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保全活用に関する文献検索

文献名
水田を守るとはどういうことか-生物相の観点から
出版年
1997
出版社
社団法人農村漁村文化協会
掲載雑誌
書籍のため省略
巻/号/ページ
書籍のため省略 / 書籍のため省略 / 205ページ
著者名
守山弘
記載無し
目次
はじめに/第1章 人間が洪水の肩代わりをした/第2章 淡水生物がたどった道/第3章 稲作によって広がった淡水生物たち/第4章 田植えの時期と生物のカレンダー/第5章 水環境の多様化はため池を生み出した/第6章 水田が支えた鳥類/第7章 生物との共存はなぜ必要か/第8章 水田はいま 生き物との共存をなくした水田/第9章 これからの水田 生き物との共存に向けて
キーワード
記載無し
要約
本書のテーマは生物の歴史、特に水田のような止水に住む生物に焦点を当てて、さらにその歴史と人間の働きかけの歴史との関係を明らかにしようということである。水田は人の働きかけによって、維持されてきた環境である。この人間の働きかけを環境に対する物理的攪乱のひとつとしてみなし、生物の環境の歴史を紐解いていく。日本の淡水動物、特に大型淡水魚は大陸に比べて種類が少ない。古い時代の生き残り(遺存種)である種も含まれていた。この環境に外来生物が持ち込まれると、それらは爆発的に増え、稲作や水産資源に悪影響を与えやすい。一方、江戸時代の水田にはコウノトリ、トキ、ヘラサギなどが棲んでいた。これら大型鳥類は高次の捕食者で、大陸東部のそれと共通する。よって江戸時代の水田やため池を巡る食物連鎖では、頂点のところは大陸の浅い湿地や干潟と同じであったと言える。これにより、万が一大陸の生物が持ち込まれても、それを食物連鎖のなかに組み込んで大増殖を抑えるしくみをもっていた。水田という止水の存在によって、生息地を広げた生物もいた。このように江戸時代の水田が保持していた生物多様性を今日の水田に復元できれば、持続的な生産活動を行うことが可能と思われる。同時に、これは水田という湿地を賢く使うことによって、国際的に絶滅のおそれが出ているこれらの大型鳥類を守り、それらと共存する道につながるはずである。

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