放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和3年度版、 HTML形式)

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第2章 放射線による被ばく
2.3 放射線の単位

線量当量:実効線量を導く、測定可能な実用量

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実際には測定できない実効線量を推定するための実用量として(上巻P40「線量概念:物理量、防護量、実用量」)、作業環境などの空間の線量を評価する周辺線量当量 H*(d) (d は深さ)、個人の被ばくを評価する個人線量当量 Hp(d)、さらに、β線や軟X 線による目の水晶体などの被ばくなど、深さや入射方向についても評価する必要がある場合の量として方向性線量当量 H‘(d, α )(αは入射角度)が定義されています。
一般に、周辺線量当量も個人線量当量も、γ線被ばくの場合は1cm の深さを用いることから、1cm 線量当量とも呼ばれています。
しかし、周辺線量当量の測定には据え置き型の電離箱やサーベイメータ等、方向性の影響が少ない測定機器が用いられるのに対し、個人線量当量は人体の体幹部に小型の個人線量計を装着して測定されるため、背面からの入射に対しては常に自己遮蔽効果が働いた状態で評価されます。このため、実験室などでの被ばくのように、常に正面方向からだけの被ばくにおいては、周辺線量当量と個人線量当量は一致しますが、均等な方向からの被ばくにおいては、常にサーベイメータ等の値よりも小さい値を示します。ちなみに、実効線量を計算する場合、均等方向の入射においては、人体を回転させる「回転照射」の条件で計算されますが、これはまさに個人線量当量と一致する値となります。つまり、計算された値は一般的には実効線量より大きい値となります。

本資料への収録日:2017年3月31日

改訂日:2021年3月31日

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