環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部>第4章 水環境、土壌環境、地盤環境、海洋環境、大気環境の保全に関する取組>第1節 健全な水循環の維持・回復

第4章 水環境、土壌環境、地盤環境、海洋環境、大気環境の保全に関する取組

第1節 健全な水循環の維持・回復

1 流域における取組

(1)流域マネジメントの推進等

水循環基本計画(2015年7月閣議決定)に基づき「流域マネジメント」の推進を図るため、2018年度には、「先進的な流域マネジメントに関するモデル調査」として3団体の取組の実態調査や活動支援を実施するとともに、これまでのモデル調査等で得られた取組事例やノウハウを「流域マネジメントの手引き」、「流域マネジメントの事例集」として取りまとめ公表し、全国に展開しました。また、健全な水循環の維持又は回復に取り組む各地域の計画について2017年度から取りまとめを開始し、2018年12月時点で、「流域水循環計画」として合計35計画を公表しました。

(2)環境保全上健全な水循環の確保

水循環基本法(平成26年法律第16号)の施行を受け、広く国民に向けた情報発信等を目的とした官民連携プロジェクト「ウォータープロジェクト」の取組として、2018年度は、「CDP ウォーターセキュリティ2018日本報告会with Water Project」においてウォータープロジェクトの取組について講演を実施するなど、水循環の維持又は回復に関する取組と情報発信を促進しました。

流域別下水道整備総合計画等の水質保全に資する計画の策定の推進に加え、下水道法施行令等の規定や、下水処理水の再利用の際の水質基準等マニュアルに基づき、適切な下水処理水等の有効利用を進めるとともに、雨水の貯留浸透や再利用を推進しました。また、汚濁の著しい河川等における水質浄化等を推進しました。

(3)生物応答試験を用いた排水の評価手法に関する検討

多種多様な化学物質による水環境への影響の低減につながる手法として、生物応答試験を用いた排水の評価手法に着目し、2016年度から引き続き、学識経験者や関係者から構成される検討会を開催して、本手法を用いる場合の有効性や課題も含めた活用の在り方等について検討を進めてきました。2019年3月の検討会において、事業者の自主的な取組のための「生物応答試験を用いた排水の評価手法とその活用の手引き」を中間取りまとめとしました。

2 森林、農村等における取組

第2章第3節を参照。

3 水環境に親しむ基盤づくり

河口から水源地まで様々な姿を見せる河川とそれにつながるまちを活性化するため、地域の景観、歴史、文化及び観光基盤等の資源や地域の創意に富んだ知恵を活かし、市町村、民間事業者及び地元住民と河川管理者の連携の下、河川空間とまち空間が融合した良好な空間形成を目指す「かわまちづくり」を推進しました。

関係機関の協力の下、全国水生生物調査(水生生物による水質調査)を実施しました。また、約730の市民団体等により全国の約6,900地点で実施された「第15回身近な水環境の全国一斉調査」の支援に加え、住民との協働による河川水質調査を実施しました。さらに、子供たちの水環境保全活動を促進するため、全国から取組を募集し表彰する「こどもホタレンジャー」事業を実施しました。