■ 関連資料

プログラム推進委員会(第2回)議事録

  1. 日時
    平成17年4月19日(火)10:00~12:00
  2. 場所   
    経済産業省別館8階825共用会議室
  3. 出席者
    有田芳子委員、池田正之委員、小倉正敏委員、越智徹委員、首藤紘一委員、田保栄三委員、中下裕子委員、中杉修身委員、中村雅美委員、林公隆委員  
    (事務局)
    厚生労働省  佐々木化学物質安全対策室長、江原室長補佐 経済産業省  辻化学物質安全室長、太田室長補佐 環境省  榑林化学物質審査室長、木村室長補佐
  4. 議事次第
    (1) 官民連携既存化学物質安全性情報収集・発信プログラム(案)について
    (2) その他
  5. 配布資料
    資料1 委員名簿  
    資料2 第1回プログラム推進委員会議事録(案)  
    資料3 既存化学物質の安全性情報の収集・発信に向けて  
    -Japanチャレンジプログラムの提案-  
    資料4 優先情報収集対象物質リスト  
    参考資料1 化学物質ファクトシート -2003年度版-  
    参考資料2 規制対象物質のGHSに基づく危険有害性分類事業の概要  
    参考資料3 GHSパンフレット
  6. 議事
    • 太田室長補佐 ちょっと定刻を回りましたけれども、これから第2回官民連携既存化学物質安全性情報収集・発信プログラム推進委員会を開催させていただきたいと思います。  
      本日は御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。  

    委員紹介

    • 太田室長補佐 本日の委員の御出席ですけれども、安井委員からは本日御欠席という連絡をいただいておりまして、安井委員以外の10名の委員の皆様に御出席をいただいております。
       また、本委員会の公開についてですが、前回同様公開とし、あらかじめ御連絡いただきました方々が傍聴者として参加されています。
       なお、本日の資料並びに議事録は、後日公開させていただきます。
       それではまず、厚生労働省で人事異動がございましたので、新たに化学物質安全対策室長に就任されました、佐々木室長より一言ご挨拶をお願いいたします。
    • 佐々木化学物質安全対策室長 成田の後任でまいりました、厚生労働省の佐々木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    • 太田室長補佐 それでは、本日の全体の議事進行につきましては、池田委員長にお願いしたいと思います。
       池田委員長、よろしくお願いいたします。
    • 池田委員長 それでは議事次第に従いまして、本委員会を進めさせていただきます。
       御多用の中をお集まりくださいまして、大変ありがとうございました。

    配付資料の確認

    • 池田委員長 まず始めに事務局から、本日の配付資料について確認をお願いいたします。
    • 太田室長補佐 それでは、資料を確認させていただきます。
       本日は資料が1から4まで4点、それから参考資料が1から4まで4点、それぞれ用意してございます。御確認ください。
    • 池田委員長 お手元にございますでしょうか。もし欠けたもの、あるいは飛んでいるぞというのがありましたら遠慮なくお教えください。あるいは、そのところの説明に入ってたまたま見つからないという場合も、どうぞお教えくださいませ。

    議題

    (1)官民連携既存化学物質安全情報収集・発信プログラム(案)について

    • 池田委員長 では、議題に入らせていただきます。
       本日は議題といたしまして、2つございます。議題(1)が長い名前ですが、「官民連携既存化学物質安全性情報収集・発信プログラム(案)について」でございます。
       もう1つは、「その他」でございます。
       事務局から、資料に基づきまして御説明をお願いしたいと思います。
    • 太田室長補佐 それではまず、資料2につきまして簡単に御説明申し上げます。
       資料2は、前回推進委員会の議事録でございます。あらかじめ本議事録案は各委員にお送りいたしまして御確認をいただき、その結果を反映させていただいた内容となっております。この内容につきまして御確認いただき、特段問題がないようでございましたら、これで議事録をセットさせていただきたいと思います。
       いかがでございましょうか。
    • 池田委員長 はい、ありがとうございます。
       いかがでございますか、一度お目通しをいただいて、修正をすべきところは御指示いただいて、その上のことでございます。これでよろしゅうございましょうか。
      〔「異議なし」の声あり〕
    • 池田委員長 ありがとうございます。
       御了解いただけたものとして、先に進めさせていただきます。
       それでは本題に入りまして、今後、我が国の既存化学物質の安全性情報の収集・発信の推進に当たりましては、これから御審議いただきますプログラム内容についてのこととなります。
       資料3及び4を使って御説明をいただきたいと思います。どうぞお願いいたします。
    • 辻室長 それでは資料3と4に基づきまして、私の方から説明してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
       まず、資料3をお開けいただければと思います。この資料3は、前回御審議いただきました資料6に、このプログラムに至るまでの経緯、それから海外の動向などを加味しまして、1つの資料にまとめたものでございます。前回の御審議いただいた御意見なども反映させていただいたと考えております。
       それでは資料に沿いまして、これから説明させていただきたいと思います。
       まず、検討にかかる経緯でございます。化審法制定時の既存化学物質の取り扱いにつきましては、まず、化審法が公布されたときに既に製造または輸入されていた化学物質を既存化学物質と呼びまして、これについては事前審査制度の対象とはせずに、国会の決議におきまして、国が安全性の総点検をせよということになっております。これに従いまして、国はこれまで既存化学物質の安全性点検を進めてきたところでございます。
       その後、海外の取り組みが進展してまいりました。1990年代に入りまして経済協力開発機構(OECD)を中心にしまして、国際協力によってこの既存化学物質のうち、生産量の多い化学物質、高生産量化学物質(High Production Volume Chemicals)といいますが、この安全性情報を、OECD加盟国で協力して取得していこうというプログラムが開始されております。
       このプログラムでは、OECD加盟国で1カ国1,000t以上の化学物質について、協力して情報収集を行っているところでございます。これは現在も引き続き行われております。
       このプログラムでは国だけではなくて、産業界も大きな役割を果たしております。日本もこのOECDのメンバーでございまして、プログラムの発足当初から一貫して協力してまいっております。これまでにプログラム全体では約500物質の情報を収集しておりますが、日本はそのうち100物質について情報収集に協力しております。
       このような流れの中で、平成15年に化審法の改正が行われております。今から2年前でございます。このときにも、厚生労働省、経済産業省、環境省の3省合同の審議会が開催されまして、1つの議題といたしまして、既存化学物質の安全性の点検が議論されました。その結果、これについては産業界と国とで連携して進めていくべきだという提言が行われた次第でございます。
       この提言を受けて国会の審議に際しましても、既存化学物質の安全性点検につきましては、産業界と国が連携して進めるようにとの決議をいただいている次第でございます。
       このような審議会の提言、それから国会の決議を受けまして、産業界と国とでどのようにすれば既存化学物質の安全性情報の収集を加速して行うことができるのか。これを広く国民の皆さんに情報を提供するためにはどうすればいいのかを検討してまいりまして、本日御提案いたします、官民連携の既存化学物質安全性情報収集・発信プログラム、通称といたしましてJapanチャレンジプログラムを提案する運びになった次第でございます。
       それでは2ページ以降、プログラムの基本的考え方、それからその概要について説明していきたいと思います。
       このようにして考えてきましたプログラムの基本的考え方でございますが、まず一番の重要な点でございますが、化学物質の安全性情報を広く国民に発信することを、最終目標にしたいと思っています。これは一般の方にアンケート調査を取りますと、化学物質について入手した情報として、人の健康あるいは生態系に対してどのような有害性を与えるかという、化学物質の性質を知りたいという項目を挙げる方が大変多くおられます。
       このような声に応えるためには、やはり一番基礎となるような、化学物質に関する安全情報を把握して、さらにこれを広く国民の皆様にわかりやすい形で発信することが重要になってくると考えております。
       このような考えから、このプログラムの最終的な目標としては、化学物質の安全性情報を広く国民の皆様に発信することとしたいと思っております。
       そして、プログラムの実際の推進でございますが、先ほど申し上げましたように大きな課題としましては、産業界と国が連携して進めていく必要がございます。そのためには、実際に化学物質を取り扱っている産業界の事業者の方、もちろん事業者の方はこれまでも、先ほど紹介しましたOECDにおける取り組みなどで、化学物質の安全性情報の収集に貢献してきたところでございますが、事業者の方の積極的な参画が必要かと考えております。これがこのプログラムをより効率よく進めていくための、一つのキーになるのではないかと考えております。
       もちろん、産業界の方に取り組んでいただくわけでございますし、政府内部におきましてもそれなりの連携をとって進めていこうと考えております。
       政府の中におきましても、経済産業省、厚生労働省、環境省という関係部署が連携を強化して進めていこうと考えております。したがって、共通の優先度をもとに情報収集を進めていこうと考えております。また、そのための組織づくりについても、後で言及したいと思っております。
       また、国際的な動向も十分踏まえた上で、日本の取り組みも進めていきたいと思います。具体的には収集項目の共通化、あるいは国際的なデータ収集等の重複の回避などを図りつつ、進めていきたいと考えております。
       このようにして集めます情報につきましては、国で構築しますデータベース、すなわち国が集めた情報も、産業界が集めた情報も一元化して管理して、これを広く国民の皆様に発信する形にしたいと思っています。
       以上のような基本的な考え方を、少し具体的に説明していきたいと思います。それでは3ページから、プログラムの概要をご覧ください。
       まず、プログラムの枠組みは今のような基本方針を受けまして、たくさんある既存化学物質に対して、情報収集の優先度を設定しようと思います。そして、優先対象となる物質を選定し、その選定した物質のうち、既に安全性情報が取得されたか、あるいは予定がある物質は除きまして、そのような情報がない物質、あるいは情報収集予定のない物質について、集中的に情報を収集していきたいと考えております。
       企業の方におかれましてはスポンサーを募りますので、それに応募していただいて、情報収集に当たっていただきたいと思います。
