福島県の森林・林業の再生には除染等だけでなく、林業再生に向けた取組や住民の安全・安心の確保のための取組なども含めた総合的な取組が必要です。 復興庁・農林水産省・環境省が2016年3月に取りまとめた「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」に基づき、福島の県民生活における安全・安心の確保、森林・林業の再生に向けて、県民の理解を得ながら、関係省庁が連携して、総合的に取組を進めています。また、「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」に基づき、除染を含めた里山再生のための取組を総合的に推進するモデル事業を、復興庁・農林水産省・環境省で計14市町村(川俣町、広野町、川内村、葛尾村、相馬市、二本松市、伊達市、富岡町、浪江町、飯舘村、田村市、南相馬市、楢葉町、大熊町)において実施、2020年11月に成果等の最終とりまとめを公表しました。2020年度からは対象を48市町村に拡大し、「里山再生事業」として取組を実施しています。
森林の除染については、環境省に設置されている環境回復検討会において得られた知見によると、住居、農用地等に隣接する森林の林縁から20m以上の地点については、堆積有機物の除去を実施しても林縁の空間線量率の低減にはほとんど効果がないことが分かっています。また、広範囲にわたる森林の堆積有機物の除去は、放射性セシウムを含む土砂等の流出や地力低下による樹木への悪影響を促進させること等も懸念されます。このため森林の除染については、人の健康の保護の観点から必要である地域について優先的に除染を行うという基本的な方針の下、原則として住居、農用地等に隣接する森林の林縁から約20mの範囲について除染を行うこととしています。
本資料への収録日:2017年3月31日
改訂日:2022年3月31日