甲状腺がんは、他のがんと比較していくつかの特徴がみられます。
一つの特徴として、全体として女性の罹患率が男性よりも高いこと(女性11.5人:男性4.5人、2010年、全国年齢調整罹患率(対人口10万人))があります。ただし15歳未満では男女比はほぼ同じです。
また、女性の乳がんは40~50歳代の患者が多く、胃がんは男女とも60歳以降に罹患率が高くなることが知られていますが、甲状腺がんは10歳代から80歳代まで幅広く分布していることが特徴です。また、甲状腺がんは多くを分化がんが占めており、部位別がん粗死亡率(2010年、全国年齢階級別死亡率(対人口10万人)、全年齢)が、他のがんと比べても低く、予後が良いことも特徴の1つです。しかし、甲状腺がんの中には、分化がんであっても甲状腺外への浸潤や遠隔転移をきたす場合もあり、なかには生命予後に影響を及ぼす場合もあるため、慎重な評価が重要です。
さらに、甲状腺がんには生涯にわたり健康に全く影響しない潜在がんがあるがんとして以前から知られています(上巻P130「甲状腺潜在がん」)。
本資料への収録日:2017年3月31日
改訂日:2023年3月31日