環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成24年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第5章>第7節 国内における毒ガス弾等に係る対策

第7節 国内における毒ガス弾等に係る対策

 平成14年9月以降、神奈川県寒川町、平塚市において、道路建設現場等において作業従事者が割れたビンから流出した毒ガス等により被災する事故等が起きました。また、平成15年3月には茨城県神栖市において、住民から手足のしびれ、ふるえ等の訴えがあり、飲用井戸の水質を検査した結果、旧軍の化学剤の原料に使用された歴史的経緯があるジフェニルアルシン酸(有機ヒ素化合物)が検出されました。これらの問題を契機に、同年6月に閣議了解、12月には閣議決定がなされ、政府が一体となって、以下の取組を進めています。

1 個別地域の事案

 茨城県神栖市の事案については、旧軍の化学剤の原料に使用された歴史的経緯があるジフェニルアルシン酸による地下水汚染と健康影響が生じていることを受け、平成15年6月の閣議了解に基づき、ジフェニルアルシン酸にばく露したと認められる人たちに対して、その症候や病態の解明を図るための調査研究を行い、医療費等の給付や健康管理調査、小児精神発達調査(平成23年6月開始)等の緊急措置事業を実施してきました。また、ジフェニルアルシン酸の汚染メカニズム解明調査を実施するとともに、汚染源周辺地域における高濃度汚染地下水を対象とした対策を実施しました。

 平塚市の事案については地下水モニタリングを実施し、また寒川町及び習志野の事案については、毒ガス弾等による被害を未然に防止する観点から、土地改変時における所要の環境調査等を実施しました。平成19年度に毒ガス弾の可能性がある砲弾が発見された千葉市の事案については、関係省庁及び関係地方公共団体と協力し、毒ガス弾と判断される砲弾176発の無害化処理を完全に完了しました。

2 毒ガス情報センター

 環境省では、閣議決定に基づき、毒ガス弾等に関する情報を一元的に扱う情報センターを平成15年12月に設置し情報を受け付けるとともに、ホームページやパンフレット(http://www.env.go.jp/chemi/gas_inform/pamph/(別ウィンドウ))等を通じて被害の未然防止について周知を図っています。