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文献名
東広島市における山林の利用・管理とその社会経済的環境からみた村落類型
出版年
1996
出版社
雑誌のため省略
掲載雑誌
地理科学
巻/号/ページ
51巻 / 2号 / 91-108ページ
著者名
山場淳史・中越信和
Atsushi Yamaba、 Nobukazu Nakagoshi
目次
雑誌のため省略
キーワード
都市近郊農村、マツ林型里山、村落社会、農業、主成分分析、クラスター分析
要約
本稿は郊外地区の東広島市の村落を村落共同体や農業などから選出した変数を対象に、多変量解析を使用して分類することを試みている。この地域のほとんどすべての森林はマツ林である。はじめに森林管理における主要構成要因を分析し、3つの構成要因を明らかにした。それらは村落共同体による森林管理と林学や管理において開発や利用が強調される経済的利用である。村落共同体に関しては主要な2つの構成要素が得られ、それら構成要因は村落共同体の機能に絶えず影響する新参者の流入に関してである。農業に関しては、放棄された農地や弱体化する農業管理が主要な1つの構成要素として得られた。上記した6つの構成要素を使って、村落共同体はクラスター分析の結果、4つのタイプに分類できた。タイプ1:このタイプにおける森林の特性は高傾斜や高い標高のような変数の自然環境にもとづく高い森林率と広葉樹林である。このタイプにおける、人工林の森林所有者の率は高く、そして私的所有制度によって管理されており、ほとんど開発されていない状況にある。しかし、森林管理の程度は他のタイプよりも高くない。このタイプの社会経済的環境は共同体内における社会機能の低さを除いて、農業村的な性格を残している地域とみなすことができる。加えて、水田の減少や耕作放棄地が目立っている。近い将来、農業の基盤は弱まりであろう。タイプ2:このタイプの森林の特性は共有林率が高いことにある。広葉樹林はめったに見ることができない。一方マツ林は多く残っている。共同森林管理システムにおいてマツタケ林のようなマツ林を維持するために多くの機会が存在しているにちがいない。このタイプには農業的基盤が高く維持されている。例えば、すべてのタイプよりも農家率の減少、耕作放棄地を有する農家率、様々な耕作地を有する農業組合の率が低かった。タイプ3:このタイプの森林は高い森林率にもかかわらず利用や管理はほとんど行われていない傾向にある。このような傾向は人工林の所有者率や下刈りを行う森林所有者率、森林産物を販売する林業農家率のような多様な変数において示されている。このタイプの社会経済的環境の特性は共同管理の機能不全である。タイプ4:このタイプの森林と農地は居住地のように都市的利用のために開発されている傾向にある。人口、世帯率の増加は20%以上で、一方農業世帯率は20%以下になっている。それゆえに、このタイプの農業は停滞傾向にある。多くの新参者が入ってきているにもかかわらず、農業道路や灌漑システムは比較的管理されている。

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