放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和2年度版、 HTML形式)

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第3章 放射線による健康影響
3.7 がん・白血病

低線量率被ばくの発がんへの影響

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原爆被爆者の調査では、大量の放射線を一度に被ばくした場合の影響を調べています。しかし職業被ばくや、事故による環境汚染からの被ばくの多くは、慢性的な低線量率での被ばくになります。
そこで、マウスを用いて、一度に大量の放射線を受けた場合と、じわじわと少しずつ受けた場合とでは、放射線による発がんのリスクにどのくらいの違いがあるのかを調べる実験が行われました。その結果、がんの種類によって、結果に違いはあるものの、概してじわじわと少しずつ被ばくするほうが影響が小さいことが分かってきました。
線量・線量率効果係数は、それぞれ高線量のリスク(被ばく線量と発生率)から、実際のデータがない低線量におけるリスクを予想する際、あるいは急性被ばくのリスクから慢性被ばくや反復被ばくのリスクを推定する際に用いられる補正値です。この値をいくつにして放射線防護を考えれば良いのかについては、研究者によって様々な意見がありますが、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告では、補正値として2が使われており、少しずつ被ばくした場合は、一度に被ばくした場合に比べ、同じ線量を受けた場合でも、影響は半分になるとしています。
(関連ページ:上巻P124「低線量率長期被ばくの影響」

本資料への収録日:2013年3月31日

改訂日:2019年3月31日

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