5月にフランスで開催されたG8ドーヴィル・サミットでは、グリーン成長、気候変動及生物多様性が議題として取り上げられました。2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を少なくとも50%削減するという目標をすべての国と共有するとの意図を再確認し、この努力の一部として、先進国全体で、温室効果ガスの排出を、1990年又はより最近の複数の年と比して2050年までに80%又はそれ以上削減するとの目標が支持されたほか、生物多様性の現在の損失速度が容認できないものであることを認識し、その損失を遅らせるための努力を強化することが表明されました。さらに、平成22年10月に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議の成果は、大きな前進であるという認識を共有しました。グリーン成長については、持続可能な世界成長を確実なものとする上で不可欠な要素で、持続可能な開発に寄与するものであるとし、同分野において主要な役割を果たし続けることへのコミットメントが表明されました。

(カ)アジア・太平洋地域における取組

 [1] クリーンアジア・イニシアティブ

 環境と共生しつつ経済発展を図り、持続可能な社会の構築を目指すクリーンアジア・イニシアティブは、平成19年6月に閣議決定された「21世紀環境立国戦略」で提唱され、20年6月に具体的な目標や政策が取りまとめられました。23年度は、引き続きアジア各国に対し、本イニシアティブの周知を図るとともに、各種環境大臣会合等で協力を呼びかけました。

 [2] 東アジア首脳会議環境大臣会合及びASEAN+3(日中韓)環境大臣会合

 平成20年10月に開催された第1回東アジア首脳会議(EAS)環境大臣会合において環境的に持続可能な都市(ESC: Environmentally Sustainable Cities)が優先的に取り組む課題とされました。ESCの取組の情報交換を行う第3回環境的に持続可能な都市ハイレベルセミナーをカンボジアで平成24年3月に開催しました。23年10月にカンボジアで開催された第10回ASEAN+3環境大臣会合では、同年9月にブルネイで開催された日ASEAN環境対話の結果や、日ASEAN統合基金による環境協力の進捗状況が報告されたほか、ASEAN環境モデル都市プログラム等について意見交換が行われました。

 [3] 日中韓三カ国環境大臣会合TEMM

 平成23年4月に、釜山(韓国)において第13回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM13)が開催され、各国の環境政策の進展、地球規模及び地域の環境課題、環境協力に係る三カ国共同行動計画の進捗等について討議が行われました。本会合では、今後、黄砂や海洋ごみ等の越境汚染対策、渡り鳥が関係する鳥インフルエンザ対応等の分野での協力及び対策強化を行うこと、東日本大震災を踏まえて、自然災害に起因する環境破壊を防止するため、情報共有や人材育成等の共同施策を検討すること等が合意されました。また、TEMM13にあわせて開催されたビジネスフォーラム及び学生フォーラムにおいて、環境市場を拡大するための環境情報の共有や低炭素グリーン・キャンパスの実現等について議論が行われ、両フォーラムの結果は、大臣会合に報告されました。さらに、TEMMの下のプロジェクトとして、日中韓環境産業円卓会議及び日中韓合同環境研修等が開催されました。

 [4] アジアEST(環境的に持続可能な交通)地域フォーラム

 平成23年12月に、ニューデリーにおいてアジアEST地域フォーラム第6回会合を開催しました。アジア地域21か国の代表が参加し、ESTに関する政策、先進事例等の共有を図るとともに、グリーン経済に向けたESTの役割や取組についての議論が行われ、その重要性を確認しました。これらの議論を踏まえ、アジア地域において「バンコク宣言2020」に示された目標の実現に向け、より一層ESTを推進することについて確認しました。

 [5] 東アジア酸性雨モニタリングネットワークEANET

 平成23年11月から12月にかけて、ベトナムのハノイにおいて第13回政府間会合が開催され、東アジア地域における酸性雨状況に関する第二次定期報告書の採択等が行われました。

 [6] アジア水環境パートナーシップ(WEPA)

