放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和3年度版、 HTML形式)

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第3章 放射線による健康影響
3.1 人体への影響

放射線影響の分類

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放射線の影響は、放射線を受けた本人に出る身体的影響と子供や孫等子孫に出る遺伝性影響に分けられます。
また、被ばくしてから症状が出るまでの時間によって分類されることもあります。すなわち、被ばく後、比較的早く症状が出る「急性影響(早期影響)」と、数か月後以降に現れる「晩発影響」に分けることができます。
さらに、放射線の影響が生じるメカニズムの違いにより「確定的影響(組織反応)」と「確率的影響」に分ける方法もあります。
「確定的影響」は、臓器や組織を構成する細胞が多数死んだり、変性したりすることで起こる症状です。例えば、比較的大量の放射線を浴びると、数週間以内に皮膚障害を起こしたり、造血能低下により血球の数が減ったりすることがあります(急性放射線症候群)。また妊娠中に大量の放射線を浴びると胎児に影響が出たり、眼に当たるとしばらくしてから白内障になることがあります。
一方、「確率的影響」は、がんや遺伝性影響といった、細胞の遺伝子が変異することで起こる影響です。放射線はDNAを傷つけ、その結果、突然変異が起こることがあります(上巻P88「DNAの損傷と修復」)。個々の突然変異が病気につながる可能性は低いものの、理論的にはがんや遺伝性影響の原因となる可能性が全くないとはいえません。そこで、がんや遺伝性影響については、しきい線量はないものと仮定して、管理が行われています。
(関連ページ:上巻P86「確定的影響(組織反応)と確率的影響」上巻P108「ヒトでの遺伝性影響のリスク」

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2021年3月31日

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