第4節 水環境の保全対策

1 水利用の各段階における負荷の低減

(1)汚濁負荷の発生形態に応じた負荷の低減

 ア 特定汚染源対策

 (ア) 排水規制の実施と上乗せ排水基準の設定

 公共用水域の水質保全を図るため、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)により特定事業場から公共用水域に排出される水については、全国一律の排水基準が設定されていますが、環境基準の達成のため、都道府県条例においてより厳しい上乗せ基準を設定が可能であり、すべての都道府県において上乗せ排水基準が設定されています。

 また、平成13年に健康項目として排水基準が設定されたほう素・ふっ素・硝酸性窒素類について、26業種に適用されていた暫定排水基準を平成19年6月に見直しを行い、うち19業種について暫定排水基準の強化又は撤廃を行いました。これを受け、現在暫定排水基準が適用されている業種について、次回の暫定排水基準見直しに向けた、各業界による自主的取組の指導及び必要な技術的検討を実施しました。

 (イ) 汚水処理施設の整備

 生活排水対策については処理施設の整備がいまだ十分でないため(図2-4-1)、地域の実状に応じ、浄化槽、下水道、農業等集落排水施設、コミュニティ・プラント(地域し尿処理施設)など各種汚水処理施設の整備を推進しました。その際、人口減少等の社会情勢の変化を踏まえ、都道府県ごとの汚水処理施設の整備等に関する「都道府県構想」の見直しを推進し、汚水処理施設の整備の効率化を図りました。


図2-4-1 汚水処理人口普及率の推移

 浄化槽については、平成20年10月に政府与党で決定した第2次緊急経済対策「生活対策」において、市町村の浄化槽整備事業に対する助成事業(地域生活排水対策推進浄化槽整備モデル事業)に対する国の助成率を2分の1に引き上げるなど、浄化槽整備事業に対する支援の一層の充実を図りました。

 また、浄化槽については、個人の設置に対する補助を行う市町村や、市町村自らの整備に対する国庫補助制度により、平成19年度においては、全国約1,800の市町村のうち約1,400の市町村で整備が図られました。また、既存の単独処理浄化槽の浄化槽への転換については、単独処理浄化槽の撤去を交付金の対象とすることにより推進しました。さらに、下水道、浄化槽、農業集落排水施設等の整備事業を関係省が重点的に支援する「汚水処理施設連携整備事業」においては、19年度は新たに11市町の事業を認定し、17年度以降に始まった継続事業と合わせて351市町で実施しました。

 下水道整備については、「社会資本整備重点計画」に基づき、普及が遅れている中小市町村の下水道整備、閉鎖性水域における水質保全のための高度処理の積極的導入等を重点的に実施しました。

 合流式下水道については、平成16年から原則10年以内での改善が義務化されたことを受け、「合流式下水道緊急改善事業」等を活用し、緊急的・総合的に合流式下水道の改善を推進しました。さらに、流域全体で効率的に高度処理を実施することができる高度処理共同負担事業を推進するとともに、高度処理に係る費用負担の算定方法等に関するガイドラインを活用し、各地の検討を支援しました。

 また、下水道の未普及対策として、「下水道未普及解消クイックプロジェクト社会実験」を実施し、従来の技術基準にとらわれず地域の実状に応じた低コスト、早期かつ機動的な整備が可能な新たな整備手法の導入を推進しており、平成20年12月末時点で11市町において実施し、施工が完了した地域では大幅なコスト縮減や工期短縮などの効果を実現しました。さらに、平成20年度においては、普及の遅れた中小市町村を中心に管きょの補助対象範囲を拡大する等、早急な未普及解消を図り、水環境の保全を推進しました。その他、下水道ストックの増大を踏まえ、老朽化等に起因した事故発生や機能停止を未然に防止するため、「下水道長寿命化支援制度」を創設し、ライフサイクルコストの最小化の観点を踏まえ、長寿命化対策を含めた計画的な改築を推進しました。

