この図は、原爆被爆者を対象に、各臓器にどれだけの線量を受けるとがんのリスクがどれだけ増加するかを調べたものです。横軸は、原爆投下時の高線量率1回被ばくによる臓器吸収線量です。縦軸は、過剰相対リスクといって、被ばくしていない集団と比べて、被ばくした集団ではどのくらいがん発症のリスクが増加するかを調べたものです。
例えば、臓器吸収線量が2グレイの場合は、皮膚がんの過剰相対リスクが1.5となっていますので、放射線を受けなかった集団と比べて1.5倍過剰に発症のリスクが上昇していることを意味しています(つまり、2グレイ被ばくした集団では皮膚がん発症の相対リスクは、放射線を受けていない集団(1倍)に比べて2.5倍(1倍+1.5倍)となります)。
こうした疫学研究の結果から、乳腺、皮膚、結腸等は、放射線によってがんを発症しやすい組織・臓器であることが分かりました。国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告では、臓器の感受性やがんの致死性等も考慮し、組織加重係数を定めています。
(関連ページ:上巻P99「相対リスクと寄与リスク」)
本資料への収録日:2013年3月31日
改訂日:2019年3月31日