放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和3年度版、 HTML形式)

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第5章 国際機関による評価
5.5 UNSCEAR2020年報告書

UNSCEAR2020年報告書 概要

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国連科学委員会(UNSCEAR)2020年報告書では、2019年末までに公表された関連する全ての科学的知見(福島第一原子力発電所の事故による放射線被ばくのレベルと影響に関連する科学的知見)をとりまとめ、UNSCEAR2013年報告書についてこれら知見の影響を評価することが目的とされました。UNSCEARは、2021年3月に同報告書を公表し、「全体的にみると、UNSCEAR2020年報告書はUNSCEAR2013年報告書の主な知見と結論を概して確認するものであった」としています。
同報告書では、UNSCEARは、追加の観測データと日本での人々の実際の食生活と行動についてのより包括的な知見に基づき改善されたモデル計算を行い、線量評価の見直しを行いました。見直しの結果、UNSCEARは、「公衆の線量は当委員会の2013年報告書と比較して減少、または同程度であった」としており、また、「当委員会は、放射線被ばくが直接の原因となるような将来的な健康影響は見られそうにないと引き続きみなしている」と述べています。同報告書では、放射線被ばくの推定値から推測されうる甲状腺がんの発生についての評価も行われており、UNSCEARは、評価結果を以下のように述べています。

・子供たちや胎内被ばくした子供を含む、対象としたいずれの年齢層においても甲状腺がんの発生は見られそうにないと結論付けた。

・ 公表されているエビデンスを鑑みると、被ばくした子供たちの間で甲状腺がんの検出数が(予測と比較して)大きく増加している原因は放射線被ばくではないと当委員会は判断している。むしろ、非常に感度が高いもしくは精度がいいスクリーニング技法がもたらした結果であり、以前は検出されなかった、集団における甲状腺異常の罹患率を明らかとしたに過ぎない。

さらに、同報告書では、「一般公衆の間で放射線被ばくが関係している先天性異常、死産、早産が過剰に発生したという確かなエビデンスはない」ということも言及されています。

本資料への収録日:2022年3月31日

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