 農業振興地域においては、農業集落におけるし尿、生活雑排水等を処理する農業集落排水施設の整備を435地区、緊急に被害防止対策を必要とする地区については、用排水路の分離、水源転換等を行う水質障害対策に関する事業(直轄4地区、補助3地区)を実施しました。さらに、漁業集落から排出される汚水等を処理し、漁港及び周辺水域の浄化を図るため、漁業集落排水施設整備を推進しました。

 水質汚濁防止法では生活排水対策の計画的推進等が規定されており、同法に基づき都道府県知事が重点地域の指定を行っています。平成21年3月末現在、42都府県、210地域、351市町村が指定されており、生活排水対策推進計画による生活排水対策が推進されました。

 イ 非特定汚染源対策

 降雨等により流出するいわゆる非特定汚染源も、水質汚濁の大きな要因の一つになっています。市街地、農地等の非特定汚染源については、効果的な施策を構築するため、モデル流域における計画の策定・検討調査を実施しました。また、雨天時に宅地や道路等の市街地から公共用水域に流入する汚濁負荷を削減するため、新世代下水道支援事業制度水環境創造事業ノンポイント汚濁負荷削減型を活用し、対策を推進しました。さらに、れき等の利用による浄化型水路の整備などにより、農業用用排水路等の水質浄化を図るため、水質保全対策事業を推進しました。


(2)負荷低減及び浄化手法の開発、普及等

 下水道に関わる新技術を先駆的に導入・評価し、新技術の普及と効率的な事業の執行を図るために、新世代下水道支援事業制度機能高度化促進事業など総合的な技術開発を実施しました。また、合流式下水道改善、高度処理に関する技術の普及を図りました。

 農業集落排水事業においては、高度処理技術の一層の開発・普及を推進するとともに、遠方監視システムの活用による高度処理の普及促進を支援しました。


(3)水環境の安全性の確保

 ア 水道水源の水質保全対策

 水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律(平成6年法律第8号)に基づき、平成20年度末までに、都道府県計画(8計画)、河川管理者事業計画(1計画)が策定されました。

 イ 地下水汚染対策

 水質汚濁防止法に基づいて、地下水の水質の常時監視、有害物質の地下浸透禁止、事故時の措置、汚染された地下水の浄化等の措置が取られています(図2-4-2)。また、地下水の水質調査により井戸水の汚染が発見された場合、井戸所有者に対して飲用指導を行うとともに、周辺の汚染状況調査を実施し、汚染源が特定されたときは、指導等により、適切な地下水浄化対策等が行われます。


図2-4-2 水質汚濁防止法の地下水の規制等の概要

 環境基準超過率が最も高い硝酸性窒素による地下水汚染対策については、硝酸性窒素による地下水汚染が見られる地域において効果的な汚染防止及び浄化の手法の確立に向けた調査を実施し、総合的な対策を講ずるための方策を検討しました。

 ウ 漁場環境等調査

 ダイオキシン類等有害物質の魚介類中での蓄積状況把握、蓄積機構解明、試験方法検討などの調査のほか、二枚貝等が体内に蓄積する貝毒のモニタリング手法の検討、内湾域における発電所の取放水を活用した、貧酸素水塊等による漁業被害の軽減について検討等を行いました。

 エ 農薬環境汚染対策

 農薬については、水質汚濁の未然防止を図る観点から、農薬取締法(昭和23年法律第82号)に基づき水質汚濁に係る農薬登録保留基準を定めており、平成20年度に6農薬の基準値を設定するとともに、当該水質汚濁による水産動植物経由の農薬摂取のリスクを勘案した改正を平成20年10月に行いました。また、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準について、平成20年度に39農薬の基準値を設定しました。

2 閉鎖性水域における水環境の保全

(1)湖沼

 湖沼については、富栄養化対策として、水質汚濁防止法に基づき、窒素及びりんに係る排水規制を実施しており、窒素規制対象湖沼は277、りん規制対象湖沼は1,329です。また、湖沼の窒素及びりんに係る環境基準については、琵琶湖等合計110水域(106湖沼)について類型指定が行われています。

