放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和3年度版、 HTML形式)

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第3章 放射線による健康影響
3.5 胎児への影響

子供への影響-チェルノブイリ原発事故-

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ベラルーシの研究者らは、チェルノブイリ原発事故の際、妊娠中で原発のそばに住んでいた母親から生まれた子供138人と、妊娠中でほとんど被ばくしなかった母親から生まれた子供122人を対象に、胎児被ばくがその後の精神発達に及ぼす影響について6~7歳の時点と10~11歳の時点の2回調査しました。
2回の調査とも、胎内被ばく児では非被ばく児に比べて、言語障害、情緒障害の頻度が、統計学的に有意に多かったという結果が得られています。
知能指数の平均も、非被ばく児に比べ平均以上の子供が少なく、正常と精神発達遅滞との境界域の子供が明らかに多いという結果でした。
しかし、胎児期の甲状腺への吸収線量の推定値と知能指数には相関がなく、汚染された地域からの避難に伴う社会心理学的、社会文化的要因(保護者の教育レベルや学校教育等)といった、被ばく以外の要因が原因である可能性が示唆されており、妊娠中の放射線被ばくが、胎児及び成長後の子供の知能指数に直接影響している可能性は低いと考えられています。
なお、親に対するストレス評価指標調査の結果、親の不安と子供の情緒障害の間には明らかな相関が認められました。

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2019年3月31日

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