       また国は、新規性、開発性が認められるような物質、あるいは情報収集が困難な物質については、積極的に国みずからも主体となって情報収集を行っていきたいと思っています。
       さらに既存のデータ、あるいは各企業の手持ちのデータ、文献データなどにつきましては、積極的に活用していきたいと思います。これらのデータにつきましては公表することを前提と考えておりますので、国の方で信頼性をチェックする体制を整えまして、その上で積極的に活用していこうと考えております。
       プログラムの流れでございますが、資料4にありますように、対象物質のリストを公表したいと考えております。そして、このリストの公表を受けまして、スポンサー募集を開始したいと考えております。
       スポンサーとなっていただくのは個々の事業者でも結構ですし、あるいは事業者団体がスポンサーになることも結構です。あるいは幾つかの事業者の方がチームを組んで、コンソーシアムと言っておりますが、チームを組んで情報の収集に当たっていただいても結構です。
       このような形でスポンサーになっていただき、このスポンサーが情報の収集を担当するという枠組みを考えております。ですから、まずはスポンサー募集にこたえていただくことが、産業界の方にお願いしたいことでございます。
       そして、スポンサー表明を行っていただきました事業者の方については、そのスポンサーをする化学物質に対して、どのような方法で情報を収集するのかという計画をつくって、これを提出していただきたいと思っています。
       先ほど申しましたように、各評価項目については文献データ、あるいは手持ちのデータなどをなるべく活用しまして、そのようなデータのないものについては試験を実施するということで、データの収集に努めていただきたいと考えております。
       次のページへまいりますが、国につきましても先ほど言いましたように新規性、開発性が認められる場合については、積極的に情報収集の主体となって、このプログラムの一翼を担うつもりでございます。
       そして進捗状況につきましては、1つの年度が終わるごとに、このプログラム推進委員会に報告をいたしますので、ここでアドバイスを受ける形で、進捗状況については広く国民の皆様が見える形で進めていきたいと考えております。
       そして、収集されたデータにつきましては、データベースで一元的に管理することによって、広く国民の皆様の利用に供したいと思っております。
       そして、プログラムが開始されて3年を経過した平成20年4月頃に、中間評価を実施する予定になっております。
       そして、プログラムの実施体制でございますが、この委員会、推進委員会と申しておりますが、この委員会が中心になりまして、きょうのようにプログラムの枠組みづくり、それからさらにはプログラムの進捗状況を把握して、促進のためのアドバイスをいただくことにしております。
       それから、先ほど専門的な知見から、データの信頼性評価に当たっていただく方、こういう専門家の方を評価委員としまして、この方に信頼性評価、あるいはカテゴリー評価についての助言をいただこうと考えております。
       それから、関係部署の連絡会を設けまして、厚生労働省、経済産業省、環境省の連絡調整、あるいは事務局機能もここで担おうと考えております。
       次のページにまいりまして、既存化学物質の情報収集における優先度の考え方について説明していきたいと思います。
       既存化学物質はたくさんありますけれども、一定の考え方に基づいて優先度をつけて、そして対象とする化学物質を選定していきたいと考えております。
       それから、対象となる化学物質については、いわゆるCAS番号というのがございますので、CAS番号で整理していきたいと考えております。通常、産業界でとられている方法でもございますし、先ほどの国際的な取り組みでございますOECDのHPVプログラムなども、このCAS番号で物質を分類する方法をとっておりますので、この取り組みでもCAS番号を基本として、化学物質の把握をしていこうと考えております。
       それでは、優先度の考え方でございます。1つの考えとしましては、有機化合物を中心に安全性情報を収集していきたいと考えております。したがって、有機化合物の優先度が高いということでございます。
       有機化合物は構造も多岐にわたっております。そしてその性状もさまざまなものがございますので、有機化合物が、安全性情報をとるについては重要な化学物質だと考えております。
       他方、例えば高分子化合物は分子サイズが大きいため、通常、生物の細胞膜を透過しにくいという性質がございます。したがって、これが直接の原因となって、人あるいは動植物に有害な効果を与える可能性は低いと考えております。
       また、無機化合物につきましては、水に溶けるとイオンに乖離する性質のものが多くあります。この場合は、この無機化合物を構成する金属イオンの性質が、有害性の有無に直接関係すると考えられております。この金属イオンの有害性については、既に今日では相当程度の科学的知見が得られていますので、無機化合物の優先度も低いと考えております。
       このようなことから、有機化合物を中心に、有機化合物の優先度を高く考えることによって、安全性情報の収集を行っていきたいと考えております。
       さらに、有機化合物だけでもかなりたくさんの数がございますが、この有機化合物をさらに優先度を設定していく考え方としましては、リスクという観点を用いようと思っています。
       リスクと申しますのは、5ページの下の箱の中に書いてありますとおり、物質の持つ固有の有害性、ハザードと通常呼ばれるものですが、それと暴露量、その化学物質に人間などがどれぐらいの濃度でさらされるかというもの。この2つの指標の掛け算になっております。
       ただ、ここでは固有の有害性を情報収集するということですので、ハザード情報のないことが多いわけです。したがってこのような場合には、暴露量が多いと考えられる物質を優先して、情報収集に当たるという考えでございます。
       これについては一番後ろの13ページに簡単な図をかいておりますが、これはかつて環境モニタリングがなされた化学物質を、製造・輸入量の数量別に分けて表したものです。
       この一番真ん中の部分が、製造・輸入量が100万t以上の化学物質です。こういう化学物質をモニタリングした場合、ほとんど100%検出されているということでございます。
       それに対して外側の枠の部分、1,000t以上1万t未満の部分ですと、検出割合は50%になってきます。もちろん化学物質の中には検出されやすいもの、されにくいものというのがございますが、たくさんの対象物質をとってみますと、一般にはこのような傾向があるのではないかと考えております。
       したがいまして、製造・輸入量が多いものが暴露量も多いと、一般に考えていいのではないかと思っております。暴露量の多い化学物質を優先すべきだと考える次第でございます。
       このような考え方に基づきまして、6ページをご覧いただければと思います。まず、一番優先すべきものを、今から4年計画、平成20年度を目標に、安全情報の収集・発信に当たっていきたいと思っています。
       この四角の囲みの中をごらんください。まず、平成20年度を目標として情報収集を行っていくものとしましては、国内での製造・輸入量が1,000t以上の有機化合物を対象にしていきたいと考えております。
       ただ、この1,000t以上の有機化合物の中には、既に日本あるいは海外で情報が収集されているもの、あるいは予定があるものがございますが、その予定のあるものを除いたもの、すなわち安全情報の収集がなされてないか、その予定がないものを最も優先させていきたいと考えております。
       後ろの方になりますが、8ページをご覧ください。8ページの上の図でございますが、これがプログラムの全体のイメージでございます。日本で製造・輸入量が1,000t以上の化学物質をリストアップしまして、そのうち既に国内あるいは海外で情報収集がなされたか、あるいはその予定のあるものは下半分ぐらいです。
       これについては、既に情報収集の予定のあるものはそれを活用しますし、情報がとられていたものはそれを活用しまして、予定のあるものはその予定に従って収集されるのを待つ形になります。
       これに対しまして、情報収集がなされていないか、その予定がないものについて、産業界と国で連携して情報収集に当たっていきたいということでございます。
       その結果といたしまして、日本で製造・輸入が1,000t以上の有機化学物質については、このプログラムが仕上がるときには、安全性の情報がそろっていることを目標にしたいと考えております。
       それではもう一度、6ページに戻っていただきたいと思います。このようにしてプログラムを進めていきますが、製造・輸入量は変動するものでございますので、適当な時期に見直すことも考えていきたいと思います。
       また、1,000t未満の化学物質の取り扱いについては、一番優先する1,000t以上の有機化学物質の取り扱いの進捗状況、あるいはこのプログラムを始めて色々な反省点が出てくるかと思いますので、そのような反省も踏まえて、取り扱いについて検討していきたいと思います。したがいまして、これは今後の検討課題と考えております。
       また、構造とか組成が一定しない化学物質群の評価方法をどのようにするかというのも、今後の検討課題と考えております。
       6ページの下の方にまいりまして、産業界と国の役割分担でございます。これについては、平成15年の化審法を改正するときの審議会の報告書に述べられるところでございますが、事業者、国、それぞれその役割を担って、このプログラムを協力して進めていこうということが書いてあります。
       国の役割について言及をしますので、7ページをご覧いただければと思います。まずは、この優先情報収集の対象となる物質リストを公表することが、国の役割の最初の一歩でございますが、そのほかデータ調査を国の方で実施いたします。これは主要なデータベースを調査いたしまして、対象となる化学物質の評価項目ごとの情報の有無を国の方で確認しまして、これを公表して、産業界の情報収集の参考にしていただければと思っています。
       それから試験の実施において、新規性、開発性が認められる場合、あるいは既に幾つかの知見から有害性が見込まれる場合については、国としても積極的に試験の実施主体として、安全性情報の収集を行う予定でございます。
       具体的にどういうものかといいますと、新規性、開発性が認められる例としましては、カテゴリー評価というものがございます。カテゴリー評価は日本では行われていないのですが、アメリカなどでは一つの評価手法として行われています。これは構造の類似した化合物などを1つのグループとしてまとめまして、そのグループ全体を一まとまりにして評価を行おうというものでございます。
       例えば具体例を挙げますと、アルキルベンゼンスルホン酸という界面活性剤がございます。それはアルキルの部分の鎖長が違うものが入っておりますが、こういう場合に、例えば鎖の一番短い化合物と、鎖の一番長い化合物のデータをそれぞれとることによって、その中間的な化学物質は、恐らく両者の中間的な性質であろうというのを推定いたしまして、本来なら個々1つ1つの化合物のデータをとってそれを評価するところを、一つのまとまりとして特徴的な化合物を選んで、その特徴的な化合物を調べることによって、全体を評価しようという試みでございます。
       これを行うことによって、情報収集がかなり効率化するメリットがございますので、まさに新たな情報収集の方法の開発につながると考えております。