 また、水質汚濁防止法の規制のみでは水質保全が十分でない湖沼については、湖沼水質保全特別措置法(昭和59年法律第61号)によって、環境基準の確保の緊要な湖沼を指定して、湖沼水質保全計画を策定し(図2-4-3、図2-4-4)、下水道整備、河川浄化等の水質の保全に資する事業、各種汚濁源に対する規制等の措置等を推進しています。また、流出水対策を推進するための流出水対策推進計画の策定手法や水質浄化の観点からの湖辺植生の適正な維持管理手法の検討等を実施しました。さらに、琵琶湖等湖沼の汚濁機構解明のための調査を実施しました。


図2-4-3 湖沼水質保全特別措置法に基づく11指定湖沼位置図


図2-4-4 湖沼水質保全計画策定状況一覧(平成21年3月現在)


(2)閉鎖性海域

 ア 富栄養化対策

 閉鎖性が高く富栄養化のおそれのある海域に適用される窒素及びりんに係る排水基準については、現在、88の海域とこれに流入する公共用水域に排水する特定事業場に適用されています。また、海域における全窒素及び全りんの環境基準については、上記の閉鎖性海域を対象に環境基準類型を当てはめる作業が国・都道府県で行われており、54海域が指定されています。

 また、平成17年の下水道法(昭和33年法律第79号)一部改正を受け、閉鎖性水域に係る流域別下水道整備総合計画に下水道終末処理場からの放流水に含まれる窒素・りんの削減目標量及び削減方法を定める見直しを進めるとともに、これらに基づく下水道の整備を推進しました。

 イ 水質総量削減対策

 広域的な閉鎖性海域のうち、人口、産業等が集中し排水の濃度規制のみでは環境基準を達成維持することが困難な広域的な閉鎖性海域である東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海を対象に、COD、窒素含有量及びりん含有量を削減対象の指定項目として、水質総量削減を実施しています。具体的には、地域の実情に応じ、下水道、浄化槽、農業集落排水施設、コミュニティ・プラントなどの整備等による生活排水対策、工場等の総量規制基準の遵守指導による産業排水対策、合流式下水道の改善等によるその他の汚濁発生源に対する諸対策を引き続き推進しました。

 その結果、これらの閉鎖性海域の水質は改善傾向にありますが、COD、全窒素・全りんの環境基準達成率は十分な状況になく(ただし、瀬戸内海における全窒素・全りんの環境基準はおおむね達成)、富栄養化に伴う問題が依然として発生しています(図2-4-5)。


図2-4-5 三海域の環境基準達成率の推移(全窒素・全りん)

 そこで、閉鎖性海域における水環境の一層の改善を推進するために、平成18年11月に策定した21年度を目標年度とする第6次総量削減基本方針に基づき関係都府県により総量削減計画が策定されており、現在は当該計画に基づき、汚濁負荷削減目標量を達成すべく各種施策が推進されています。

 また、今後の閉鎖性海域が目指すべき水環境の目標とその達成に向けたロードマップを明らかにする閉鎖性海域中長期ビジョンの策定に向けた検討を行いました。

 ウ 瀬戸内海の環境保全

 瀬戸内海においては、瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和48年法律第110号)及び瀬戸内海環境保全基本計画等により、総合的な施策が進められてきています。瀬戸内海沿岸の関係11府県は、自然海浜を保全するため、自然海浜保全地区条例等を制定しており、平成19年12月末までに91地区の自然海浜保全地区を指定しています。また、瀬戸内海における埋立て等については、海域環境、自然環境及び水産資源保全上の見地等から特別な配慮がされることとしており、同法施行以降19年11月1日までの間に埋立ての免許又は承認がなされた公有水面は、約4,810件、約12,950ha(うち18年11月2日以降の1年間に21件、37.8ha)になります。

 エ 有明海及び八代海の環境の保全及び改善

 有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律(平成14年法律第120号)に基づき環境省に設置された「有明海・八代海総合調査評価委員会」からの提言(平成18年12月)を踏まえ、貧酸素水塊に関する調査、環境変化による魚介類への環境影響に関する調査等を充実させるとともに、調査機関間の連携・協力の促進に係る取組を実施しました。

