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里なび
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保全活用に関する文献検索
- 文献名
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農村周辺の1960年代以降における二次植生の分布構造とその変遷
- 出版年
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1990
- 出版社
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雑誌のため省略
- 掲載雑誌
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日本生態学会誌
- 巻/号/ページ
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40巻 / 3号 / 137-150ページ
- 著者名
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鎌田磨人・中越信和
Kamada Mahito、 Nakagoshi Nobukazu
- 目次
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雑誌のため省略
- キーワード
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記載なし
- 要約
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広島県の農村である千代田町南方地区を対象に、1966年及び1987年の相観植生図を作成・分析し、植生景観の変遷を調べた。また、1987年に植生調査を行い、植生調査資料の分析から、現在の群落構造の特徴と来歴を論じた。1.1966年及び1987年の主な植生型は、ナラ林及びアカマツ林であった。1966年には伐採跡地とアカマツ疎林が広く分布していたが、1987年には前者は減少し、後者は消失していた。2.ナラ林は、1966年には中木林の面積が最も大きかったが、1987年には高木林が卓越するようになった。また、植生ユニットの個数が増加し、その分布範囲も拡大した。これは他の植生型がナラ林に推移したことによっていた。3.アカマツ林でも、高木林が卓越するようになり、植生ユニットの個数は激減した。これは1966年に多数分布していた中・低木林の高木林化により、植生ユニットの境界が融合したためであった。4.1966年のナラ林及びアカマツ林の中・低木林と伐採跡地の植生ユニットは、薪炭材・アカマツ材生産のための定期的な伐採によって生じていたと考えられた。また、アカマツ疎林は採草地として利用されていた。これらの植生ユニットの減少は、化石燃料の普及、農林業従事者数の減少、採草を行う農業従事世帯数の減少などの社会的変化と対応していた。5.植生調査を行った1987年のアカマツ高木林は、林床の優占種とそれに挙動を共にする種の有無から、チュウゴクザサ区とヒサカキ区に区分された。チュウゴクザサ区は集落の近くか、緩傾斜の地点に位置していた。定期的な下刈りが、亜高木・低木層の発達を阻害し、林床のチュウゴクザサの優占度を高めると考えられた。逆に、下刈りの停止は低木層・亜高木層を発達させ、低木層に萌芽再生能力・耐陰性が高いヒサカキを優占させると考えられた。
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