       こういう場合は、国も積極的に国の費用を投じて、この手法の開発に努めていきたいと思っております。
       それから、信頼性評価については先ほど申し上げましたように、政府の方で委嘱する専門家に評価委員になっていただきまして、データの信頼性評価、あるいは今申し上げましたカテゴリー評価をするに当たっての、カテゴリーの組み方に対するアドバイスなどを行っていただければと考えております。
       それから、データベースを構築して情報を発信する部分も、国の方でデータベースを用意しようと思っています。そして広く、このデータベースに国民の皆様がアクセスすることによって、情報発信を行っていきたいと思っています。
       このデータベースについては、なるべくわかりやすさを配慮してつくっていこうと思っています。具体的にどういうふうにすればわかりやすいかというのを、今後関係者間で検討を行っていこうと思っております。
       また、本プログラムと並行して進んでおりますOECDのHPVプログラムについても、日本がこれまでも参加しておりますし、日本政府あるいは日本の企業の方の努力で、OECDの取り組みもそれなりの進捗を見せております。これもさらに進める必要がございます。
       したがって、日本国内のプログラムだけではなくて、OECDのプログラムへの積極的な参加を支援していきたいと思います。したがって、このOECDのプログラムにさらに参加しようという場合については、国はその企業が行う評価文書の作成などについて、支援を行っていきたいと思っております。
       それから最後になりましたが、今後の予定でございます。本日、この委員会で御審議いただいた後、おそらく4月下旬、来週の4月25日ぐらいからパブリックコメントの募集を行いたいと思っています。これを約4週間程度行いまして意見をまとめて、必要な部分については修正などを施したいと思います。
       その上で、このプログラムの進め方、それから物質リストについて多少の修正をした後、修正したものに基づいて、5月下旬にスポンサー募集を開始したいと考えております。
       スポンサー募集がなされますと、まさにこのプログラムがスタートするわけでございますが、スタートした後、1つの年度が終わるごとにその進捗状況を確認して、その確認のために1つの年度が終わった後、おそらく4月頃だと思いますが、この推進委員会を招集をいたしまして、ここで進捗状況についてアドバイスをいただこうかと思っております。
       それから、先ほどから平成20年までの4年間の取り組みと言っておりましたが、そのうち3年目が経過した時点で、平成20年4月以降になると思いますが、中間評価をやろうと思っています。ここでこの進捗状況など、またこの推進委員会を開いてアドバイスいただければと思っております。
       私の説明は以上でございます。
    • 池田委員長 ありがとうございました。
       この資料3の説明と、それから具体案としての資料4がもう1つございまして、それが内容的にはカップルしているわけですが、とりあえず今の資料3についての御説明で、直に質問がありましたら承りたいと思います。
       どうぞ。
    • 中村委員 確認をさせてください。資料の9ページですが、OECDのHPVでは500やられていて、うち日本の企業がスポンサーになっているのが100ということですが、8ページのプログラムの全体イメージでは、OECD/HPVプログラムに入っているものについては、前回もありましたけども、これは除外するということでしたでしょうか。今回のJapanチャレンジプログラムですね。
       それで、「国際協力を通じて収集」とここに書いてありますけれども、これは国が責任を持ってデータベース化するということになりますか。そうですよね。
    • 辻室長 はい、データベース化については、国の方でデータベースを用意しまして、そこで一元管理します。
    • 中村委員 入れるということですね。
    • 辻室長 産業界の収集データと国の収集したデータ、両方同じデータベースに入れようと思っております。
    • 中村委員 はい、わかりました。
       それから、確認ですが、4ページに各省の関係部署連絡会というのがありますけども、これは常設の組織としてやるのでしょうか。
    • 辻室長 はい、そのように考えております。
    • 中村委員 責任を持つところは経済産業省でよろしいですか。
    • 辻室長 いや、3省です。
    • 中村委員 3省合同で責任を持つというのは、どこかが最終責任を持ってやられるかということなんですけれども。
    • 辻室長 これは3省、特に差はありません。いずれの省も同じ責任を負うと考えております。
    • 中村委員 その場合、3省の役割分担といいますか、物質ごとに分けるのか。化審法を所管しているのは経済産業省ですよね。3省ですか。
    • 辻室長 ええ、3省です。
    • 中村委員 そうですか。要するに質問は、例えば一般国民が何かいろんなことを言いたいときに、どこに持っていけばいいかということなんですが。この連絡会がどこに置かれるかによって、どこに持っていっていいかわからない、違ってくると思うんですよね。その辺がもう少しわかっていれば教えてくださいということです。
    • 辻室長 非常に重要な点でございます。それは連絡窓口をつくりまして、これはホームページで公開して、「何か質問とか問い合わせがあればここにしてください」というのを設けようと思っています。そしてその窓口の方が、例えばこの相談であれば経済産業省、この相談であれば厚生労働省というふうに割り振れるようにして、窓口は一本化したいと考えております。
    • 中村委員 ぜひ、そうしてください。ばらばらだと非常に困るので。どこか1つの窓口があれば、すごく注意喚起もしやすいなということですので。
    • 辻室長 はい。
    • 池田委員 ほかにも直の御質問ございますか。
       どうぞ。
    • 小倉委員 日化協の小倉でございます。
       今、中村さんの方からお話がございました件で、いわゆるこれは「官民連携、両者総力を挙げて」というふうにここにも書かれてございますが、私どもからの政府に対する要望としましても、単に枠組みだけつくって、あとは「はい」というのでは困りますので、今の責任体制というのもございましたけども、ぜひ、政府としての体制づくりをよろしくお願いしたい。
       もう1つ、これは私ども産業界から、まだ具体的な御提案もできていないのですが、例えば連携をいかに深めるかという意味で、産業界と政府との両者が入っているような、何かそういう組織的なものも、今後ちょっと検討していくべきではないかと思っています。これは私どものアイデアづくりも時間がかかるかもしれませんので、ぜひ今後とも、そういう検討の余地は残すというふうなことで御検討いただければなと思います。
    • 辻室長 わかりました。その課題についても、また産業界とも話し合いをしまして、連携をとっていけるようなものをつくりたいと思っています。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 中杉委員 これに直ではなくて、資料にもちょっと絡むかもしれませんけど、基本的な考え方をこちらで整理しているのでお尋ねをしておきます。
       国内年間製造・輸入量が1,000t以上というのは、この考え方はそれで結構だろうと思うんですが、そのデータを何によるかという話が、またもう1つ問題になるのかなと思います。ここら辺のところのルールを決めておかないと、例えば中間体で出ているやつについては、必ずしもすべてが製造・輸入という形で把握されていないものもあるのではないか。 後でまた資料4の方で、そこの具体的な物質についてちょっとお尋ねしますけども、そこら辺のところのルールを少し決めておかないと、今、経済産業省が把握しておられる、こういうデータで一応考えますということであれば、それは一つの割り切りだろうと思います。そのところをひとつ、確かめておきたい。
       それから、環境モニタリング結果、結構あるものがありますので、それについては今回はとりあえず、次の段階へということで整理をされたというふうに考えてよろしいんでしょうか。あるいはこういうものがあるからというので、例えば一本釣りみたいな形でこういうものをやってもらったらどうかという提案をしたときに、今回はこのルールがあるから、今回は1,000t以上のところでとまりますよという整理にするのか、そこら辺のところを一つはっきりさせていただければと思います。
    • 辻室長 まず1つ目の質問ですけれども、これは中間体用途についても含まれています。
       それから2つ目の質問ですが、当然ながら有害性があるものについては、国の方で積極的に情報収集を行いますので、今の先生の御指摘のように、モニタリング結果、特にこれは問題があるというような物質につきましては、環境を守るという国の役割でございますので、国の方で積極的に情報収集を行っていきたいと思っております。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 田保委員 今の件にちょっと関係するんですけど、1,000t未満の物質は今後の検討課題であるということですが、例えば今ちょっと一部ありましたが、例えばある期間内に今後検討をするのか、あるいはどういうふうに考えるのかという、検討課題でそのままになるというわけでもないでしょうし、どういうふうに考えるのかということぐらいがあってもいいのではないかという気がするのですが。
    • 辻室長 1,000t未満につきましては、一番メジャーな部分、1,000t以上の進みぐあいを見まして、おそらくこのプログラムの一番最初の平成20年を目標にする部分を進めていきますと、いろんな反省点が出てくるかと思います。
       そういうことを踏まえた上で、それでは1,000t未満の物質については、まさにどういうようなやり方でやればいいのか、あるいはどういう項目をやればいいのかというのも、実際にやってみた上で判断して、それを検討していくのがいいのではないかと思っています。
       それでタイミングとしては、3年目で中間評価をやりますと申し上げましたけれども、そのときにある程度の結果が得られていると思います。したがって、3年目が終わった時点の結果を見まして、それではどういうふうにやっていけばいいかというのを検討し始めて、2009年以降ということですが、2009年が始まるまでには、一つの提案ができるような形に持っていこうかと考えております。
    • 田保委員 そういうことの概略というものが、何か記載されていた方がいいのかなという気がしたのですが。
    • 池田委員長 この提案の中にですか。
    • 田保委員 ええ。
    • 辻室長 実は、そういう問題も検討はしたのですが、始めてみないとどういう点が問題になるのかというのは、今のところよくわからないということで、実際に進みぐあいを見ないと、そこは本当に有効な対策がとれないのではないかということで、まずとにかく1,000t以上のものをやっていくことを優先にしたいということもありまして、今後の検討課題とさせていただいた次第でございます。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 越智委員 公表のところでちょっとお尋ねしたいのですけども、公表形式については今後の検討ということで掲載されておるんですが、現時点では既にいろんな機関等から、こういうハザードデータとか公表されているものもあろうかと思うんですが、イメージされているようなものは、現時点はございますでしょうか。
