放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和2年度版、 HTML形式)

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第6章 事故の状況
6.1 福島第一原発事故の状況

事故の要因(推定)原子炉内の状況

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炉心への注水が停止したことによって原子炉水位が低下し、燃料が露出しました。その結果、炉心燃料が過熱し炉心溶融が始まり、圧力容器の一部が損傷したと考えられます。溶融した燃料は圧力容器から格納容器内に漏れ出すと共に、燃料体から放出されたセシウムなどの放射性物質が大量に格納容器内に放出されました。また、炉心損傷に伴う高温下において、燃料被覆管の金属(ジルコニウム)と水蒸気が反応して大量に発生した水素が、蒸気と共に圧力容器の損傷部から格納容器内に放出されました。
格納容器においては、炉心損傷の影響により高温・高圧状態となり閉じ込め機能が劣化し、格納容器の外に通じる配管貫通部等に隙間が生じました。こうした箇所から、放射性物質が格納容器の外に放出され、環境に拡散していきました。また、燃料被覆管の金属が水蒸気と反応して発生した水素は原子炉建屋に漏えい、滞留し、水素爆発が発生したと考えられます。
また、冷却のために原子炉へ注水した水が圧力容器や格納容器から漏えいし、大量の放射性物質を含んだ高レベル汚染水となり、原子炉建屋地下やタービン建屋地下に滞留し、さらにその一部は海洋へ流出しました。
圧力容器の損傷や格納容器の閉じ込め機能の劣化により放射性物質を含む蒸気が漏えいしたことに加えて、格納容器ベント等によって大気中に放射性物質が放出されました。
このような高レベル汚染水の海洋への流出や放射性物質の大気中への放出により、放射性物質が環境中に放出されることになりました。

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2019年3月31日

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