環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成24年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第4章>第8節 東日本大震災に係る環境モニタリングの取組

第8節 東日本大震災に係る環境モニタリングの取組

1 有害物質等のモニタリング

 大気環境については、岩手県、宮城県、福島県及び茨城県において、避難所等被災者が多数生活している地域を中心に、地方公共団体の要望を踏まえ、常時監視対象物質、ダイオキシン類及び有害大気汚染物質(優先取組物質)の大気環境モニタリングを実施しました。12月には、継続調査の観点からモニタリングを実施しました。また、アスベストについて、被災地における大気濃度調査を、平成23年度中に延べ505地点で実施しました。

 水環境については、地震や津波により甚大な被害を受けた青森県から茨城県において、河川、海域の水質・底質、地下水の水質について、環境基準項目、ダイオキシン類等の調査を実施し、その結果を踏まえ、必要な措置を実施しました。その他、震災発生以後の陸域からの汚濁物質の流入によって、特に水質の悪化が懸念される被災地の閉鎖性海域を対象に、震災後の状況を把握するために、水質、底質、生物等の調査を実施しました。また、被災地の沿岸域周辺において、環境基準等は設定されていないものの、環境残留性・有害性の高い物質等を対象として、水質、底質、生物及び大気について調査を実施しました。海洋においては、音波を利用した海底ごみ調査を実施するとともに、流出した廃棄物の総量推計や、震災起因洋上漂流物の漂流経路、漂着時期、漂着場所等についての今後の予測を実施しました。

 土壌環境については、津波等により甚大な被害を受けた青森県から千葉県の公有地において、土壌汚染対策法に定める特定有害物質やダイオキシン類の調査を実施し、その結果を踏まえ、地下水や土地の利用状況を調査するなど、必要な措置を実施しました。

2 東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質に係るモニタリング

 東京電力福島第一原子力発電所の事故により環境中に大量の放射性物質が放出され、国民の健康への影響等が懸念されることから、子どもをはじめとした国民の健康管理や除染活動等今後の対策の検討に資するとともに、一体的でわかりやすい情報提供を行うため、政府等で構成されるモニタリング調整会議において、平成23年8月に「総合モニタリング計画」を決定し、平成24年3月には改訂を行いました。同計画では、放射性物質に係るモニタリングについて各府省等の役割分担を明確にしており、各府省庁等は、同計画に沿ったモニタリングを実施しています。また、放射線モニタリング情報のポータルサイトにおいて、各府省等が実施したモニタリングの結果を一元的に情報提供しています。