    • 辻室長 イメージしているのは、お手元の参考資料でお配りいたしました。「化学物質総合情報提供システム」というパンフレットがお手元にいっているかと思います。これは独立行政法人製品評価技術基盤機構、いわゆるNITEと呼ばれる機関が、現在行っています化学物質の情報提供システムについて書いたものです。見開きを見ていただければ、大体どういう情報が検索をするとあらわれるかというのが書いております。
       1つのイメージとしましては、見開きのところにありますような、こういうイメージを考えております。
       ただ、今回はこういうのも一つのお手本としまして、具体的にどういう形にするとわかりやすいか、活用しやすいかというのを、実際に実務を行っている方にも入っていただいて、相談しながら決めていきたいと考えております。
    • 越智委員 今回の情報発信は、ハザードデータの発信ということになろうかと思うのですけれども、今御説明いただいたものも基本的にそういう内容かと思うんですが、既にこういうものが発信されていて特に問題がないので、あんまり気にしなくてもいいのかもしれませんが、受け手によりましては、ハザードということにちょっと過剰反応というか、場合によったら誤解等も含めまして、本来は安全性情報提供のはずが、逆に心配とか不安とか混乱ということにつながることも、なきにしもあらずかなと思います。
       データ提供の場合には、そういうことにつながらないような、何かうまい工夫があれば望ましいかなと思いますけれども。
    • 辻室長 その点は大変大事な点だと思います。もちろん正確にすればいいかという、それだけではないというのはよくわかりますし、わかりやすさというのは何かという点についても、実際にこの公表形式をどうするかという検討の中で、含めて検討させていただきたいと思います。
       そのときには、ぜひ越智委員など、もし御知見がございましたらアドバイスいただければありがたいと思います。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 中下委員 基本的な質問ですけれども、化審法の監視化学物質とか指定化学物質というのは、この中には含まれていないんでしょうか。
    • 辻室長 もちろん化審法の指定化学物質、監視物質も、1,000t以上の有機化合物であればこの中に入っております。
      ただ、そういうのは結構データがとられているものも多いのでございますが、対象には入っております。
    • 中下委員 なるほど。そういう意味で、そういう法規制の加えられているものを、そうするとそれは1,000t未満ももちろんあるかと思うんですけれども、そういうものについての優先度は、どういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。
    • 辻室長 もちろん、化審法で評価がなされたものについては、ある程度評価をした時点でデータが集まっていますので、このプログラムではまずデータのないもので、さきほどのリスクが高く、製造・輸入が多いもので、まず実施するということでございます。
       それで、化審法の一定のデータについては、もう既に指定される時点でわかっているのについては、さきほどのNITEの情報などによって、もう公表されていますので、それはそれで活用していただければと思っております。
    • 池田委員長 よろしゅうございましょうか。
       どうぞ。
    • 林委員 7ページの「データベースを構築し情報を発信」というところですが、先ほど越智委員から言われたことと少し関連するのですが、わかりやすさ等ということで、前回の議論を反映していただいていると理解はしていますが、ハザードということですが、えてして数字だけがひとり歩きするということで、これは最近リスクコミュニケーションということの重要性が非常に言われておりますが、そういう場として構築していただきたいと思っております。
       例えば、資料3の最後の13ページのグラフですが、これは一つの例にすぎないんですけれども、検出割合と製造・輸入量ということで書いてございますが、検出というのが例えば1カ所でも検出されたものなのかどうかとか、検出というのは分析技術の開発とともに変わっていくといったことで、検出されたから非常に危険であるというような誤解がないように、うまく、わかりやすく、このデータベースを構築していただければと思います。
       もう1点ですが、プログラムの進捗状況の公表と関係するのですが、私ども、化学工業品輸入協会ですが、メンバーの方から、現在、ある会社が輸入していない製品であっても、その会社として納得できるデータが採用されていくという観点から、このプログラムに関与してデータ収集に参画する可能性があるということで、この物質については公表されるわけですが、どれくらい企業がそれに手を挙げているかとか、コンソーシアムをどう含むかということとも関連するんですが、どこにコンタクトをすれば一緒になってプログラムを推進していけるのかといった情報を早目に欲しいと。後からではなくて、例えばテストのプロトコールといったことも適切な形でいけるように、早く知りたいというコメントがありましたので、その辺も配慮をいただけるとありがたいと思います。
    • 池田委員長 早速三者のコンタクトポイントを得るという具体的な提起でございました。ありがとうございました。
       ほかに、直の質問は。
    • 中村委員 7ページで先ほど、カテゴリー審査といいますか、評価ということをおっしゃいましたんですけど、これはアメリカ等々では結構やっているということですが、カテゴリー評価で予想外のデータが出たということは、今まではなかったわけですね。
    • 辻室長 今、OECDの場で上がってくるようなものについては、もう仕上がりの形で出てきますので、その過程でどうなったかというのは、不明ですが、仕上がりとしてはきちんとしたものが出て、カテゴリー評価で評価できるという根拠になったデータとともに評価されております。
    • 池田委員長 今、中村委員のおっしゃったのは、私はもともと中毒屋なのですが、中毒学の本質にかかわるものなんですね。どこまで類似性があって、どこまで独自性があるか。
       例えばベンゼンの造血機能障害はトルエン、キシレンにあるか、ないかとか、あるいはノルマヘキサンの末梢神経障害は、じゃあペンタンとかヘプタンでどうかとか、これは楽しい話題になってしまうんですけども。
       類似性で外挿できる部分と、独自性で離して考えないといけない、これは個々の評価をやっている段階で、それなりにわかる部分だと思うんです。一概には言えない部分、もちろん御指摘のとおりだと思います。
    • 江原室長補佐 カテゴリー評価、人の毒性の部分でございますが、こちらの部分、特に先生おっしゃいましたように、いろいろ検討すべき点があると思います。そちらにつきましては厚生労働省の研究班の方で、ことし17年度から3年度計画で研究班を立ち上げまして、そちらで検討をすることになっておりますので、御紹介いたします。
    • 池田委員長 ありがとうございました。
       資料4に進ませていただきます。これも本日のハイライトの一つでございます。どんな物質が候補になって出てくるか、あるいはどれだけカバーされていて、どれだけ残っているかというのを、物質の顔を見てほしいと思います。資料4に進ませていただきます。
       どうぞ。
    • 辻室長 それでは、資料4をご覧いただければと思います。これは先ほども少し説明しましたけれども、日本で製造・輸入が1,000t以上の有機化学物質につきまして、これを製造・輸入量のオーダー、つまり10万t以上のオーダーか、1万tから10万tに入っているかというオーダーで並べたものでございます。
       オーダーの中では、CAS番号の若い順に並んでおります。このようなリストでございます。
       そして、右側の国際的情報収集状況で、「OECDで評価済み」ですとか、「OECDで評価予定」ですとか、あるいはアメリカのプログラムでございます「USチャレンジで情報収集予定がある」という情報を記載しております。
       したがいまして、右の欄が空欄の場合は情報収集がなされていないから、その予定がないというもので、優先的に情報を収集する必要があるという化学物質でございます。
       ちなみにその数を申し上げておきますと、この資料4の全体の数でございますが、CAS番号で数えまして666ございます。
       ちなみに、100万t以上が14、10万t以上が48、1万t以上が129、1000t以上が476でございます。
       そのうち、先ほどちょっと申し上げました情報収集がされていないか、その予定がないものが172あります。こういうのを優先的に、情報収集を進めていこうと思っております。
       ここを見ますと、例えば量の大きいものでいきますと、アセトアルデヒドとか、あるいは少しめくりますと、インデンとかトリクロロニトロメタンとか、あるいはキノリンというものが、優先的に情報収集を行っていく物質として入っていることがおわかりになるかと思います。
       以上、簡単でございますが、物質リストについての説明とさせていただきたいと思います。
    • 池田委員長 このリストをご覧いただくのは今が初めてで、かつたくさんありますので、すぐに御意見を頂くことはなかなか難しいかもしれません。
       事前にちょっと拝見しておりましたら、例えば2ページの空白欄の上から2つ目のところにDL-メチオニンだとか出てきまして、物によっては必ずしも毒性評価が必要でないものもある、広い意味で。
       人、健康、影響、あるいは生態毒性の評価の必要でないものもあるかもしれません。そういう角度からの評価はまだしていなくて、一定の生産量以上のものを全部集めたという趣旨の表でございます。
    • 辻室長 申し忘れましたけど、このリストについても先ほどの本文と同じように、パブリックコメントに付して意見をいただこうかと考えております。
       それから、この取扱量のオーダーですが、平成13年度の実績数量をもとにして、どの取扱量オーダーに入るかを決めておりますので、現在の数字と少し変わるところもありますが、直近で使用可能な数字ということで、13年度実績を使用させていただきました。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 中杉委員 当然全部見られないので、ざっと眺めていて気になったのが幾つかございまして、ちょっと質問させていただきます。
       まず、アセトアルデヒドが収集の予定がないというのは、これはもうほかでもいろいろやられているから、ここであえてやる必要はないという判断で、このチャレンジでは抜いているのですか。非常に世に出ていて、明らかに問題があるというふうで、これは両方集めなければいけないだろうと思いますけども、なかなか評価も難しい話かなと思いますが。
       これが抜けていると、何か説明が必要な感じがするので、これは一つ説明をしていただいた方がよろしいのかなと。
    • 辻室長 アセトアルデヒドが抜けていたのは、多分さまざまな理由があると思うんですが、OECDでは一体どういう理由で抜けているかというのは明らかにしてないので、本当の理由というのはわからない状況です。
       ただ、アセトアルデヒドの場合はそれほど大きな毒性がないというのと、多分分解しやすいとかそういうこともあって、たまたま抜けていたのかなとも思います。
    • 中杉委員 アセトアルデヒドは環境暴露よりは食品、あるいは特に酒による暴露が非常に大きい。酒で代謝をしてというところが大きいだろうという話がありますので、そういう意味でそっちが問題なのかもしれませんが。