 オ 里海の創生の推進

 多様な魚介類等が生息し、人々がその恩恵を将来にわたり享受できる自然の恵み豊かな豊穣の里海の創生に向け、先進的な取組を実施している海域を支援するとともに、里海の創生に向けた取組を支援するためのマニュアル作成に向けた検討を行いました。


(3)閉鎖性水域の浄化対策

 水質悪化が著しい湖沼においては、底泥からの栄養塩類の溶出等を抑制するため、底泥しゅんせつを実施するとともに、湖沼に流入する汚濁負荷の削減を図るため、流入河川において直接浄化施設、農業用用排水路等において水質浄化施設の整備を実施しました。

 また、漁港内外の静穏水域の浄化対策として、風力等自然エネルギーを活用した水域環境改善手法の検討を行いました。

 閉鎖性が強くヘドロの堆積した海域の環境改善を目的として、海域環境創造・自然再生事業(覆砂干潟等の整備)等を瀬戸内海等の3海域及び堺泉北港等11港において実施しました。また、水産基盤整備事業により、三重県英虞湾(あごわん)の漁場環境の改善を図るためしゅんせつを行いました。


(4)大都市圏の「海の再生」

 都市再生プロジェクト(第3次決定)「海の再生」の現実に向けて、東京湾、大阪湾及び伊勢湾においてそれぞれの再生行動計画に基づき、関係機関の連携のもと、陸域からの汚濁負荷の削減、海域における環境改善、環境モニタリング等の各種施策を関係機関と連携して推進しました。さらに、広島湾においても「全国海の再生プロジェクト」として、三大湾と同様に行動計画に基づき、各種施策を推進しました。

3 環境保全上健全な水循環の確保

(1)水環境に親しむ基盤作り

 関係機関の協力の下、一般市民の参加を得て全国水生生物調査(水生生物による水質調査)を実施しました。平成19年度の参加者80,216人となりました。

 また、平成20年6月8日を中心に、全国のおよそ6,200地点で約1000の市民団体と協働して、身近な水環境の一斉調査を実施し、その結果を分かりやすく表示したマップを作成しました。

 さらに、河川水質を総合的に分かりやすく評価する新しい指標(人と河川の豊かなふれあいの確保、豊かな生態系の確保、利用しやすい水質の確保、下流域や滞留水域に影響の少ない水質の確保、の4つの視点)に基づき、全国で一般市民の参加を得て調査を実施しました。

 また、子どもたちのホタルに関連した水環境保全活動(「こどもホタレンジャー」)を募集し、平成20年度は、愛知県の岡崎市立鳥川(とっかわ)小学校、茨城県の水戸市立国田(くにた)中学校、沖縄県の久米島ホタルの会の活動に対して環境大臣表彰を行いました。

 環境問題が主要議題の一つとして開催されたG8北海道洞爺湖サミットにちなみ、水環境保全の一層の推進を図ることを目的に、昭和60年に選定した「名水百選」(以下「昭和の名水百選」という。)に加え、新たな名水として「平成の名水百選」を平成20年6月に選定しました。また、平成20年5月には、「昭和の名水百選」の一つである布引渓流がある兵庫県神戸市において『名水サミットin神戸』を開催し、水環境の保全の推進と水質保全意識の高揚を図りました。

 また、新世代下水道支援事業制度水環境創造事業により、下水処理水等を活用したせせらぎ水路等の整備を行いました。


(2)環境保全上健全な水循環の確保

 環境保全上健全な水循環機能の維持・回復を図るため、森林については、森林計画制度に基づき、育成複層林施業等による森林の整備を通じて保水能力の高い森林の育成に努めるなど適切な維持管理を進めました。また、雨水の貯留や地下水かん養等を通じた水循環の調整能力を有する水田等の農地の適切な維持管理を進めました。