 平成23年9月にマニラにおいて第3回国際ワークショップ及び第7回年次会合を開催し、各国の水質管理目標や流域管理、生活排水処理に関する現状や課題に関する情報共有・意見交換を行いました。また、平成24年3月にマルセイユ(フランス)で開催された第6回世界水フォーラムにおいて、アジアの水環境の現状や今後の課題をとりまとめた「WEPAアウトルックアジアの水環境管理2012」を発表しました。

 [7] アジア水環境改善モデル事業

 わが国企業による海外での事業展開を通じ、アジア等の水環境の改善を図ることを目的に、平成23年度より新たにアジア水環境改善モデル事業に着手しました。平成23年度は、公募により選定された民間事業者が、インドネシアやマレーシア、ベトナム、インドにおいて事業場排水や生活排水処理事業に関する5件の実施可能性調査を実施しました。

 [8] アジア太平洋地球変動研究ネットワークAPN

 アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)の枠組みを活用し、アジア太平洋地域の、特に開発途上国における地球変動研究の推進を積極的に支援しました。

 [9] アジア・コベネフィット・パートナーシップ

 平成22年11月に創設された「アジア・コベネフィット・パートナーシップ」において、アジアの途上国における環境汚染対策と温室効果ガス排出削減を同時に効率的に推進するための方策検討に積極的に参画するとともに、専用ウェブサイトを活用し、コベネフィット・アプローチの普及啓発に取り組みました。

 [10] アジア諸国における石綿対策技術支援

 平成24年3月にカンボジアに行政・技術専門家を派遣し、石綿対策に関する基礎情報の提供を行いました。

 [11] 日本モデル環境対策技術等の国際展開

 日本の環境対策・環境測定技術を、規制・制度、人材などとパッケージにしてアジア諸国へ普及・展開することを目的として、中国、ベトナム及びインドネシアにおいて、環境対策技術等に関する共同政策研究、ワークショップ等の協力事業を実施しました。また、こうした協力事業の成果をアジア諸国において共有する取組や、アジア諸国で必要とされている環境対策技術等の情報を国内事業者に提供する取組を実施しました。

イ 二国間の枠組みによる連携

(ア)中国

 平成23年7月に環境副大臣が訪中し、中国環境保護部副部長、国家発展改革委員会副主任、国家林業局副局長と日中環境協力の推進について意見交換しました。

 大気分野については、平成19年12月に、両国の環境大臣間で締結した、環境汚染対策と温室効果ガスの排出削減の双方に資するコベネフィット協力に関する意向書に基づき実施した協力の今次3年間の成果を取りまとめました。平成23年4月には、協力の第2フェーズに係る覚書に合意し、中国第12次五ヶ年計画の大気汚染物質削減目標に資する協力を進めるべく協議を行いました。さらに、中国での窒素酸化物の総量削減に資するため、平成21年度から窒素酸化物削減手法や評価に関する共同研究を実施しており、23年度には湖北省武漢市を対象として、NOx削減対策技術を導入するモデル事業を開始しました。

 水分野については、平成20年5月に日中双方の環境大臣間で交わされた覚書に基づく分散型排水処理モデル事業を着実に推進するとともに、平成23年12月には東京にて「中国12次5ヶ年計画の重点分野の解説と日中水環境協力の総括に関するセミナー」を開催し、事業の成果を国内に広く発表しました。また平成23年4月には両国環境大臣間で新たに「農村地域等におけるアンモニア性窒素等総量削減モデル事業に関する覚書」を締結し、山東省威海市においてモデル事業に着手したほか、平成24年2月には北京にて「日中水汚染物質総量削減に関する国際セミナー」を開催し、両国間の水汚染物質総量規制に関する共同研究の成果やアンモニア性窒素等削減技術を紹介しました。

(イ)韓国

 日韓環境保護協力協定に基づき平成23年9月27日、ソウル(韓国)で第14回日韓環境保護協力合同委員会を開催し、気候変動問題、生物多様性、砂漠化防止、海洋ごみ問題等につき意見交換を行うとともに、共同研究等を進めました。

