エコに取り組み、目標を達成した
サクセスストーリーを紹介します
太陽光パネルの下で農業を行うソーラーシェアリングに取り組む市民エネルギーちば。
自然エネルギー、有機農業、地域活性化を結びつけ、活動の輪を広げています。
ソーラーシェアリングの発電所を稼働
市民エネルギーちばが設立されたのは、2014年7月。東日本大震災をきっかけに、千葉県内の環境団体の有志が市民発電所を作ろうと立ち上がり、誕生した。できるだけ環境負荷が少ない発電方法として、太陽光発電と農業を同時に行えるソーラーシェアリングを採用。同年9月、千葉県匝瑳(そうさ)市で第一市民発電所を稼働させた。
市民エネルギーちば匝瑳第一市民発電所。短冊形の太陽光パネルを使っているので、パネル下の農地にも日光が届く
太陽光パネルの下で有機農業
2017年にメガソーラー発電所、2018年には第二市民発電所も稼働を開始。市民発電所には、太陽光パネルを購入して賃料を受け取ることができるオーナー制度を導入した。発電した電力は売電し、売上の一部を地域づくり協議会の活動資金に拠出する仕組みだ。太陽光パネルの下では、農業生産法人が有機農業に取り組み、トラクターにもバイオディーゼル燃料を使うなど、脱炭素にもこだわっている。
パネルの下では大豆などを栽培。太陽光発電、農作物の光合成、地中の微生物の炭素固定の3段階でCO2削減を図っている
持続可能なコミュニティ構築を目指して
パネルの下で有機栽培した大豆や麦は、加工販売するなどして6 次産業化を進め、最近では大麦とホップを使った地ビールの生産に着手。ほかにも、農村民泊、移住者の受け入れなど、自然エネルギーと農業を組み合わせた事業を通じて、都市部から人を呼び込み、地域に人の流れを生み出そうと取り組みを広げている。毎年秋に開催している収穫祭など、地元住民に市民エネルギーちばやエコへの理解を深めてもらうためのイベントも、継続的に開催している。
設立から5年を経て、代表取締役の東光弘さんは「ようやく活動の幹ができました。これからはその幹を太くし、私たちが構築した活動モデルを国内外に広げていきたい」と今後の展望を語る。環境問題を出発点に、エネルギー、食、農業、地域振興などを結びつけた持続可能なコミュニティづくりを目指し、活動を成長させていく。
収穫祭には、地域の住民やエコ活動に取り組む市民団体などが参加。市民エネルギーちばでは、秋の実りを喜び、活動を地域住民に身近に感じてもらう機会として大切にしている
エコであることにとことんこだわる
まかないを有機栽培の玄米で作ったり、発電所にバイオトイレを設置したり、すべての活動で脱炭素やエコを徹底している。「中途半端はダメ。環境にこだわり抜いているからこそ、多くの方に信頼され、応援していただくことができたと思っています」(東さん)。