第1節 循環型社会の構築に向け転換期を迎えた世界と我が国の取組

 20世紀は、世界全体が経済発展を目指し、先進国において大量生産・大量消費社会が出現しました。しかしながら、20世紀の発展は、一方で原始循環型社会(第1章参照)を崩壊させ、公害問題やダイオキシン問題をはじめとする大きな環境問題を生じさせた世紀でもあります。我が国は、20世紀中頃以降に急速な経済成長を遂げましたが、やはり公害問題等大きな環境問題に直面し、その解決に取り組んできました。また近年では、これに続き、廃棄物問題などの解決のため、全力を投入し、新たな循環型社会をつくりつつあります。さらに、現在大きな問題になっている地球温暖化に対し低炭素社会を目指すことや、生態系を守り自然の恵みを将来にわたって享受するための自然共生社会を目指すことを、循環型社会づくりと一体となって統合的に進めていかなくてはなりません。

 一方、21世紀は、環境の世紀と呼ばれていますが、アジアをはじめとして、開発途上国も急速に経済成長しつつあり、これとともに膨大な廃棄物が発生するようになってきています。また、廃棄物問題の深刻化とともに、資源需要の増大により更なる需給のひっ迫が予想される各種資源の確保や地球温暖化問題も視野に入れることが必要となりつつあります。

 このような中で、我が国が江戸期に形成していた原始循環型社会について、再評価を行うとともに、2000年を前後して、新たな循環型社会を創出しつつあるプロセスについて検証します。我が国が経験してきた歩みは、多くの技術、制度、システムを生み出しており、我が国の今後のさらなる循環型社会づくりの展開のみならず、「もったいない」の考え方に即した低炭素社会、自然共生社会との統合的な取組、開発途上国等関係国の今後の施策づくりに大きく貢献できるのではないかと思われます。

1 国際的な廃棄物等の状況

 アジアを中心とした国際的な経済成長と人口増加に伴って、世界的に廃棄物の発生量が増大しています(図4−1−1)。


図4−1−1 世界の廃棄物排出量の将来予測(2000年−2050年)

 OECD加盟国の一般廃棄物発生量に関する将来予測(OECD 2030年への環境の概観)によれば、2005年(平成17年)時点でOECD加盟国の廃棄物の総排出量は1980年比で約1.7倍であり、2025年には同じく約2.2倍になると見積もっています(図4−1−2)。


図4−1−2 OECD諸国等における1人1日あたりの一般廃棄物の排出量(2005年)

 また、廃棄物の種類も、医療系廃棄物や、使用済みテレビやパソコン、冷蔵庫などの廃電気電子製品(E-waste)など多様化しています。これらの中には、有害物質を含んでいたり、感染性を有する等、処理に当たって注意を要するものもあります。

 2008年(平成20年)1月には、イタリアのナポリ市で、廃棄物の最終処分場が許容量を超え、最終処分場という“出口”を失った廃棄物が、街角のあちこちに放置されるという事態が発生しました(図4−1−3)。


図4−1−3 OECD加盟国の一般廃棄物発生量(1980年−2030年)


(1)廃棄物等の国境を越えたリサイクル

 一方で、中国などの旺盛な資源需要を反映して、天然資源の価格の高騰が生じています。また、金属くずや古紙、廃プラスチックなど有価で流通している循環資源については、中国を始めとした東アジア諸国の経済発展に伴う資源需要の増大につれて、これらの国々への輸出量が近年急増してきています。例えば、日本からの鉄鋼くずの輸出量は、平成12年には約281万トンであったものが、平成18年には約763万トンとなり、約3倍に急増しています(図4−1−4)。


図4−1−4 循環資源の価格と輸出量

 このような循環資源の国際的な移動、特に先進国から途上国への移動が拡がっている理由としては、[1]先進国においてリサイクル法制が整備され、循環資源の回収量が増加し、循環資源の供給源が確立したこと、[2]製品の生産拠点が先進国からアジア諸国等途上国に移転しており、先進国において回収した循環資源を発生した国のみで使用しきれなくなってきていること、[3]輸入国の経済成長に伴って資源需要が拡大し、当該国内で発生する循環資源だけではその需要を賄うことができなくなっていること等が考えられます1