(ウ)モンゴル

 平成23年9月14日、モンゴルで第6回日本・モンゴル環境政策対話が開催され、両国の環境政策と課題、協力の方向性について意見交換を行うとともに、今後、両省間の協力を更に推進していくため、環境協力に関する覚書を大臣間で締結することについて合意しました。なお、本覚書については、平成23年12月8日、国連気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)期間中に南アフリカ・ダーバンで行われた二国間会談の際に、両大臣による署名が行われました。

(エ)その他

 平成19年12月にわが国とインドネシアの環境大臣間で締結したコベネフィット協力に関する共同声明に基づき協力を実施してきたところですが、平成23年9月に協力の第2フェーズに係る文書に署名し、協力を進めるため現地調査・協議を行いました。

 また、平成23年11月25日日本国政府とインドネシア政府との間で両国間の気候変動分野における具体的な協力と更なる対話の促進が重要との認識の下、森林保全、二国間オフセット・クレジット制度、MRV(測定、報告、検証)の強化、低炭素成長の実現等における協力を謳った二国間協力文書が合意されました。

ウ 海外広報の推進

 海外に向けた情報発信の充実を図り、報道発表の英語概要を逐次掲載しました。また、「Japan Annual Report on the Environment, the Sound Material-Cycle Society and the Biodiversity 2011」(英語版環境・循環型社会・生物多様性白書)等海外広報資料の作成・配布やインターネットを通じた海外広報を行いました。

(2)開発途上地域の環境の保全

 日本は政府開発援助(ODA)による開発途上国支援を積極的に行っています。環境問題は、「政府開発援助大綱」において、「地球的規模の問題への取組」の中で「重点課題」として位置付けられています。

 さらに、ODAを中心としたわが国の国際環境協力については、平成14年に表明した「持続可能な開発のための環境保全イニシアティブ(EcoISD)」において、環境対処能力向上やわが国の経験と科学技術の活用等の基本方針の下で、地球温暖化対策、環境汚染対策、「水」問題への取組、自然環境保全を重点分野とする行動計画を掲げています。平成22年度においては、環境分野の国際協力として約7,652億円の支援を行いました。

ア 技術協力

 技術協力は、独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じて環境分野においても実施しています。日本の技術・知識・経験を生かし、開発途上国の社会・経済の開発の担い手となる人材の育成や、課題解決能力の向上を支援します。具体的には、研修員の受入れ、専門家の派遣、機材供与、また、それらを組み合わせた技術協力プロジェクト、さらに政策立案や公共事業計画策定の支援を目的とした協力(開発計画調査型技術協力)などを行っています。

イ 無償資金協力

 無償資金協力は、居住環境改善(都市の廃棄物処理、上水道整備、地下水開発、洪水対策など)、地球温暖化対策関連(森林保全、クリーン・エネルギー導入)等の各分野において実施されています。

 また、草の根・人間の安全保障無償資金協力についても貧困対策に関連した環境分野の案件を積極的に実施しています。

ウ 有償資金協力

 有償資金協力(円借款)は経済・社会インフラへの援助等を通じ開発途上国が持続可能な開発を進める上で大きな効果を発揮します。環境関連分野でも同様であり、上下水道整備、大気汚染対策、地球温暖化対策等の事業に対しても、JICAを通じて、積極的に円借款を供与しています。

エ 国際機関を通じた協力

 わが国は、UNEPの環境基金、UNEP国際環境技術センター技術協力信託基金等に対し拠出を行っており、また、わが国が主要拠出国及び出資国となっている国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アジア開発銀行等の国際機関も環境分野の取組を強化しており、これら各種国際機関を通じた協力も環境分野では重要になってきています。

 地球環境ファシリティGEF)は、開発途上国等で行う地球環境保全のためのプロジェクトに対して、主として地球環境益に資する増加コストに対する資金を供与する国際的資金メカニズムです。わが国はアメリカに次ぐ世界第2位の資金拠出国として、実質的な意思決定機関である評議会の場等を通じ、GEFの活動に積極的に参画しました。

