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環境測定分析機関の分析精度向上等を巡る情勢の変化や、それに伴う調査参加機関の必要性等に対応し、令和3(2021)年度から令和7(2025)年度までの期間(以下「計画期間」という。)においては、次に掲げる事項について、重点的な取組を行うこととする。 |
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(1)地方自治体等の環境測定分析機関の取組への支援 |
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地方自治体における環境測定分析能力を維持するためには、地方自治体において環境測定分析業務に関する知識・経験を有する職員の育成・確保が必要である。また、外部委託結果の分析精度を確保するためには、地方自治体から委託を受けた環境測定分析機関(民間機関等)において、より適切な精度管理が行われる必要がある。
地方自治体におけるこれらに対する取組を支援するため、地方自治体等の必要性に応じた調査試料の重点化等を行うことにより、環境測定分析機関が精度管理調査を一層利用しやすくする取組を行う。例えば、近年、地震や台風、大雨等による大規模災害発生時の化学物質漏洩・流出時の緊急時モニタリングの役割が地方環境研究所に求められており、災害時等の緊急調査を想定したGC/MSによる化学物質の網羅的簡易迅速測定法の開発が進められている。この研究には、多くの地方環境研究所が参画しており、これらの測定方法の開発状況によっては、地方環境研究所向けに本測定法の精度確認試験の実施等を検討する。また、これまでも実施してきた本調査に対するアンケート調査で、環境測定分析機関からの要望等を事前に把握し、要望の多い調査項目・試料を毎年度の調査に含めるなど、調査試料・項目の重点化を図る。
また、公定法等に書かれていない分析手法に関するノウハウ等が技術者間で受け継がれるとともに、調査結果において分析上の留意点として明示された情報が環境測定分析機関の内部においてSOP に反映させる等して共有されるため、十分な分析結果の解説、評価を継続して行う。
なお、民間機関等では、上記に示した地方自治体から委託された環境測定分析の他、各種工場の排ガスや排水等の測定分析の委託も多いことからも、適切な精度管理が重要である。このために、民間機関等の必要性に応じた調査試料や調査方法等を考慮した調査計画とする(ただし、調査試料の調製に要する費用等については、これまでと同様に実費相当分の負担とする)。
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(2)公定法の見直し等への調査の活用 |
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本調査結果や社会的ニーズに加えて、調査参加機関に対して実施しているアンケート調査等も活用し、公定法等に対する課題や分析機関の要望等を収集、整理し、関係部局に情報提供することで、公定法の見直しや改定を検討する機会を提供するとともに、既存分析法の公定法化や公定法の改定に必要となる精度確認調査を本調査で実施することで、公定法の策定や見直し等の効率化を図る。
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(3)調査結果の積極的な活用 |
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精度管理調査によって得られた貴重な知見は、これまでも環境省が公定法の改定等を行うに当たり、全国の環境測定分析機関における分析方法の実態(使用機器、試薬等)や、精度を確認するための情報として活用されてきたところである。
こうした情報を一層有効に活用し、分析手法の改善に結びつける取組や、分析上の留意点等に関する情報を積極的に開示する取組を強化することによって、環境測定分析機関における分析精度の向上を図る必要がある。
このため、精度管理調査結果を分析機関で積極的に活用できるものとする手法について検討し、結果が得られたものから順次対応する。
また、得られた調査結果から、公定法に規定されている分析装置の性能等、必ずしも分析機関の努力だけでは解決できない問題に対しては、良好な測定分析精度が確認されている新規分析装置の公定法への導入や、必要に応じて、問題のある装置の改良や新規開発等、関係機関や業界への働きかけを行い、分析精度の向上を図る。
その他、国や地方自治体が、環境測定分析を外部委託する際に、適正に精度管理が実施されている分析機関を選定できるように、本調査結果を活用して頂く方法についても引き続き検討する。
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