       代謝しやすいというのは、御存じのようにアジア系の人はある割合で代謝しにくい。代謝する遺伝子を欠損している。そこら辺を少し考える必要がある。
       世界的に見るとほとんどそういう問題がなくても、特に日本ではちょっと気になるところがあるのかなという感じがするので、何かこの辺説明が少し必要なのかなと思いますね。
    • 池田委員長 ちょっと御理解いただきたい部分があります。この表で一番右のカラムに何らかのコメント、例えば「OECD評価済み」だとかあるものは外すもので、空白になっているものは取り上げるもの、原則的にですね。
    • 中杉委員 一応、そこでチャレンジの収集……、いや、これはUSですか。ごめんなさい、私、誤解していました。アメリカでやっているから、これは抜けているものはやるということなんですね。
    • 池田委員長 原則的にね。
    • 中杉委員 わかりました。ちょっと私、誤解して。これが収集予定というのは、ここでやる予定のものかと誤解したものですから、済みませんでした。
       もう1つ、先ほどちょっと生産量云々の話で申し上げた、このリストの中に1,1-ジクロロエタンは入っていますか。ちょっと見つけられないのですが。
       これは多分、合成の中で、私も明確には把握できていませんけど、どこかでできてきているはずですね。C1から、あそこのクロロメタンからクロロエタンの合成の系統で何か出てくるのではないか。そういう意味でのことがあるので、一応取り出したものという意味で中間体という整理であれば、それは一つの考え方だと思いますので、それは結構です。
       先ほど「中間体」という言葉で申し上げたのは、いわゆる反応系統の中で動いてくるという、確かある程度の量であるんじゃないかなと私は認識をしていたものですから、どうなのかなと。それはそれでいいのですが。
       もう1つは、1,1-クロロエタンは、地下水の中でかなり高濃度で、高頻度で見つかってきます。これは必ずしも1,1-ジクロロエタンが入るのではないのですけども、例えばトリクロロエタンからできてしまうというたぐいの、環境中でできてしまうというたぐいのものがありまして、そういうものはここの中に入ってこないのですね。
       そういうもので一度評価をしておかなければいけないと思っているのですが、毒性のデータがなかなかない。なぜないのかよくわからないのですけども。できればそういうものを考えていただければというのが、一つの提案とさせていただきます。
       これは多分、メーカーの方が手を挙げられるのがひょっとしたらないのかもしれませんけども、国の方でできればやっていただきたい。
       それから同じようなことが、ずうっと後ろの方にクロトンアルデヒドという化合物がございます。これは環境省での黒本、今ちょっと名前は変わりましたけど、あの調査の中で見つかったデータを、信頼性があるかどうかはともかくとして、発がんのポテンシーのデータが、EPAの人が表にして書いていたものを使って計算をすると、かなりの濃度で高い発がんのリスクになるという計算が出ていて、少し気になっているものですから、これについても実際の環境濃度と、そういうふうなデータと比べると、ちょっと気になるな、調べておく必要があるんだなと思っているんですが、なかなか毒性データがはっきりしていない。
       そういう意味では、EPAの方が出して、どういうふうな理由で算定しているのかちょっと調べなきゃいけないですけども、ある程度あって、そういうふうになっていますので、評価をしていただくということができればいいなというのが2つ目です。
       その2つぐらい、今気になったものですから。
       それから、先ほどちょっと言われた中でトリクロロニトロメタンは、たしかクロロピクリンじゃないですか。クロロピクリンであれば農薬ですから、かなり情報はそろっているはずであります。これは出てこないという話なので、そういう意味では改めて集めるのかどうかという話ですけれども、当然農薬の審査をやっていますので、かなりの情報が集まっていて、農薬ですと作物残留みたいな話で、当然評価をしているはずですので、そこら辺のところを、これはメーカーの方が出していただけるかどうかの話になってくるかなと思いますが。そういうものも幾つかあるのかなと思います。コメントでございます。
    • 辻室長 わかりました。今のような御意見も踏まえて、参考にさせていただきたいと思います。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 首藤委員 この資料との関係ですけど、「OECD評価済み」というのと「評価予定」というのがたくさんあるわけですね。それと先ほどの「データベースを構築し」というときに、こういう日本でやったものじゃないのも、当然一緒に出すわけですね。
    • 辻室長 はい。OECDでのデータも、当然日本はOECD加盟国ですので、日本のこういうデータベースからアクセスが可能になるようにしたいと考えております。
    • 首藤委員 言ってみれば、日本国内向けのデータベースをもう1つつくるという意味ですか。
    • 辻室長 はい。これらについては、既に今でもあります。
    • 首藤委員 あるわけですね。
    • 辻室長 あります。
    • 関課長 OECDのHPVプログラムと呼んでおりますが、これについては当然このデータは世界中で非常に使えるものですから、世界中の人がアクセスしやすいように、またわかりやすいようにするにはどうしたらいいかということで、データベースのつくり方をどうしようかという議論を、今まさに検討している最中です。その中に日本も加わっています。
       ただ、これは中に入る情報の種類、それから質の検証、さらにそれにかかわる企業の秘密情報等の扱い等々、実はいろいろと解決しなきゃいけない課題が多々あります。そういうわけで、一朝一夕にできる話じゃなくて、多分色々な試行をしながら2年ぐらいの期間を設けて、形づけていくんじゃないかなと思っております。
       既に日本としては、例えば化審法関連で集めたデータは、化審法を参照する体制ではありますけども、先ほど申し上げたNITEの方で、まず一義的にデータが取り入れるような体制をとっておりますから、そういうものを活用して、なるべくアクセスしやすいような形にしていきたいと考えております。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 小倉委員 先ほどからのお話で、このリストの対象物質ですが、一つ、「OECD評価済み」というのはいいんですけども、「OECD評価予定」につきましては、例えば今走っているコンソーシアムがうまくいかないケースも出てくるわけですね。
       ですからそういう意味では、今後将来、また対象に戻ってくるというケースもあると理解しています。
       それからもう1つ、産業界としては、例えば先ほどの中間体とかそういう形のものにつきましては、今回のプロジェクトの目的といいますのが、暴露の多いものを優先的にやっていこうという考え方に立っていると思っています。
       したがいまして、産業界なりの取り組み順序といいますか、プライオリティーづけは当然出てくると思っています。
       それから、例えば中間体ですと、一応今回のプロジェクトはOECDのプログラムに準拠しているというふうに理解しておりますけども、OECDのHPVプログラムの場合には、中間体というのはいわゆる取り組みをディスカレッジするというふうに明確に書かれていまして、暴露が検出モニタリングで出るということがありますと、当然優先順位が上がってくるわけですが。私どもとしては、そういう観点も織り込みながらやっていきたいなと思っています。
       それからデータ公表といいますか、そちらについての要望でございます。現在御存じのように、欧州の新しい化学品規制、REACHの審議が進んでおりますけども、ここではいわゆるデータがすべて有償となってまいります。
       ということで、例えば今、OECDのHPVプログラムで起こっております問題というのが、OECDの公表されたデータをそのままそっくり使うと、例えばREACHの登録に使えると。そうしますとコンソーシアムにも入っていない、何もやってないところがただ乗りできるといいますかね。
       今現在、ですから欧州委員会とOECDの間では、いわゆるもともとの一番オリジナルのデータにアクセスできるという権限を、データの所有者が認めた場合にのみそれを使っていいと。これはあくまでも登録にですね。
       ですからこれを、例えばいろんな公共の目的のためにデータを使っていくということですけども、その登録に使うというときにはそういう条件をつけるという話が、現在、欧州の中でも議論されております。
       そういう意味で、いわゆるデータの所有権が、国際的にも今後どう整理するかといういろんな問題が出てこようかと思っていまして、いわゆるデータベース、あるいはデータ公表という観点からも、一度ぜひ整理もやっていただきたいなと思っております。
    • 池田委員長 小倉委員にちょっと伺いたい。先ほどの首藤委員からの御質問とも関連するのですけども、OECDのHPVプログラムの中でのデータは、例えばSIAMだとかは公表されると、そうですね。それで今の議論には引っかからない。
    • 小倉委員 ですから今申し上げましたのは、いわゆる公表データを使って、それを何かほかの登録とか、そういう目的に使うという場合の権利関係という格好ですね。
    • 池田委員長 知的所有権。
    • 小倉委員 そうです。
    • 池田委員長 越智委員。
    • 越智委員 ちょっと恥ずかしい質問になるかもしれませんけれども、PRTR対象物質は、選定の時点でハザードと暴露のリスク評価に基づいて、現時点の物質が選定されたと理解しておるんですが、それとここで言う評価済みとの関係ですが、PRTR対象物質は、すべて評価済みの物質ということにつながるのでしょうか。
    • 辻室長 いえ、すべてが評価済みというわけではございません。PRTR対象の中でも、ここで言いますとOECDで評価済みか、あるいはデータ取得中というのはもちろんそこに明記されておりますが、PRTR対象だからといって取得済みと、一義的に考えているわけではございません。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 中下委員 今のことに少し関連するのですけど、そうするとここで書かれているのは、OECDと国際的な情報の有無ということだけに限られていて、先ほどちょっと私からも質問させていただいたように、既に国内であるものもあるわけですよね、この中には。そういうことの表記もあわせてしていただかないと、私たち読み手としては非常にわかりにくい。
       例えば、先ほどのアセトアルデヒドなんて、多分、厚生労働省でのリスク指針値を決められたときに、一定程度の評価をされているんじゃないかと思うんですけれども、そういうようなものがあるはずなんですが、先ほどの農薬の話もそうでしたが、どこかに日本の国内法の中でデータがあると思われるものがあるのですが、そういうことの取り扱いを明記していただいた方がいいんじゃないかと思うのですが。
    • 辻室長 まず、他法令でいろんな取り扱いがあるもの、あるいはデータがあるものについては、これにさらに加筆したいと思います。
       ただ、農薬をどうするかはちょっと難しいところがあるんです。というのは、農薬の場合は製剤として評価されている場合があって、直接化学物質で評価されていない場合があるので、そういう問題点はあるにせよ、化学物質として評価されているものについては、最終的にプログラムを始めるとき、スポンサー募集を始めるときにはわかるように表記したいと考えております。
