放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和3年度版、 HTML形式)

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第4章 防護の考え方
4.4 長期的影響

森林中の分布

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森林中の放射性物質の分布は年単位の時間経過によって大きく変化すると考えられています。
大気中に含まれる放射性セシウムは葉や枝に付着します。葉や枝はやがて枯れて腐葉土のような有機物を含んだ土壌になります。放射性物質の一部は葉や樹皮から吸収され、植物内で新芽や実の部分に移行することもありますが、これもいずれは土になります。
有機物の多い土壌では、セシウムを吸着する粘土質に乏しいため、セシウムが植物に吸収されやすい状態にあります。
有機物層にあるセシウムはその下の土壌に徐々に移行し、表層よりも少し深い所に根を張る植物もセシウムを吸収するようになります。
このように、放射性セシウムも安定なセシウムと同様に、植物と土壌との間を循環する過程で土壌の粘土質に固着され、最終的には土壌表層部に蓄積します。
なお、国立研究開発法人森林総合研究所が渓流水を採取してセシウムを計測したところ大部分の渓流水では、セシウムは検出されませんでした。降雨のあった日の一部の濁り水にセシウムが含まれていましたが、その量はごく僅かでした(下巻P30「渓流水中の放射性セシウムの観測結果(2012年)」)。
(関連ページ:下巻P28「森林の空間線量率の変化」下巻P29「森林内の放射性セシウムの分布状況の変化」

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2019年3月31日

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