てしかがスタイルのエコツーリズム推進全体構想[
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てしかがスタイルのエコツーリズム推進全体構想の概要[
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東北海道の中心に位置する弟子屈町は、透明度において世界有数の摩周湖、カルデラ湖として有名な屈斜路湖、今なお噴煙をあげる硫黄山や川湯温泉などの自然景観や自然資源に恵まれ、町域の約65%は阿寒摩周国立公園に指定されています。主要な産業は豊かな自然環境を活かした観光業と酪農業を中心とした農業ですが、少子高齢化や近年の経済状況の影響から厳しい状況に置かれています。
そのような状況の中、町の現状と課題を分析した上で町民が参画して「第5次弟子屈町総合計画」が策定され、その基本目標として「人と自然が共生するまちづくりを進めます」としています。更には「観光立国基本法」や「エコツーリズム推進法」等国の指針の下に、観光を基軸としたまちづくりを目指して町民が主体となった「てしかがえこまち推進協議会」が平成20年に設立され、協議会の専門部会のひとつである「エコツーリズム推進部会」を中心にエコツーリズムによるまちづくりに取り組んできたところです。
これまでエコツーリズムに関する様々な取組をおこなってきましたが、町におけるエコツーリズムのあり方をより具体的にし、関係者が共通の認識に基づいて推進していくことができるよう、今回てしかがスタイルのエコツーリズム推進全体構想を策定することとしました。
弟子屈町ではまちづくりの基本的な柱としてエコツーリズムを推進しているため、てしかがスタイルのエコツーリズムを推進する地域は町域全体とします。また、自然観光資源である津別峠、美幌峠、藻琴峠、藻琴山については一部、弟子屈町の行政区域外となりますが、管轄している市町村と連携しながらエコツーリズムを推進していきます。
法第2条第1項の自然観光資源の定義に則し、「動植物の生息地または生育地その他の自然環境に係るもの」「自然環境と密接な関係を有する風俗慣習その他の伝統的な生活文化に係るもの」に区分し、それぞれ主な自然観光資源を設定しました。
(自然環境に係るもの)
(風俗慣習その他の伝統的な生活文化に係るもの)
てしかがスタイルのエコツーリズム推進のため、次の8点に対しルールを設定しました。
地域の自然を中心にツアーガイドが案内、解説や体験の指導をすることを基本とし、またパンフレットや案内板を活用しながら様々な組織や地域住民の方々の協力も得て、主に6つのツアープログラムを実施します。
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硫黄山(6月下旬) | 摩周岳登山 |
モニタリングはツアー実施者が日々のツアーで気づいた変化を報告する『簡易モニタリング』と専門家が数年に一度、本格的に行う『定期モニタリング』の2つをおこないます。
簡易モニタリングでは対象は特に定めませんが、ツアーでの活用頻度の高い動物や植物の目撃情報などを集計することとし、定期モニタリングでは植物、動物、水質等を数年に一度、専門家が調査することとします。
モニタリングの調査結果について専門家が年に1回、ツアーの実施による自然観光資源への影響、自然観光資源保全上の問題点の視点で評価を実施します。
全体構想のルールを関係者が守るよう協議会や専門家などの関係者から普及啓発や必要な取組を進めることで、自然観光資源の価値が損なわれないよう保護及び育成を進めます。また、モニタリングの結果に基づきより一層の保護や育成などの対策が必要であれば専門家からの意見をふまえて協議会において対応を協議し、ツアー実施者や参加者の協力も得て実施に向け調整します。
自然観光資源の一つでもある「硫黄山の噴気孔」は、大小合わせて1500箇所以上存在し、その周辺では火山ガス中の硫黄が昇華し黄色く美しい針状の硫黄結晶を形成しています。上部ほど高品質な硫黄結晶が形成されていますが、こうした部分は利用者に触れられやすい部分であることから、多数の者が無秩序に利用することにより、踏み抜きや反復的に踏まれることなどにより、噴気孔の拡大や硫黄結晶の損壊を招くことが考えられます。
「硫黄山の噴気孔」は、不特定多数の利用により損なわれる恐れがある自然観光資源でありルールに基づく適切な利用や、モニタリングなどの保全活動を行う必要があるため、特定自然観光資源として指定します。また、全体構想では立ち入り制限による利用調整として、以下の項目について定めています。
てしかがえこまち推進協議会は、行政、観光協会、商工会、振興公社、農協、郷土研究会などの団体と一般町民で構成されている観光を基軸としたまちづくりをすすめる団体であり、特に全体構想に関することについては、専門部会の一つであるエコツーリズム推進部会を中心とし、関係行政機関や土地所有者、エコツーリズムに関連する活動に参加する者で連携を図りながらすすめていきます。
次の5つに留意し環境教育に貢献していきます。
自然公園法や河川法などの関係法令に配慮しながら実施します。
農業や水産業との連携、ツアーでの地場産品の積極的な活用を推進することで相互にメリット が得られるようエコツーリズムを進めていきます。
また、ツアー実施時には他人の所有地や農地、牧場、林地などへの無断立入はしないよう注意 し、ルールやマナーを守って利用します。
ツアーでの積極的な地場産品の活用、滞在日数増加のための取組、リピーター育成のための取 組を進め、地域の経済的な振興に繋げていきます。ルールやマナーを守って利用します。
エコツーリズム関係者は、ツアー実施時には最大限の注意を払い、また、万が一の災害に備え、 安全講習会の開催等の取組を進めます。
全体構想の作成、変更、廃止を行った時は、広報誌やホームページなどで広く一般に周知します。
第1回目の見直し作業は策定後の1年以内に実施し、以降は、5年ごとを目途に見直しをおこないます。