増えすぎた野生鳥獣がもたらす深刻な被害
近年、急速に増え続け、全国で分布を広げている野生のニホンジカやイノシシ。全国のニホンジカの推定個体数は約304万頭(2015年度末)。いま、増えすぎた野生鳥獣により、生態系や農林業、さらには私たちの生活にまで、深刻な被害が発生しています。
鳥獣による被害
近年、急速に増え続けているニホンジカやイノシシなどの野生動物により、全国各地でさまざまな被害がもたらされています。
例えば、生態系への被害。高山帯にまで生息地を広げたニホンジカが希少な植物を食べ尽くすことで、高山の美しい景観が失われ、斜面が崩壊することが懸念されています。また、長崎県・対馬固有のチョウ、ツシマウラボシシジミは、ニホンジカが増えすぎたことで幼虫のエサとなる植物が食べられてしまい、絶滅の危機に直面しており、このような被害が、多くの地域において確認されています。
もちろん、農林業被害も深刻です。2016年度のニホンジカによる農作物被害総額は、約56億円。イノシシによる被害総額は約51億円にものぼりました。ニホンジカやイノシシがこれほど増えた理由は、積雪量の減少やエサとなる植生の増加、さらには、高齢化等による狩猟者数の減少など、複数の要因が考えられています。
ニホンジカによる高山植物への影響
獣類による農作物被害額の推移