1 『アジアにおける循環資源貿易』(アジア経済研究所、小島道一編)による


 このような国際的な循環資源の越境移動は、環境上適切に行われるものであれば、リユースリサイクルをより安価かつ効率的に実施できる可能性があります。また、リサイクル産業の育成と成長を促し、雇用創出のみならず、途上国の持続可能な社会の構築にも寄与しうるものです。

 一方、国際的な循環資源の越境移動については、いくつかの重要な課題も上げられます。まず、市場原理による循環資源の輸出に伴う国外への資源流出は国内のリサイクル産業の停滞・空洞化にもつながりかねず、長年かけて構築してきた我が国の廃棄物処理・リサイクル体制の安定的な維持・強化に支障を及ぼすとの懸念も指摘されています。また、一部の輸入国では、廃棄物の適正処理の体制が十分に追いつかず、環境汚染を起こすおそれが生じているとの指摘もあります。さらに、中古製品や再生品は、輸入国において安価で利用でき、資源の有効利用が図られる反面、短期間で廃棄物となることから潜在的には廃棄物の越境移動と同視しうる要素を持っているといった点も指摘されています。このように、国際的な循環型社会の構築に当たっては、マイナスの点にもよく配慮することが重要です(図4−1−5)。


図4−1−5 主な地域・資源種別の地球規模での資源採取の状況(1980年、2002年、2020年)


(2)国際社会と我が国の取組

 我が国は、1990年代に最終処分場のひっ迫や大規模な不法投棄による環境汚染への懸念という深刻な廃棄物問題に直面しましたが、いち早く抜本的な政策改革を行い、21世紀初頭には循環型社会の構築において世界をリードする立場となりました。

 こうした経験を踏まえ、我が国は2004年のG8シーアイランドサミットにおいて、資源の有効利用を通じて環境と経済の両立を図る3R(廃棄物の発生抑制リデュースReduce)、再使用リユースReuse)、再生利用リサイクルRecycle))を通じて循環型社会の構築を国際的に推進する「3Rイニシアティブ」を提唱しました。これはG8首脳の賛同を得て、G8の新たなイニシアティブとして合意され、『持続可能な開発のための科学技術:「3R」行動計画及び実施の進捗』が発表されました。

 これを受けて2005年4月に東京で開催された「3Rイニシアティブ閣僚会合」において「3Rイニシアティブ」が本格的に開始されるとともに、これに際して我が国は「3Rを通じた循環型社会の構築を国際的に推進するための日本の行動計画」(ゴミゼロ国際化行動計画)を発表しました。2006年のロシア・サンクトペテルブルクサミットにおいては、我が国の提案により「資源循環の最適化のための努力をさらに進めるために、G8各国が資源生産性を考慮して目標を適宜設定する。」ことが合意されました。我が国は、首脳レベル以外の場でも、2006年3月及び2007年10月に開催された3R高級事務レベル会合を通じて、国際的な3Rの推進に関する議論をリードし、政策対話・情報の共有を行ってきています。

 また、G8プロセスのほかにも、OECDにおいて進められている物質フロー及び資源生産性のプロジェクトを重視し、環境政策委員会の下にある環境情報とアウトルックに関する作業部会の議長を邦人が務めるなど、積極的に議論をリードしています。国連環境計画(UNEP)が、天然資源の利用による環境への影響の科学的評価などを目的に2007年に設立した「持続可能な資源管理に関する国際パネル」についても、3Rイニシアティブを推進する観点から、これを支援しています。

 2008年4月には「資源効率性に関するOECD-UNEP国際会議」がパリで開催され、世界各国から関係閣僚や政府における責任(担当)者、専門家、産業界、NGOなどが一堂に会し、各国における取組のベストプラクティスの共有や資源効率性を向上させる取組が非常に重要であることが確認されました。また、引き続いて行われたOECD環境大臣会合においても、天然資源の消費抑制と環境負荷の低減の観点から、3Rへの取組や資源生産性の向上が極めて重要であるという認識が再確認されました(図4−1−6)。