 河川等においては、水質、水量、水生生物、水辺地などの保全を進めるため、れき等を利用した浄化水路等の整備を行い、河川、湖沼等の自然浄化能力の維持・回復を図りました。また、特に水質汚濁の著しい場合は「第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスII)」に基づき、市町村や地域住民等の取組と一体となって、河川事業、下水道事業を重点的に実施しました。また、ダム直下流の無水区間の解消等を行う「水系環境整備事業」などを実施し、本来の川の姿を目指して清流回復を図りました。このほか、流域別下水道整備総合計画等の水質保全に資する計画の策定の推進に加え、下水道法施行令等の規定や、下水処理水の再利用の際の水質基準等マニュアルに基づき、適切な下水処理水等の有効利用を進めるとともに、雨水の貯留浸透や再利用を推進しました。また、環境保全上健全な水循環計画の策定など流域単位の取組を推進・支援するための調査を実施しました。海域においては、自然海岸、干潟、藻場、浅海域の適正な保全を推進するとともに、自然浄化能力の回復に資するよう、海岸環境整備事業、港湾環境整備事業等により人工干潟・海浜等を適切に整備しました。また、健全な水循環の確保に向けた計画づくりのための調査を実施しました。

 「健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議」では、健全な水循環系の構築のため、継続的に情報交換及び施策相互の連携・協力の推進を図りました。

 また、「琵琶湖・淀川流域圏の再生」(都市再生プロジェクト第6次決定)については、関係省庁及び地方公共団体等から成る「琵琶湖・淀川流域圏再生推進協議会」において、再生計画の具体的な展開を図るため、分野・テーマごとに行政機関で協議・調整を行うなど、流域圏全体で一体的・総合的に施策を推進しました。

 湧水については、保全・復活活動を具体的に支援するためのモデル地域における調査と湧水保全方策の検討を行いました。

4 環境基準の設定及び水環境の効率的・効果的な監視等の推進

(1)環境基準の設定等

 水質汚濁に係る環境基準のうち、健康項目については、現在、カドミウム、鉛等の重金属類、トリクロロエチレン等の有機塩素系化合物、シマジン等の農薬など、26項目が設定されています。さらに、要監視項目(現在27項目)等、環境基準項目以外の項目の水質測定や知見の集積を行いました。

 生活環境項目については、BODCOD、溶存酸素量(DO)、全窒素、全りん、全亜鉛等の基準が定められており、利水目的から水域ごとに環境基準の類型指定を行っています。また、生活環境項目の設定から36年以上が経過していること等を踏まえ、今後の在り方に関して基礎的な調査を進めたほか、水環境を総合的にとらえ、水環境の健全性を示す指標について引き続き調査を行いました。

 生活環境項目のうち、水生生物の保全に係る水質環境基準については、国が類型指定する水域のうち、荒川・利根川水系及び東京湾に係わる検討を行いました。


(2)公共用水域等の監視測定体制の整備

 水質汚濁防止法に基づき、国及び地方公共団体は公共用水域及び地下水の水質の常時監視を行っています。平成17年度から、地方公共団体の常時監視に対する助成が廃止されたこと等を踏まえ、水質常時監視的確化・効率化に資する具体的な評価手法や基準の在り方について検討を行いました。

 地下水の常時監視については、的確化・効率化のための具体的方策として、「地下水質モニタリングの手引き」の改正及び地下水質常時監視事務に係る処理基準の一部改正を行いました。併せて、地下水の常時監視結果をインターネット上で分かりやすく公開するため、GISを活用したシステムの構築作業を行いました。

 これに加えて、河川管理者の立場から、全国一級河川の主要な地点において、水質汚濁状況を把握するため、水質の測定を実施しました。また、全国の一級河川の主要な水域は、水質自動監視測定装置を設置しテレメーター化を図り、水質の集中監視を実施しています。

 排水の監視については、水質汚濁防止法に基づき、都道府県知事及び政令市長は、工場・事業場の排水基準の遵守状況を監視するため、必要に応じ工場・事業場に報告を求め又は立入検査を行っています。これらの監視行為に基づき、都道府県知事及び政令市長は、改善命令等の必要な行政措置を工場・事業場に行っています。平成19年度の立入検査の件数は全国で47,410でした。

 クロロホルムを始めとする27項目の要監視項目については、都道府県等において地域の実情に応じ、公共用水域等の水質測定が行われています。



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