X(エックス)線検査の際には、X線管で発生させるX線が利用されます。X線管の内部では、陰極と陽極(タングステン、モリブデン、銅等)の間に高電圧がかけられており、熱電子が真空中を陰極から陽極に高速で移動します。熱電子が陽極の原子核に引き寄せられて進行方向を変えるときに発生するX線を制動X線といいます。また、陽極の原子の内側の電子軌道の電子を弾き飛ばすと、この空いた電子軌道へ外側の電子軌道から電子が移動(遷移)します。これに伴い発生するX線を特性X線といいます。X線管で発生するX線のほとんどは制動X線です。
なお、X線管のスイッチを切れば、X線の発生は止まります。
医療分野で利用されるX線発生装置は、診断用と治療用に分けられます。撮影する目的や部位に応じてX線のエネルギーと量は調節されます。胸部X線撮影(診断)の場合、1回に受ける放射線量は、おおよそ0.06ミリシーベルトです。
X線を含む様々な放射線は医療分野だけでなく、さまざまな分野で利用されています。詳細は、下記のウェブサイトをご参照ください。
https://www.jaero.or.jp/sogo/detail/cat-03-01.html
(関連ページ:上巻P63「自然・人工放射線からの被ばく線量」、上巻P76「診断で受ける放射線量」)
本資料への収録日:2016年3月31日
改訂日:2025年3月31日
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