    • 中下委員 それともう1点、今の関連なんですけど、そういうものの中で絞り込みをしてスポンサー募集をされるという御予定なんでしょうか。それとも、この白いものは全部スポンサー募集されるんでしょうか。
    • 辻室長 基本的には白いものは全部募集するつもりです。参考として、ここにこういうので評価をされている、されていないというのを、他法令の場合、こういう規制があるというものを、参考として書くということで対処したいと思っております。
    • 有田委員 この表を見てみますと、例えば厚生労働省関係のものが多くて、もちろん例えば消費者団体も、発がん性があるのではないかと言ってきたようなものも白抜きで入っているので、その評価をしていただきたいと思うんですけども、優先順位が通常であれば非常に低いというふうに扱われるようなものが、白抜きでいっぱい入っているような気がしているんですが、この中で逆に整理をして、白抜きだけの優先順位を今後決めていく、評価していくということではあると思うんですよね。それからスポンサー募集もしていくと思うんです。
       特にこの中で、例えば上位に上がってくるものが既にあるのであれば、今後だとは思うんですが、ぱっとこれを見ても申しわけないのですが、ちょっと首をひねってしまいます。
    • 池田委員長 172物質だけのリストがあると、もう少し見やすかったかもしれませんね。
       どうぞ。
    • 中村委員 今の段階ではなかなか掲載しにくいと思うんですが、資料4のリストで、日本化学工業協会と輸入協会の方がいられますけども、大体どれだけのスポンサーが名乗りを上げるのかという目算は、現在出ていますか。漏れというか、国がどれだけ関与しなきゃならないかにかかわってくると思うのですけども、どういう感じを持っておられるのか、現段階でわかることで教えていただければと思います。
    • 辻室長 実はこの物質リストを公表するのはこの場が初めてでして、これはこれからでないとちょっとわかりかねるところです。
    • 中村委員 それからもう1つよろしいですか、簡単に。先ほど有田委員もおっしゃったんですけども、1,000t以上の量で一応切っているんですが、1,000t未満であっても、前回安井委員もおっしゃったんですが、かなりエモーショナルに発がん性があるんじゃないかとか、国民、一般市民が不安に思っているものもないわけではないんです。先ほど田保委員の質問にもあったんですけども、今後の検討課題というふうに理解してよろしいですか。
    • 辻室長 まず、今回の目的というのは、情報がないやつについては、全部一定のデータをとっていこうと。これはもくろみなので、今の点、ちょっと外れるんですが、ただ、中でも説明しましたが、国の一つの役割として、環境汚染につながるような化学物質については、たとえこのリストに載ってなくても、すなわち1000t未満であっても、それは国として環境を守るという仕事の一つですので、積極的に情報をとっていきたいと考えています。
    • 関課長 多少議論が拡散しているかのように思えるので、あえてお断りしておきますけども、この話が化学物質情報収集のすべてではなくて、むしろ既に我々はたくさんの法令があって、それぞれの法令の中で気にしなきゃいけない物質は当然あり、それに対しての情報収集評価活動があるわけです。それはそのとおり、ちゃんと動いているわけですね。
       その上で、そういう網とはちょっと違って、どうもそこからは外れてしまう。しかしやっぱり量は多い、必ずしも物すごく本当に危ない量じゃないかもしれないけど、でもやっぱりデータをとっておいた方がいいだろうとか、その他もろもろ。むしろ、そういう物質がここで拾われているというふうに御理解いただきたい。
       したがって、個別の関心事で問題があるとなれば、当然それに対応しなきゃいけない法律の中で、しっかりとそれは当てていきますし、あるいはここのプログラムに関連して、じゃあ、政府としての優先順位でこのデータをとった方がいいねということがあれば、それはもちろんそういうふうにしていくことになると思います。
    • 中村委員 今おっしゃったこと、よくわかるので、そういうことが何か記録に残るようなことでないと、一般の国民にはわからないところがあるんですね。要するに、いろんな法律でとか、法令でもってカバーされているんだと。カバーされてない、カバーされてないというか、ある一定の量、暴露量、それからハザードの予想できるものについては、今回ちゃんとやるんですよということが、何らかの記録がないと、やっぱり誤解を生むもとになるんじゃないかなという、ちょっと懸念があったものですから伺ったんです。
    • 池田委員長 中杉先生がおっしゃった部分も、それにかなり近いですね。
       どうぞ。
    • 中杉委員 そういう意味で、先ほど1つだけ気になったというか、中下委員が言われたような話で、1,3-ジクロロプロペンは水の環境基準が一応できていますので、その面からの評価の情報は一応あるということですね。だからそういうものがもう1つある。
       それからもう1つ気になったのは、ぱーっと見たときにちょっと気がついたんですけど、11ページの中ごろに、70024-69-0と、70024-71-4があって、69-0はUSチャレンジの方でやる、71-4は白なんですが、これ実際中身を見てみるとオーバーベイズトというだけで、中身、実際に環境での影響という意味では、見るところは両方同じじゃないかという感じがする。そういうものは、これは外してもいいんだろうということが少しあるかもしれませんので、そういう意味でちょっと見ていただければと思います。
    • 有田委員 ちょっと私の発言が誤解されてもいけないので。こういう過去に評価されていないものを評価していくことは重要だと思っているので、どうでもいいというふうに思っているわけではなくて、ただそういうときに優先順位が逆に低くなってしまうようなものが、先に目についたということが申し上げたかったんですね。
       それから希望ですが、先ほど小倉さんが工業界というか、そちらの方で別に経済産業省と何か話し合いを持っていきたいとおっしゃっていたように聞こえたんですね。もちろん、それはそれでスポンサーの関係などであり得るかもしれないんですけど、3省ということで、官民連携ということで進んでいることですので、何か陰で悪いことをするというふうに とらえているわけではないんですが、いい方向にスポンサーを募集したり、データを集めるために進める委員会というか、話し合いを持たれるんだというふうに理解してよろしいんですよねということで確認させてください。
    • 小倉委員 ちょっとフォローさせていただきます。私どもは、政府サイドは常に3省というふうに理解しております。3省に分かれていることはいいかどうかというのは、将来の課題かもしれませんけども。
       それと今、官民連携でもっといろいろ話をさせていただきたいという意味は、政府でないと持っていないデータというのがあるんですよ。例えば、産業界ではアクセスできないということもございます。
       例えばそういうのを、何かうまい仕組みでお互いに連携しながら、例えば先ほどおっしゃっていたコンソーシアムを組みやすくするために何かうまい手がないかとか、それからもう1つはカテゴリーにつきまして、これはなかなかオールマイティーみたいな感じがしますけども、実際に始めますとこれはなかなか難しい議論を呼びかねないところがございます。
       前回もちょっと御紹介しましたけども、現在OECDのHPVプログラムで、長鎖アルキルアルコールでしたかな、ちょっとはっきり覚えていませんが、最初40数物質のカテゴリーを組みまして、これにイギリス政府が猛反対しまして、たしか今は4つか5つにカテゴリーを分けてもう一回やり直していると。これは、そのカテゴリーが適正なカテゴリーかどうかというところはかなりあるわけですね。
       私どもが今まで政府に申し上げていますのは、今回の有害性情報の発信というのは、あくまで従来データが少ないと言われている既存化学物質のデータを、できるだけ整備していくのが目的だと、私ども考えております。そういう意味では、最初から余り重箱の隅をつっつくような形で、例えば信頼性とかカテゴリーの妥当性を議論していくと進まないという懸念もございます。
       そういう意味では、リーズナブル、妥当なところでこういうことでまずやってみようと、モデルをとっていこうということで、とにかく前に一歩進めるというのが、私ども産業界としても大事であると思っていますので、そういう御配慮も、例えば政府とよく話し合っていかないというふうに考えておるところでございます。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 首藤委員 今のカテゴリー分類とちょっと関係あるんですけども、例えばアルコールでCが10から16、それはカテゴリー分類された品目と考えていいんですか。
    • 小倉委員 ここのリストに上がっていますのは、CASナンバーの分類でございますから。
    • 首藤委員 そういうことじゃないわけですね。そうすると、例えばアルコールCから16というと、それがもし1,000tだとすると、それは個々の物質だと分かれるんですか。C16から10を加えて足したものなんでしょうかね。もともとミックスチャーであるもの。
    • 小倉委員 ここのCASナンバーでミックスチャーになっております生産量は、ミックスチャーとしての、CASナンバーとしての量というふうに私ども理解していますが、それでよろしいですか。
    • 辻室長 はい。
    • 首藤委員 それだけ分類されていると、カテゴリー分類というのは、非常にたくさんのものをまとめちゃうという感じでもなくなるんじゃないですか。
    • 小倉委員 カテゴリーで一番重要視するのは、個々の例えばCASナンバーのデータを全部逐一とっていかなくても、いわゆる類推で並べてとっていけるところがあるだろうと。これは国際的にも動物愛護とか、いわゆるコストをできるだけ減らすという意味で、カテゴリーを有効利用していこうというのは、ぜひ前に進めないといけないんですね。
       ただし、どういうカテゴリーが適正かというところをうまく処理していかないと、なかなか進まなかったり、いろいろ問題はありますと。ですからこれは、ぜひ前向きに進めるということで、カテゴリーの有効利用と。そういう意味で、政府も今回新規性とか開発性という点を非常に重要視されていただいていると思っています。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 中下委員 スポンサーを募集されて、手が挙がらなかった物質が出てきた場合には、最終的にどうなさるおつもりでいらっしゃるんでしょうか。
    • 池田委員長 今、これをごらんいただきましたね。この次の段階はスポンサー募集になります。そこから先どうするかというのが、非常に難しい問題ですね。
       その意味では、例えば172の物質でスポンサーがこれだけ見つかりました。あるいは逆に、172には挙がっているけれども、選択するときのプリンシプルが生産量とCASナンバーがあると、2つのカテゴリーですから。
       だから、必ずしも情報を要らないというものもあるかもしれません。例えば本来、体内に存在している物質でとか、いろんなものがあり得ると思うんです。その辺の評価をどの段階でやるのか、対応をどの段階で考えるのかというのは、今後の作業の内容として非常に大事だと思うんです。

    (2)今後の予定

    • 池田委員長 そっちの部分に入っていってよろしゅうございますか。よろしいですか。
       そうしますと、そっちの方に議論を少し進ませていただきます。議題の(2)「今後の予定」に移っていくんですが、よろしいでしょうか。
       では、どうぞ、事務局からお願いいたします。
