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里なび
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保全活用に関する文献検索
- 文献名
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「どんな自然を守るのか―山と海の自然保護」
- 出版年
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1999
- 出版社
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昭和堂
- 掲載雑誌
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鬼頭秀一編『講座人間と環境 12 環境の豊かさをもとめて : 理念と運動』
- 巻/号/ページ
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書籍のため省略 / 書籍のため省略 / 104-125ページ
- 著者名
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関礼子
記載なし
- 目次
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書籍の一部のため省略
- キーワード
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記載なし
- 要約
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近代化の時代は、「開発」「成長」の神話のもと、自然破壊が進行した時代である一方、「自然保護」の道程でもあった。本章では、自然保護運動の歴史を紐解き、その自然観から「どのような自然をなぜどのようにして守るのか」を考える。自然観は、初期段階においては「山」の運動として主に展開され学術的価値を全面に押し出した自然保護運動と、人間の生命や生活を根拠にした「海」の運動に共通する反公害運動とで、差異があった。両者は相互に影響を与えながら接近し今日的な意味での自然保護活動を形成したが、基本的にはいずれも共通の性質を持っていた。すなわち、自然保護は単に自然の客観的価値を守る運動ではなく、そこに価値を見出す人間の主観が入り込んだものである。何が自然破壊でどのような自然を保護するかは、人間の自然に対する位置づけによるもので、自然保護運動とは自然と人間との関わり方を問題にした運動である。しかし近代的な自然観の中では「自然と人間の共生」は、抽象的なレベルでしか認められず、具体的な関わりの問題として自然を捉えていない。自然保護は、常に現在的な自然を問題にしている。我々は自然と人間の対立を超える新しいパラダイムを探究しているが、それは個別的に息づく関係の中、具体的に、身近に存在するものである。
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