セシウム137は、半減期が30年と長いため、原子力発電所の事故等によって環境へ放出された場合、影響が長期化すると考えられます。環境中の放射性物質が作物の可食部(食べている所)に移行する経路は、大きく3つに分けられます。
1つ目は、大気中から直接葉等の可食部の表面等に付くものです。東京電力福島第一原子力発電所事故の直後に、野菜から計測された放射性物質は、大気中に放出された放射性物質が直接葉の表面に付いたものでした。
2つ目は、転流を介した経路です。転流とは、植物体内で、吸収した栄養素や光合成でできた栄養やその代謝産物が、ある組織から他の組織へと運搬されることをいいます。放射性物質が葉や樹皮に付着すると、葉や樹皮が放射性物質を吸収し、植物内で新芽や実の部分に移行することがあります。茶葉やタケノコ、ビワや梅等で比較的高濃度の放射性物質が見つかったのは、こうした移行経路によるものであると考えられています。
3つ目は、土壌に含まれている放射性物質が根から吸収される経路です。大気中への放射性物質の放出が終わった後は、農地に降下した放射性物質が根から吸収される経路が主となります。
本資料への収録日:2013年3月31日
改訂日:2019年3月31日