    • 辻室長 今の中下委員の御質問ですけれども、1つとしては、まず、どういう物質が残ってしまったかを明らかにする、当然なんですが。それで個々の物質について、なぜ残ったのか。
       だから今、委員長の言われましたように、例えば体の中にあるようなもので、これをあえて費用を投じて毒性試験をやる必要がないのかどうかという原因の、1つ1つについて検討していきたいと考えております。その上で評価というのがあるかと思います。
       ですから、本当にここで議論をして、さすがにこれを毒性評価をやる必要はないと思われるのであれば、それはまさにカウントしなくてもいいですし、そうではないものだとそれなりの理由で、やらなかったというのが一つの評価になっていくかと思っております。
       この点について今後の進め方について、少し説明します。資料3の7ページに、今後の予定を簡単に書いております。
      今回この委員会で議論をしていただいたわけですが、一応、委員会だけではなくて、広く意見を聞こうと思いますので、パブリックコメントを来週からやっていきたいと思います。これを3週間か4週間ぐらいやりまして、5月中旬まで募集をしています。
       ここで上がってきた意見についてもこちらで整理しまして、必要ならば本文を修正したり、あるいはリストを修正する作業をしたいと思います。
       これを踏まえまして最終的にセットしたものをもとに、5月下旬になるかと思うんですが、いよいよスポンサー募集を開始しようと思っています。
       それで、進捗状況については毎年度チェックさせていただいて、この委員会においても、4月ぐらいになると思いますが、前の年度の結果こうだったというのをお諮りしまして、その促進策などについてアドバイスをいただこうと思っています。
       そして、4年計画で一番メジャーな1000t以上の有機化合物を情報収集しようと思っているんですが、この4年のうち3年がたったところで中間評価をしたいと思うんです。そのときに今のような点も含めて、なぜこの物質がまだ着手されていないのかという点も含めて、御審議いただくことになろうかと考えております。
       以上、簡単でございますが、今後の進め方について説明いたしました。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 小倉委員 今、スポンサーがつかなかったらどうするんだというお話がございましたけども、具体的に進めるに当たりまして、いろんなケースが出てこようかと思っています。
       といいますのは、国際的にUSチャレンジプログラムも進んでおりますし、それから先ほどのREACHの登録も進んでおります。そういう意味では、例えばREACHでコンソーシアムを組んで、特に国内から欧州へ輸出されているような化学物質は、例えばREACHの登録のときにきっちり、海外メーカーと一緒にコンソーシアムを組んでとろうというケース。
       あるいは、例えば生産しているけども、非常に赤字で困っていると。ですから、本当にテストをやるのであれば、そのコストをかけるよりも、例えばもうやめようかというふうな、ビジネス上の判断も当然いろいろ出てくるわけでございます。
       そういう意味で、ここにリストアップされているものが、全部スポンサーにされないとおかしいということではなくて、個々のケースでフォローしていくべきだと思っています。そして、全体としていかにうまく進めるかという観点で、私どもとしては取り組んでいきたい。
    • 有田委員 今後の予定にもなると思うのですけども、ホームページというか、データベースの表ですが、化学工業会とか専門家の方には、この化学物質総合情報提供システムでわかりやすいと思うんですが、先ほど林さんがおっしゃったように、リスクとかハザードを国民が誤解するのでは困るとおっしゃったときに、私もちょっと環境省の関係でかかわっているので、リスクコミュニケーションということで、いろんなツールを考えてきているところがあるんですね。
       今日、ファクトシートも準備していただいていて、これが全員の人がすごくわかりやすいかどうかというのはわからないんですけど、でもすごくわかりやすく、関心事項からリスクコミュニケーションが進むような感じでつくられていて、データベース化するときには初心者向けとか何向けとかあるかもしれないんですが、この情報をどんなふうに出していく、対象をどういうふうに考えていくということも含めて、今後検討していただきたいと思っているんですが。
    • 池田委員長 幸い情報が集まったときに、その情報をどんな形のデータベースに組んでいくかですね。
    • 中村委員 議論をまた蒸し返して申しわけないのですけども、小倉委員がおっしゃったように、だれも手を挙げなかった物質はどうするのかということに関連するのですが、企業は商売にならなければやめちゃうケースだって、当然あり得ると思うんです。
       ただ、代替物があればやめても構わないと思うのですけども、代替物がない場合、それは国が責任を持って、きちんと安全情報等々のデータを集めてデータベース化するという理解でよろしいのか。そういうことを含めて、もう少し専門家会議で検討をされるのか。その辺を少し確認させていただければと思いますが。
    • 辻室長 この事業は、自主的な取り組みということで参加していただきますので、いろんな事情でスポンサーの手が挙がらないという物質が出てくるかと思います。それは個々にどういう事情かを確認させていただいて、その中で本当にこれは放っておくと手が挙がらないという物質であって、かつ有害な知見が散見されるようなものについては、これはやっぱり国がとっていかないといけないと考えております。
       あとは個別に、個々の物質での判断をしていこうと考えております。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 中杉委員 進め方ということではなくて全般についてですが、お願いをしておきたいのは、動物試験でも生態毒性の試験でもそうなんですけども、実際に暴露されているものはどんな形になるか。先ほどカルシウム塩という形がありましたよね。ああいうものはカルシウム塩の形で、例えば水生生物の試験なんかは暴露されるわけではない。
       そのほかに、要するに環境中に入ったときに、例えば試験方法で水に触れたら分解してしまう。シランなんかどうなんだろうっていう。何の試験をやっているかということをちゃんと見ていただく必要がある。これはそこでやめてしまうのかどうかというのは、これは化審法みたいに易分解であればというのはもっとあれで、環境に出ては必ずその形が変わってしまうようなものは変わったものでやるとか、そんなことの検討が必要じゃないかなと思いますので、そこら辺も少し見ていただければと思います。
    • 辻室長 今の点、大変重要な点でございまして、当然それは現在の化審法の新規化学物質の審査でも、先生方にお諮りしていろいろお知恵をかりているところでございます。
       今、中杉委員の御指摘のように、水に触れると変わるとか、あるいは空気中に出るといろんな形に変わるようなものを、じゃあ何で試験するのか、あるいは、既に試験がされたもので類推が可能なのかという点については、政府の委嘱します評価委員などの協力を得まして、そういう方の御知見もかりて、それではこの場合はこうしようというのを具体的にアドバイスできるように、体制を組みたいと考えております。
    • 池田委員長 中杉先生御自身も御参画ですけども、化審法はその部分で随分いい経験を積んできたと思います。その経験は確かに生かしていただきたいと思います。
       どうぞ。
    • 中下委員 先ほどの情報の公表のところですけれども、いつから公表されるというふうにおっしゃいましたんでしょうか。ちょっと確認をさせていただきます。
    • 辻室長 結果の方ですか。
    • 中下委員 結果です。
    • 辻室長 結果は集まり次第どんどん整理して入れていって、情報発信が可能になったら、その都度公表されるという形です。
    • 中下委員 それは年度末とかそういうことではなく、その都度集まり次第。
    • 辻室長 はい、集まってちゃんと整理して、データベースに入れればすぐ見られるような形にしたいと考えています。
    • 中下委員 そうするとその公表の方法について、今後検討すると書いてあるんですけれども、この検討はどの場で行われて、我々が参加できるのでしょうか。
    • 辻室長 公表については、どういう形式にするか、どういうテンプレートに書き込んでいただくかというので、これは評価委員などの意見を聞いてやりたいと思っております。
       それで結果については、毎年度この推進委員会を開きますので、そこで報告させていただこうかと考えております。
    • 中下委員 先ほど有田委員からもありましたように、公表の方法ですが、今これを見る限りでもファクトシートの方法と、こちらのNITEでおやりになっているのとで大分違いがあると思うんですね。ですから、一般国民にわかりやすくという観点ですと、できるだけ広く国民の声も聞いていただいた上で、公表の形式を決めていただきたいと思っておりますので、ぜひそういう意味で、またそういう部分についても、このような機会を設けていただけたらいいなと思っておりますが。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 中杉委員 今のところの確認ですが、私が理解をしている範囲では、実際にどうやって出すかというところの情報の出し方、ファクトシートの形にするか、NITEでやられているような形にするかというのは、それに入れるための情報を整備しましょうということで、あとそれぞれこれは合同でやるか、各省がそれぞれやるかで形、それを使って評価をしていくという話ですよね。
       例えば、ここで出たデータを使って、例えば環境省がファクトシートをつくって出していくと。それは経済産業省もまた別な形で出していく。そういう形があるだろうと思うんですが、これは予算がつくかどうかというのは、財務省がそういうことを認めてくれるかどうかというのは非常に問題ではありますけれども。
    • 辻室長 今の中杉委員の御発想ですが、一時的な情報としてはデータベースの一つの書式で出していくと。さらにそれをいろんなものに加工するというのは、また別の次元というふうに考えていただければと思います。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 有田委員 関連ですけど、これは今回調べたものをこういう形で公表するって先ほどおっしゃいましたよね。私は最初の説明でそういうふうに理解したんですが。
    • 辻室長 一つのお手本として参考にするということで、こういう形と決めたわけではないんです。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 関課長 先ほど申し上げましたけど、OECDのHPVプログラムでさえも、実はスタートしたのも何年も前です。情報をどういう格好で出していったらいいかということに関しては、そう簡単に決まってないというのは、それなりに難しさがあるからなんですね。まさに皆さんの御関心はみんなわかるわけです。
       その上で、市民の方の求めるような形の情報と、それから企業の方が求める情報と、これがまたいろいろ違ったり、先ほどの所有権の問題、あるいはコンフィデンシャルな情報をどう配慮するかとか。
       まさにそういうような問題が、OECDの場では、今ようやく、要するに問題の所在というんでしょうかね、それが整理できてきて、じゃあそれを具体的にシステムの中にどう落としていったらいいかということを、半ば試行錯誤するような格好で始まるような段階になっています。
