屋内にいる場合は、環境中に放出され屋外の空気中に浮遊した放射性物質と地表面等に沈着した放射性物質からの放射線は建物によって遮へいされ、外部被ばく線量が低減します。また、建物の気密性によって、屋内空気中に浮遊する放射性物質濃度は屋外よりも低くなるため、吸入による内部被ばく線量も低減します。
放射線防護を考慮する際に、典型的な日本の木造家屋の外部被ばくの低減係数として用いられる0.4という値は、IAEA-TECDOC-225(1979年)が根拠とされています(上巻P53「遮へいと低減係数」)。屋内での被ばく低減に関する最近の研究としては、外部被ばくの低減係数1,2に関する研究成果が報告されています。
また、外部被ばくだけでなく、屋内での内部被ばくの低減効果として、放射性物質濃度の低減効果3、内部被ばくの低減係数4に関する研究成果も報告されています。なお、屋内での内部被ばくの低減効果は、建築年代、風速、室内外温度差等によっても変化することが報告されています。
1. N. Matsuda et al.: J Environ Radioact 166: 427-435, 2017.
2. H. Yoshida et al.: SCIENTIFIC REPORTS 4: 7541, 2014.
3. T. Ishikawa et al.: Environ Sci Technol 48:2430-2435, 2014.
4. J. Hirouchi et al.: ASRAM2018-010, 2018.
本資料への収録日:2023年3月31日