法令・告示・通達

海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(抄)

  • 公布日:昭和55年11月10日
  • 環水企288・官環134

(各都道府県知事政令市長あて環境庁水質保全局長・運輸省大臣官房総務審議官)

 第九一回国会において、廃棄物等の海洋への投棄を規制することを目的とする「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(昭和五五年条約第三五号)の推進が承認され、また、同条約の実施に伴い必要となる国内法制の整備を主な内容とする海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律(昭和五五年法律第四一号)が成立した。同法は、昭和五五年五月七日に公布され、同条約が我が国について効力を生ずることとなった昭和五五年一一月一四日から施行されることとなっている。
 また、この改正に伴い、及び同条約を実施するため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令(昭和五五年政令第二五五号)が昭和五五年一〇月三日に、更に、次の関係府省令等がそれぞれ次のように公布され、いずれも同条約が我が国について効力を生ずる日から施行されることとなっている。

<昭和五五年一〇月二一日公布>

  •  ・有害な産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第五条第一項に規定する埋立場所等に排出しようとする有害な廃棄物に係る判定基準を定める総理府令の一部を改正する総理府令(昭和五五年総理府令第四八号)

<昭和五五年一〇月二九日公布>

  •  ・廃駆除剤を指定する件(昭和五五年環境庁告示第五五号)
  •  ・廃駆除剤の処理方法を指定する件(昭和五五年環境庁告示第五六号)
  •  ・有害な廃棄物の固型化に関する基準の一部を改正する告示(昭和五五年環境庁告示第五七号)
  •  ・産業廃棄物に含まれる有害物質の検定方法の一部を改正する件(昭和五五年環境庁告示第五九号)

 ついては、改正法等の概要は下記のとおりであるので十分了知のうえ、運用に当たっては遺漏なきようされたい。
 なお、本文中、廃掃法等の語は、それぞれ次の法令等(今回改正されたものにあっては、改正後の法令)の意味で用いることとする。

 海防法...
海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(昭和四五年法律第一三六号)
 廃掃法...
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)
 廃掃令...
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四六年政令第三〇〇号)

 2 船舶からの廃棄物の排出に関する規制制度の改正について

  (3) 海洋を投入処分の場所とすることができる廃棄物の範囲の改正

    廃掃令第三条第六号及び第六条第三号において海洋を投入処分の場所とすることができるものと定めた廃棄物は、海防法第一〇条第二項第三号により船舶からの排出禁止の規定の適用が除外されているが、今回、条約における廃棄物ごとの海洋投業規制との整合を図るため、廃掃令においてその範囲を次のように改正した。

   イ 廃駆除剤
     動植物又はウイルスの防除に用いられる薬剤及びその有効成分である化学物質として製造され、又は輸入されたもののうち、環境庁長官が指定するものであって、不要物であるもの(廃駆除剤)についてはその海洋投入処分を新たに禁止することとした。ただし、廃駆除剤には、日常生活に伴って生じたもの及び環境庁長官が定める方法により処理したものは含まれない(廃掃令第三条第六号ハ(3)、第六条第三号ロ及びニ)。
   ロ 人の健康に重大な被害を生じさせるおそれがあるもので環境庁長官が指定するもの
     不燃性の一般廃棄物のうち人の健康に重大な被害を生じさせるおそれがあるもので環境庁長官が指定するものの海洋投入処分を新たに禁止することとし、このうち、緊急に処分する必要があり、かつ、海洋投入処分以外に適切な処分方法がないものであると認めて環境庁長官が指定したものについては、環境庁長官が定める方法により処理したものに限り、海洋投入処分ができるものとすることとした(廃掃令第三条第六号ハ(4)及びニ)。
   ハ 水銀又はカドミウムを含む汚でい
     水銀、カドミウム又はこれらの化合物を一定基準(注)以上含む汚でいにあっては、従来、固型化した場合は海洋投入処分することができることとしていたが、今後は、海洋投入処分を禁止することとした(廃掃令第六条第三号リ)。
     (注)昭和四八年総理府令第五号参照
   ニ 銅等を含む産業廃棄物
     銅等を含む燃えがら、汚でい、廃酸、廃アルカリ、鉱さい、又はばいじんについては、従来、B海域又はC海域に排出できることとされていたが、今後は一定基準(注)以上銅等を含むものについては、海洋投入処分を禁止することとした。ただし、これらのうち廃酸又は廃アルカリ以外のものにあっては、固型化した場合に限り、A海域に排出できることとした(廃掃令第六条第三号)。
     なお、今回の改正にかかわらず、従来どおり、銅等は廃掃法第一二条第五項第一号の「カドミウムその他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質」に該当しない。したがって銅等だけに係る特定施設を有する事業場においては、廃掃法第一二条第五項に規定する廃棄物処理責任者を置く必要はない。また、銅等を含む産業廃棄物は廃掃令第六条の二第二号ロの産業廃棄物に該当しないことから、これらの産業廃棄物の中間処理を委託する場合には廃掃令第六条の二第二号に規定する告知義務がかからないのでこれらの点について留意されたい。
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