       ですから、今回この作業も、今の段階ではっきりいってこうしますというのは、とても言えない状況なんですが、それでも、気持ちとしてはなるべく早く出したいですし、例えば国際的にうまくそういう組織が固まっていればそれは使いたいし、いや、それがやっぱりどうしても時間がかかるということであれば、じゃあ、どうやったら早く出せるかということを考えなきゃいけないしというのが、我々の思いだということで御理解いただければ、ありがたいなと思っております。
    • 池田委員長 現実の問題としては、例えばある物質を選びますね。スポンサーがつきますね。そのスポンサーは既存情報だけを集めればいいということであれば、これは割と手っ取り早くと言うと悪いかもしれませんけども、それなりに作業が早く進むでしょうし、もしスクリーニング毒性までやろうということで、それもたまたま型通りで、一般に白物質と呼んでいるような結果が出てくれば、これは話は簡単ですし、かなり「うんっ?」と思うような所見があれば、もうちょっと考えたいということになるでしょうしね。
       多分、4年計画と言いますけども、最初はそんなにどんどん出てくるものでは、多分ないんじゃないでしょうかね。ちょっと楽観的過ぎるかもしれません。あるいは悲観的過ぎるかもしれませんけど。
       4年たった時点で、目標としては172。その中で不要なものは除かれていくかもしれませんけど、集まれば、それも基本情報がまず集まると。
       先ほど中杉先生もおっしゃったように、その次、目的に従ってそれをどう確保していくかというのは、ちょっと別のプロジェクトになっていくかもしれませんね。
       よろしいでしょうか。
       どうぞ。
    • 小倉委員 今のお話に関連しまして、産業界といいますか私どもは、まず有害性情報の収集というところがワンステップだと。
       きょうもお話しございましたように、その次はリスクをどう見るかと。その場合には、いわゆる暴露とか、それから特にどういう用途に使うのかと。例えば、それは消費者まで広く行き渡る用途なのか、本当にどこか一部のプロセスの中だけで使われるようなものなのか。ここのところはどういう使い方をするんだというところをわかった方といいますか、企業なり専門家が、元データの有害性データを使ってやっていきましょうと。そういうステップに順次なっていくと思うんですよね。それの第一歩といいますか、従来やっているつもりでございますけど。
       ですから、いわゆる最終的なリスク評価まで含めたリスクコミュニケーションといいますか、そういうものをどういう表現で外に出すかというのと、とりあえず有害性データをそろえて、それを皆さんが見れるような形にしていきましょうというのは、ちょっとステップが違うと思っています。
       そういう意味では私どもは、まず有害性データの収集のところを、今回のプロジェクトとしては注力していこうというのが、従来、政府とお話しさせていただいている中での私どもの理解です。
    • 池田委員長 どうぞ。
    • 田保委員 今のお話について、前回私もちょっと確認させていただいて、きょうの議論でも出てきましたので、このプログラムとしては、各物質の有害性のデータを収集すると、それでそれを発信すると。
       リスク評価というのは次の段階というか、別に動いていくということで理解しているんですが、そのデータが出てきた都度、すぐ公表になっていくというお話しでしたので。
       懸念されるのは、いわゆるリスクの方に評価がちゃんとされていない状態で出ていくものについて、何か有害性が見出される試験結果があった場合に、いたずらに心配だというようなことが必要以上に出たり、そういうことがないような公表の仕方というか。もちろん、それまでにデータ精査がされるんだと思うんですけど。そういうところを、ぜひお願いしたいと思います。
    • 辻室長 はい、わかりました。検討させていただきます。
    • 池田委員長 ほかにもどうぞ、御意見ございましたら。
       多分、データが出てきますね。それの評価に関しては、例えばGHSのシステムだとかがあって、その数字をどう読み取るかという受け皿は、国際的に大分できてきたと思うんです。
       以前はデータがぱっとあるだけで、非常に大量にやらないと出てこない毒性なのに、毒性があるというふうにびっくりさせてみたり、逆に比較的少量で出てくるものを読み落としていたり、いろんな場合があったと思うんですね。グローバルハーモナイゼーションシステムというのができて、その部分の物差しは次第にでき上がってきたと思います。その物差しを当てはめた結果までこのプロジェクトで出すかというのは、多分それは違うでしょうね。
       このプロジェクトは一次資料をまず集める。世の中で大量に生産または使用されているものについて毒性情報がない、あるいはエコを含めて有害性情報がないというものはなくしようというのが、プロジェクトの最大の目的ですね。
       どうぞ。
    • 有田委員 一時的にはそれでもいいんですけれども、やっぱりリスクだ、ハザードだと国民が不安に陥らないようなという意見も出ますので、それで今後わかりやすさ等に配慮しと。今後検討というふうになっているので、それはここじゃなくて結構ですが、それも含めて一時的な情報収集した後の発信の仕方とか、整理の仕方は御検討いただきたいというふうに思います。
    • 中下委員 同じ意見です。これ、一番最初にプログラムの基本的考え方のⅠのところに書いてありますが、安全性情報を広く国民に発信ということが、このプロジェクトの大きな目的であるとすれば、やっぱりそこの部分まで入れないと、本来の目的は貫徹できないんじゃないか。私たちはこの情報を知りたいというのは、何もハザード情報だけを知りたいわけではなく、ここで書かれているのは、まさに身の回りで使われているものであったり、環境中に排出されるものであったり、ある意味でリスク情報ですよね。
       ですから、ハザードももちろん知る必要はありますけれども、プラスしてそのような、今、国民がいろいろ不安を持っておられるとか、ここで書かれているような要望にこたえられるような形での発信を、どのセクションでも結構です、ここでなくても結構ですが、最終的にこの成果が活用されるような仕組みを、ぜひお考えいただきたいと思います。
    • 池田委員長 先ほど申し上げたのは、理解をしようにも一次情報がなければどうしようもないという部分です。
    • 中下委員 それはわかります。
    • 池田委員長 ほかにもどうぞ。実はあと数分のところまで来ましたので、全く御発言なかった先生は多分いらっしゃらないんじゃないかと思いますが、ここで一言言いたいというのがありましたら、どうぞおっしゃってくださいませ。
    • 有田委員 参考資料の説明をいただけますでしょうか。
    • 池田委員長 はい、どうぞ。
    • 榑林室長 先ほどからお話に出ていましたファクトシートを、今まで先生の御意見なんかも踏まえて、ちょっと紹介させていただきます。
       例えば資料4の中に、10万t以上ある物質が14物質あるという御紹介がございましたけれども、そのうちの例えばベンゼンであるとかスチレンであるとかキシレンだとかブタジエンだとか6物質に関しては、この冊子で既に情報を整理させていただいています。
       例えば、133ページをあけていただけますでしょうか。ここでは優先情報収集対象物質の中で、10万t以上の欄の2番目に掲げられているベンゼンについて記述がございます。国民の皆さんにわかりやすいようにということで、まずは「常温で無色の液体で」といったようなことが書いてあると同時に、基礎化学原料方面で使われていますけれども、「日常生活で直接触れることは少ないですよ」であるとか、あとは「主に車の排気ガスに含まれて排出されますよ」ということで、毒性そのものと、あとは我々日常生活でどういった点で触れる可能性があるのかなといったもの、それから用途、排出、環境での動き、健康影響、体内への吸収、生態影響といったことで、おおむね3~4ページで整理させていただいています。
       このファクトシート、現在はPRTR物質のうち、排出量が多いものから順次先生方に御意見いただきながらつくってまいりますけれども、今回のプロジェクトで得られたような成果については、こういったところにどんどんどんどん反映していきたいと考えております。
       以上でございます。
    • 池田委員長 ほかにも参考資料という形で、あるいは特に番号がついてなくても幾つかの資料をちょうだいしていますが、どなたか御説明をくださる方がもしあれば。あるいは見ていただくだけでOKだということであれば、それでも結構です。
       どうぞ。
    • 重倉 製品評価技術基盤機構の化学物質管理センターの重倉でございます。
       本日は、このプログラムの推進の計画の中で、私どもの化学物質総合情報提供システムについて情報公開の一つの形態として、参考資料として提供させていただきましたけれども、こちらのシステムにつきましては、現在年間およそ300万アクセスをいただく程度のデータベースになっております。
       主に先ほどから、委員の皆様から御指摘いただきましたとおり、現在のユーザーにつきましては化学物質の直接のユーザーさん、あるいは化学物質のメーカーさんが多いかと思います。一般消費者の方がごらんになっている度合いというのは、まだそういう意味ではちょっと少ないのかなと。ただ、こちらは集計しにくいので、そこはよくわからないんですけれども、現在はMSDSをつくるとか、それを解釈するために使っておられるのではないかと思っております。
       現在私ども、経済産業省から受託いたしまして、リスク評価関係につきましてもこのシステムで情報提供をすることを進めるプロジェクトを1つ実行しておりまして、これが平成17年度、今年度で完了する予定でございます。これが完成いたしましたら、さまざまなリスクに関します用語の解説とか、各種の化学製品に含まれている化学物質がどれほど暴露し、どういうリスクを国民に与えているのかといった情報込みの情報提供システムができると考えておりまして、Japanチャレンジプログラムの進捗とあわせまして、こちらで情報提供させていただければありがたいなと考えているところでございます。
       今、皆様から御指摘いただきましたように、リスクコミュニケーションは大変難しいものがございます。特に、海外へ情報提供するとなると、ハザードに関してはいいんですけれども、リスクの方については暴露の形態も度合いも違うということがございますが、その表現などでも難しいところがございます。ここら辺も皆様の御意見を伺いながら、いいシステムをつくっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    • 池田委員長 ありがとうございました。
       きょうは大きなプロジェクトが2つございまして、1つは総論の話、それから各論が必ずしも煮え詰まるところまではいきませんでしたけども、物質の顔を見ていただきました。どれぐらいの数が候補になっているかというのも見ていただきました。どれぐらいスポンサーがつくかというのは難しくて、やってみないとわからないという部分でございます。
       本日のところは、大体これで意見が全部出尽くしたのではないかと思います。かつ、今後の予定も御紹介をいただきました。この次、委員の先生方にお目にかかるのは来年4月で、どれくらいできたかというのを伺わせていただこうと思います。
       長時間にわたりまして本日、熱烈な御議論をいただきました。ありがとうございました。これでお開きにさせていただきます。御協力、厚く御礼申し上げます。
    • 辻室長 どうもありがとうございました。

閉会