環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成24年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第6章>第5節 地域における環境保全の推進

第5節 地域における環境保全の推進

1 地域における環境保全の現状

(1)地方環境事務所における取組

 地方環境事務所においては、地域の行政・専門家・住民等と協働しながら、廃棄物・リサイクル対策、地球温暖化防止等の環境対策、国立公園保護管理等の自然環境の保全整備、希少種保護や外来種防除等の野生生物の保護管理について、地域の実情に応じた環境施策を展開しました。

(2)地域における環境保全施策の計画的・総合的推進

 各地方公共団体において設置された地域環境保全基金により、ビデオ、学校教育用副読本等の啓発資料の作成、地域の環境保全活動に対する相談窓口の設置、環境アドバイザーの派遣、地域の住民団体等の環境保全実践活動への支援等が行われました。

(3)地方公共団体の環境保全施策

 平成22年度において、地方公共団体が支出した公害対策経費(地方公営企業に係るものを含む。)は、2兆3,180億円(都道府県6,064億円、市町村1兆7,116億円)となっています。これを前年度と比べると、2,670億円(10.3%)の減となっています(表6-5-1)。


表6-5-1 地方公共団体公害対策決算状況(平成22年度)

 公害対策経費の内訳を見ると、公害防止事業費が1兆9,409億円(構成比83.7%)、次いで一般経費(人件費等)が1,848億円(同8.0%)等となっています。さらに、公害防止事業費の内訳を見ると、下水道整備事業費が1兆5,563億円で公害対策経費の67.1%と最も高い比率を占めており、次いで廃棄物処理施設整備事業費が2,784億円(構成比12.0%)となっています。

2 持続可能な地域づくりに関する取組

 平成23年度には、集約型・低炭素型の都市の構築など、環境負荷の小さいまちづくりの実現に向け、公共交通の利用促進や風の通り道等の自然資本の活用など、面的な対策を推進するために10地域におけるシミュレーション及び計画策定の支援を低炭素地域づくり面的対策推進事業において行いました。

 また、都市再開発において、対策効果の評価などを通じて先進的な取組を推進するためのサステイナブル都市再開発促進モデル事業を平成23年度に11地域(平成21・22年度には7地域)で実施するとともに、都市再開発における環境配慮の取組を推進するためのガイドラインを作成しました。

 特別な助成を行う防災・省エネまちづくり緊急促進事業を創設し、省エネルギー性能の向上に資する質の高い施設建築物を整備する市街地再開発事業等に対し支援を行いました。

3 公害防止計画

 公害防止計画は、環境基本法第17条に基づき、現に公害が著しく、又は公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講ずる必要がある地域について都道府県知事が作成する地域計画です。

 公害防止計画制度は、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成23年法律第105号)により改正され、公害防止計画の作成が都道府県知事の自主判断になるとともに、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和46年法律第70号)に基づく国の財政上の特別措置を受けようとする場合には、公害防止計画のうち公害防止対策事業等に係る部分(公害防止対策事業計画)について環境大臣の同意を求めることができるという制度となりました。

 また、旧制度に基づく公害防止計画は全て平成22年度末に終了し、新制度に基づく21地域の公害防止計画について、その一部を構成する公害防止対策事業計画に係る環境大臣の同意を行いました。