Q&A(平成28年度版、HTML形式)

第7章 環境モニタリング

QA7-13 原子力災害が発生した場合、飲用井戸水にも放射能の影響が出るのでしょうか。

  • ①放射性セシウムは、特定の粘土鉱物に強く吸着する性質があるため、ほとんどが土壌表層部にとどまり、飲料用井戸水を取水する地下深くまで浸透することはないと考えられています。
  • ②しかし、激しい雨等によって表層土壌が井戸に直接流れ込む場合には注意が必要です。
  • ③東京電力福島第一原子力発電所事故に関しては、飲用井戸水にはほとんど影響がありませんでした。

地下水は、地上に降った雨や雪が土壌を通して地下へと浸透したものです。飲用井戸水は、帯水層という地下にある貯水槽のような水の溜まっている場所から地下水をくみ上げています。一般的に、井戸は汲み上げる地下水の性質によって浅井戸※1と深井戸※2に分けられます。図1は浅井戸と深井戸がそれぞれ帯水層から水を汲み上げるところを示したものです。
放射性セシウムには特定の粘土鉱物に強く吸着する性質があります。雨や雪によって地表に降り注いだ放射性セシウムは、土壌がフィルターのような役割をすることによって地表近くにとどまり、地下深部の帯水層まではほとんど移行しません。現在では、東京電力福島第一原子力発電所事故由来の放射性セシウムのほとんどが土壌表層にとどまっていることがわかっています。したがって、激しい雨等によって表層土壌が直接井戸に流れ込むような場合には注意が必要です。
なお、福島県が実施している飲用井戸水のモニタリングでは、これまで放射性セシウムは検出されていません。

井戸のタイプについて

図1 井戸のタイプについて
(出典:ふくしま復興ステーション「飲用井戸に関すること」より作成)

※1:浅井戸とは、一般的に深さ10~20メートルまでの浅い位置にある帯水層の地下水を取水する井戸です。近傍の川・池を供給元としており天候により水量の変動が大きく、また、周辺環境の影響を受けやすいのが特徴です。
※2:深井戸とは、深い位置にある水を通し難い地層(岩盤や粘土層)より下にある被圧水(水位が地表近くまで上がってくる地下水)を水源とする井戸です。地表から遮断され汚染の恐れはなく水量が豊富なところが特徴です。

(参考資料)
公益社団法人 日本地下水学会Q&A
「原子力発電所からの放射能汚染は深井戸へどのような影響を及ぼすのでしょうか?」
http://www.jagh.jp/jp/g/activities/torikichi/faq/132.html

福島県ふくしま復興ステーション「飲用井戸に関すること」より作成

出典の公開日:平成27年3月1日

本資料への収録日:平成29年3月31日

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