放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和4年度版、 HTML形式)

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第6章 事故の状況
6.3 廃炉に向けた取組と進捗

「ALPS処理水」の海洋放出に関する放射線の影響評価

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東京電力ホールディングス株式会社は、政府が2021年4月に公表した基本方針に則った形で「ALPS 処理水」の海洋放出を行った場合の放射線影響を、国際的に認知された手法(国際原子力機関(IAEA)安全基準文書、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告等)に従って評価を行いました。評価については、パブリックコメント手続きで国内外から寄せられた意見やIAEA によるレビューにおける指摘、原子力規制委員会との議論を踏まえた見直しが行われました。その結果、人及び環境への影響は軽微であることが示されました。
■海洋における拡散シミュレーション結果(2019年の気象・海象データを使用。年平均)

  • 現状の周辺海域の海水に含まれるトリチウム濃度(0.1~1Bq/L)よりも濃度が高くなると評価された範囲は、発電所周辺の2~3kmの範囲に留まる。
  • 放出口の付近では、トリチウム濃度が30Bq/L程度を示す箇所も見られたが、その周辺で速やかに濃度が低下する。なお、トリチウム濃度が30Bq/Lであっても、世界保健機関(WHO)の飲料水ガイドラインの1万Bq/Lを大幅に下回る。
  • ■人・動植物への放射線環境影響評価の結果(2022年11月時点の評価結果)

  • 人への影響は、日本人が自然放射線から受ける影響(年間2.1mSv)の約100万分の1~約10万分の1となる。
  • 動植物(扁平魚・カニ・褐藻類)への影響は、ICRP が提唱する生物に影響が生じ得るとされる基準値の約200万分の1~約100万分の1となった(カニでは約2500万分の1~約1000万分の1)。
  • さらに、政府等の関係機関は、放出の前後で海域のトリチウム等の濃度を比較できるように、放出前から海域のモニタリングを強化・拡充しました。海域のモニタリングについては、IAEA の協力を得て、分析能力の信頼性を確保することとしています。

    出典
    東京電力ホールディングス株式会社「多核種除去設備等処理水(ALPS 処理水)の海洋放出に係る放射線環境影響評価報告書(建設段階)」(2022年11月)に基づき作成
    https://www.tepco.co.jp/press/release/2022/pdf4/221114j0101.pdf#page=289

    本資料への収録日:2022年3月31日

    改訂日:2023年3月31日

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