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保全活用に関する文献検索

文献名
半栽培から引き出される資源管理の持続性-宮城県北上川河口地域における人々とヨシ原のかかわりから-
出版年
2010
出版社
法政大学サスティナビリティ研究教育機構
掲載雑誌
サスティナビリティ研究
巻/号/ページ
1巻 / 記載なし / 163-177ページ
著者名
黒田暁
Satoru Kuroda
目次
雑誌のため省略
キーワード
ヨシ原、半栽培、資源管理の持続性、河川敷利用
要約
本稿は、自然資源管理の持続性について、半栽培という観点から分析を試みる。事例として宮城県北上川河口地域に広がるヨシ原をめぐる河川利用と地域の社会組織との関係に注目し、資源管理のしくみを取り上げた。当該地域においてヨシは、その資源価値を下げながらも、一面のヨシ原として持続されてきた。本稿では、その事実に基づき、ヨシ原を持続させてきたものは何かについて明らかにした。地域住民が、国有地である河川敷に繁茂しているヨシを利用する際には、「契約講」と呼ばれる社会組織を通してヨシとかかわる必要がある。人々は契約講の共同規範の規制を大きく受けてきたが、その中でヨシとの集団的なかかわりが、一方で権利を強固に主張しながら、一方で緩やかな合意形成を可能にするような柔軟さの両面を兼ね備えるものとして生成されてきたことで、ヨシ原は持続されてきた。また、ヨシという地域資源は契約講の共有財でもあったことによりおもに副業の対象として位置づけられ、人々の生活の中に存在し続けた。本稿はこれらの点を明らかにしつつ、科学的な資源管理の手法や厳密な社会的制度によってのみ守られてきたのではないヨシ原が、人々との半栽培のかかわりによって持続されてきたプロセスを示した。自然の変化と社会のしくみの変化の相互関係、双方のバリエーションを汲み取ることによって、今日の地域資源管理がどのような持続性を備えうるのか、検証した。

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