平成23年12月22日
大気環境

平成23年度「日本モデル環境対策技術等の国際展開」事業に係る第7回日越合同政策検討会及びベトナムにおける環境管理能力強化に関する共同ワークショップの開催結果について(お知らせ)

 平成23年度「日本モデル環境対策技術等の国際展開」事業に係るベトナムとの協力事業として、11月22日(火)にベトナムにおける環境管理能力強化に関する共同ワークショップ、11月23日(水)に第7回日越合同政策検討会を開催いたしました。

1.経緯

 環境省では、平成21年度から「日本モデル環境対策技術等の国際展開」事業を開始しており、環境対策技術を法制度整備、人材育成とパッケージにして、アジア諸国の排出企業に普及・展開する方策を検討し、中国、ベトナム及びインドネシアを対象としてパッケージ施策を実現するための二国間協力事業を実施しています。本事業の一環として、平成21年7月よりベトナム天然資源環境省 環境総局 環境管理科学院との間で産業排水対策分野を中心とする協力事業を実施しています。
 ベトナムとは今年度も引き続き協力事業を実施しており、この度、「第7回日越合同政策検討会」及び「ベトナムにおける環境管理能力強化に関する共同ワークショップ」をハノイにて開催いたしました。

2.概要

(1)開催日時
 共同ワークショップ
平成23年11月22日(火)8:30〜15:40
 第7回日越合同政策検討会
   11月23日(水)8:00〜11:00
(2)開催場所
フォーチュナホテル・ハノイ(ベトナム・ハノイ)
6B Lang Ha Street, Ba Dinh District, Hanoi, Vietnam
(3)主な出席者

[第7回日越合同政策検討会]

(ベトナム側)
   ホアン・ミン・ダオ
       天然資源環境省 環境総局 公害防止部 部長
   ファン・ヴァン・ロイ
      天然資源環境省 環境総局 環境管理科学院 院長
   ドゥ・ナム・タン
        天然資源環境省 環境総局 環境管理科学院 副院長
   グエン・ティ・ティエン・フォン
 天然資源環境省 環境総局 国際協力・科学技術部副部長
(日本側)
   西本 俊幸
環境省 水・大気環境局 総務課 環境管理技術室長
   牧 葉子
川崎市 環境局 理事
   ほか、環境省、(独)国際協力機構、(社)海外環境協力センターの専門家が出席

[共同ワークショップ]

 日越合計のべ約80名
 (ベトナム側)
  ブイ・カック・トゥユェン
  天然資源環境省 副大臣
  ホアン・ダン・ソン
     天然資源環境省 環境総局 国際協力・科学技術部部長
  ファン・ヴァン・ロイ
    天然資源環境省 環境総局 環境管理科学院 院長
ほか、天然資源環境省、地方政府天然資源環境部、その他関係省庁、研究機関等が出席
 (日本側)
  西本 俊幸
  環境省 水・大気環境局 総務課 環境管理技術室長
ほか、環境省、川崎市、(独)国際協力機構、(社)産業環境管理協会、(社)日本産業機械工業会、(社)日本環境技術協会、(社)海外環境協力センターの専門家が出席

3.会合結果

[第7回日越合同政策検討会]
 合同政策検討会においては、以下の内容が報告、協議されました。
 [1]ベトナムの環境技術の評価に係る政府内検討プロセスの状況
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環境技術の評価について、科学技術省(MOST)と天然資源環境省(MONRE)の協議によりMONREの担当と明確化された。今後法律によって明確に所掌範囲を規定する予定である。
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2011年に首相決定125号及び132号が改正され、環境管理に関する主体は環境総局(VEA)が担当することが明確化された。環境技術実証(ETV)制度の評価審査、認証、普及等については、VEAが担当することとなった。
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ベトナムにおけるETV制度のガイドラインは、2012年第1四半期から第2四半期までに公布を予定している。
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ETV制度の促進のため、ETVマークの導入や、MONREが導入を推薦する環境技術リストの作成等を予定している。
 [2]2011年度の共同政策研究の中間報告
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ベトナム側より、環境保護基金(VEPF)のアクセシビリティ向上に関する研究成果の中間報告がなされた。ベトナム側から現状の問題点が示され、それに対し日本側から適正な技術導入や関連基金利用の推薦、申請手続の補助の役割を持つコンサルティングサービスを提供することの有用性などが提案された。
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日本側から、パッケージ施策構築のモデル工場である製紙工場と乳製品工場における環境管理の現状把握結果と、それに対する改善策について中間報告がなされた。これに対してベトナム側から、今後包括的な改善策が提案されることへの期待が表明された。
 [3]2012年3月の訪日計画
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2012年3月にベトナムからの訪日団を受け入れ、第8回合同政策検討会の開催及び関連施設等の視察を実施することとした。
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第8回合同政策検討会では、共同政策研究結果の検討のほか、これまでの二国間協力事業の成果として、ベトナムで実現可能な政策パッケージのベトナム国内への普及展開に向けた協議を行うこととした。
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視察先として、川崎市、(独)環境再生保全機構、製紙工場、乳製品加工工場を予定することとした。
 [4]ベトナムの環境管理法制度及び環境組織等に関する最新動向
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環境保護法の改正を2013年の国会に上程予定である。
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MONREが所管する法令について、改正される環境基本法を上位法として、土地法、水資源管理法等を下位法として整理する予定である。
 [ベトナムにおける環境管理能力強化に関する共同ワークショップ]
  ワークショップにおいては、以下のプレゼンテーションが行われました。
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ベトナムの中央政府及び地方政府における環境管理に係る施策の動向として、ベトナム天然資源環境省からベトナムにおける技術評価システム及び人材育成強化のための国家プロジェクトが紹介された。また日本国環境省から、これまでの日越共同政策研究の成果について報告がなされた。
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日本の経験を基にした政策パッケージの具体化として、川崎市から日本の地方自治体の環境管理の経験及び仕組みが解説された。共同政策研究の成果として、環境総局(VEA)環境管理科学院(ISEM)からVEPFについての調査分析結果が報告された。(社)海外環境協力センターから、タイグエン省のモデル工場におけるパッケージ施策の好事例構築のための調査結果が報告された。
 プレゼンテーションに引き続いて「ベトナムにおける中央・地方政府、関係機関による実効性のある環境管理の仕組みの強化」と題してパネルディスカッションが行われました。
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パッケージ施策を構成する各ツールが環境管理の実効性を高めている例として、(社)日本産業機械工業会からは日本の排水処理技術の現地化、(社)産業環境管理協会からはベトナムにおける公害防止管理者制度の構築、(社)日本環境技術協会からは環境管理における測定技術の重要性について、それぞれ言及された。また、クアンニン省天然資源環境部からは、クアンニン省において人民委員会の下にプロジェクト実施委員会を立ち上げて、環境保護プロジェクトを推進している取組が紹介された。
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参加者からの発言と議論を踏まえ、関係主体の意識向上や能力強化といった人材育成の強化、ETV制度や公害防止管理者制度といったツールの利用がベトナムにおける環境管理能力強化に有用であるとのまとめが行われた。最後に、日本の経験を活用しながら「法制度整備」、「人材育成」、「技術普及」から成るパッケージ施策がうまく機能するよう努力していくことがベトナム側から表明された。


連絡先
環境省水・大気環境局総務課環境管理技術室
直通:03-5521-8297
代表:03-3581-3351
室長:西本 俊幸(内線6550)
補佐:高野 厚 (内線6551)
担当:山本 享 (内線6554)