放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(平成29年度版、 HTML形式)

第2章 放射線による被ばく
2.1 被ばくの経路

内部被ばくと放射性物質

内部被ばくと放射性物質
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体の中の放射性物質は、壊変により他の元素に変わっていくと共に、代謝により便・尿等と共に徐々に排泄されます。壊変により放射性物質が半分になるのに要する時間を物理学的半減期(Tp)、代謝により体内の放射性物質が半減する時間を生物学的半減期(Tb)といいます。体内に入った放射性物質は、物理学的半減期と生物学的半減期の両方により減少していきます。その半減する時間を実効半減期(Te)といい、Tp、Tbとの間に以下の関係があります。
   1/Te = 1/Tp + 1/Tb
内部被ばくで特に問題になるのは、半減期が長く、α(アルファ)線を出す放射性物質です。また、体内での挙動でいうと、取り込まれやすく排泄されにくい物質や、特定の組織に蓄積しやすい物質も、内部被ばくの線量が高くなるため問題になります。
例えばプルトニウムは、消化管では吸収されにくいので、食べ物を介して体内へ取り込まれるよりも、呼吸と共に肺から取り込まれた場合に問題となります。その後、肺から血管に入り血流によって移動し、骨や肝臓に沈着します。プルトニウムはこうした器官内でα線を出すため、肺がん・白血病・骨腫瘍・肝がんを引き起こす可能性があります。
一方、放射性セシウムは、カリウムと似た性質のため、体内に取り込まれやすいのですが、同時に排泄されやすい性質も持っています。特定の組織には蓄積しませんが、筋肉を中心に取り込まれます。大人の場合、取り込まれた放射性セシウムの量が半分になるのに掛かる日数は約70日だといわれています(上巻P31「原発事故由来の放射性物質」)。

本資料への収録日:平成25年3月31日

改訂日:平成29年3月31日

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