放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和2年度版、 HTML形式)

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第4章 防護の考え方
4.1 防護の原則

線量限度の適用

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放射線防護の原則の3つ目は、線量限度の適用です。国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告では、放射線作業(緊急時の作業を除く)を行う職業人の実効線量の限度は5年間で100ミリシーベルト、特定の1年間に50ミリシーベルトと定められています。
一般公衆の場合、実効線量限度が年間1ミリシーベルトと定められています。
線量限度は、管理の対象となるあらゆる放射線源からの被ばくの合計が、その値を超えないように管理するための基準値です。線量限度を超えなければそれでよいのではなく、防護の最適化によってさらに被ばくを下げる努力が求められます。このことから、線量限度はそこまで被ばくしてよいという値ではなく、安全と危険の境界を示す線量でもありません。
また、健康診断の際や、医療において患者が受ける医療被ばくには線量限度を適用しません。これは、医療被ばくに線量限度を適用すると、必要な検査や治療を受けられないケースが生じ、患者の便益を損なうおそれがあるからです。そのため、3つのレベル(医療における放射線の利用は患者に害よりも便益を多く与えること、 特定の症状の患者に対する特定の手法の適用、個々の患者に対する個々の手法の適用)についての正当化と、診断参考レベルの適用等による線量の最適化を行うこととされています。

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2016年3月31日

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