(3)国際協力の円滑な実施のための国内基盤の整備

 行政とNGO間及び途上国の持続可能な開発に携わる国際協力NGO間の連携を推進し、環境国際協力を強化することを目的に、平成23年度にはさまざまな国際協力NGOや政府関係者、研究者などを対象としたNGO連携会合を開催しました。

2 調査研究、監視・観測等に係る国際的な連携の確保等

(1)戦略的な地球環境の調査研究・モニタリングの推進

 「環境研究総合推進費」制度の一環として、海外の研究者を招へいして日本の国立試験研究機関等において共同研究を行う「国際交流研究」の枠組み等を活用し、継続して調査研究等の充実、強化を図りました。

 監視・観測については、UNEPにおける地球環境モニタリングシステム(GEMS)、世界気象機関WMO)における全球大気監視(GAW)計画、WMO/ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)合同海洋・海上気象専門委員会(JCOMM)の活動、全球気候観測システム(GCOS)、全球海洋観測システム(GOOS)等の国際的な計画に参加して実施しました。さらに、「全球地球観測システム(GEOSS)10年実施計画」を推進するための国際的な枠組みである地球観測に関する政府間会合GEO)において、平成20年11月まで執行委員会国を務めるとともに、GEOの専門委員会である構造及びデータ委員会の共同議長を務めるなど、GEOの活動に積極的に参加しました。全球気候観測システム(GCOS)の地上観測網の推進のため、世界各国からの地上気候観測データの入電状況や品質を監視するGCOS地上観測網監視センター(GSNMC)業務や、アジア地域の気候観測データの改善を図るためのWMO関連の業務を、各国気象局と連携して推進しました。

 アジア太平洋気候センターは、WMOの地域気候センター(RCC)を運営し、アジア太平洋地域各国の気象機関に対し基盤的な気候情報及びWEBベースの気候解析ツールを引き続き提供しました。さらに、アジア太平洋地域の気象機関を対象にした研修を実施するなど、域内各国の気候情報の高度化に向けた取組と人材育成に協力しました。

 また、VLBI(超長基線電波干渉法)やGPSを用いた国際観測に参画するとともに、験潮、絶対重力観測等と組み合わせて、地球規模の地殻変動等の観測・研究を推進しています。

 さらに、東アジア地域における残留性有機汚染物質POPs)の汚染実態把握のため環境モニタリングを実施するとともに、域内各国間で情報を共有し今後の計画について検討するため、ワークショップを開催しました。

(2)国際的な各主体間のネットワーキングの充実・強化

 アジア太平洋地球変動研究ネットワークAPN)の枠組みを活用し、アジア太平洋地域における特に開発途上国の地球変動研究の推進を積極的に支援しました。APNでは、神戸市内に開設したAPNセンターを中核として、気候変動や生物多様性に関する国際共同研究などを支援し、地域内諸国の研究者及び政策決定者の能力向上に大きく貢献しました。

 また、地球環境の現状を把握するための地球全陸域の地理情報を整備する「地球地図プロジェクト」を関係国際機関等と連携して主導しました。本プロジェクトには164か国・16地域が参加しており、71か国・4地域分のデータが公開されています(平成22年3月31日現在)。さらに、東アジアをリアルタイムでカバーできる温暖化影響観測ネットワーク網の構築によりアジアの環境影響評価を行うとともに、アジア太平洋環境経済統合モデル(AIMモデル)を用いて、アジア各国(中国、インド等)が自ら将来の環境変化を予測するための能力開発に協力をしました。

 また、アジア太平洋気候変動適応ネットワーク(APAN)を他の国際機関等との連携により支援し、気候変動適応に関する活動の強化を推進しました。

3 民間団体等による活動の推進

 経済成長著しいアジアの新興国で活動を展開しようとするわが国企業が、企業の社会的責任(CSR)を念頭においた環境社会配慮を積極的に推進できるよう、わが国企業の環境国際CSRに関する先進事例を調査し、それらの情報をウェブサイトに掲載するとともに、国際環境協力セミナーを開催しました。