図4−1−6 物質フロー情報の使用例と政策目標との関連

 これらの今後の世界の枠組み作りに貢献する上での指針として、我が国は、国内外挙げて取り組むべき環境政策の方向を明示した「21世紀環境立国戦略」を2007年6月に閣議決定しました。この中で、今後1、2年で重点的に着手すべき8つの戦略の一つとして、「3Rを通じた循環型社会の構築」を掲げています。具体的には、「アジアでの循環型社会の構築に向けた取組」や「日本提唱の3RイニシアティブのG8での推進」などを柱としており、前者に関しては、日本の3Rの制度・技術・経験の国際展開を図り、3Rの国際的な情報拠点と共通ルールの構築を進めること、持続可能な資源循環に関する日本の貢献を、東アジアでの循環型社会の構築に向けた基本的な考え方や目標を定めた「東アジア循環型社会ビジョン」の策定につなげ、東アジア全体で適正かつ円滑な資源循環の実現を目指すこととしています。

 アジア地域に注目すると、3Rイニシアティブの開始以降、「ゴミゼロ国際化行動計画」に沿って、3R計画・戦略の策定支援や、3Rの制度・技術・経験の情報を共有することで、アジア各国の取組を支援しています。これらの活動は、東アジア地域での循環型社会を構築するための基盤整備となるものです。

 このほか、2006年10月にはアジア各国の政策担当者が一堂に会し廃棄物・3R推進について議論する初めての会議として、東京でアジア3R推進会議を開催し、アジアにおける3R推進の重要性を共有しました。2008年3月には第2回アジア3R推進会議を開催し、各国の3R関係施策の最新の状況等について情報交換を行うと共に、今後のさらなる展開を見据えた効果的な推進方策について意見交換を行いました。本会議の成果は、G8環境大臣会合等(神戸、5月)への重要なインプットとなりました。

 G8環境大臣会合においては、我が国が議長国として神戸3R行動計画をとりまとめました。これは、それぞれの国情に応じて資源生産性などの目標を設定していくことを促すこととしており重要な意義を有します。

2 循環型社会の構築に向けた我が国の取組

(1)循環型社会形成推進基本計画の概要

 第1次循環型社会基本計画を変更し、第2次循環型社会基本計画が平成20年3月に閣議決定されました。

 第1次循環型社会基本計画の策定以後、環境政策においては第3次環境基本計画(平成18年4月7日閣議決定)及び21世紀環境立国戦略(平成19年6月1日閣議決定)の策定という大きな動きがありました。また、過去3回の第1次循環型社会基本計画の進捗状況の点検において、物質フローに関するより的確な実態の把握、国民へのより一層の働きかけや循環型の地域づくりの推進、物資の国際移動が拡大し国際的に廃棄物量や資源需要が増大する中での国際的な視点からの取組の強化等が求められていました。

 また、当時、G8北海道洞爺湖サミットを翌年に控え、国際社会における3Rの展開に関して、我が国が主導的な役割を果たしていくことも求められていました。

 こうした背景を踏まえ、平成19年8月24日に、中央環境審議会より「新たな循環型社会形成推進基本計画の策定のための具体的な指針について」が示され、循環型社会の形成に関し、講ずべき具体的な施策等について、特に重点的に検討する事項が挙げられました。

 具体的には、[1]持続可能な社会の実現に向け、循環型社会と低炭素社会、自然共生社会に向けた取組との統合的な展開、[2]循環型社会の姿を定量的に明確にし、必要に応じて目標水準の再設定や新たな補助指標を導入、[3]地域の特性や循環資源の性質等に応じた最適な規模の循環を形成する「地域循環圏」の構築やリデュースリユースに関する取組の強化等の3Rの国民運動の展開、[4]国際的な視点から、3Rの推進に関する我が国の制度・技術・経験の国際的発信や東アジアにおける適切な資源循環のための施策の実施、の4点に関して、議論を深め、施策を具体的に示すこととされています。

 本指針を受けて策定した第2次循環型社会基本計画においては、国の取組の基本的な方向として、自然の物質循環とその一部を構成する社会経済システムの物質循環とは密接不可分な関係にあり、その両方を視野に入れ、環境保全上健全な水循環の確保や自然界における窒素等の物質の適正な循環を図っていくこととしています。具体的な計画の内容は以下の通りです(図4−1−7、4−1−8、4−1−9、4−1−10)。


図4−1−7 持続可能な社会に向けた統合的取組の展開


図4−1−8 第2次循環型社会基本計画の概要


図4−1−9 物質フロー指標及び取組指標の充実


図4−1−10 国際的な循環型社会の構築に関する概要

 この第2次循環型社会基本計画に基づき、今後、関係する施策を総合的に展開していきます。


(2)循環型社会形成のための指標及び数値目標

 循環型社会形成の定量的な把握のため、第2次循環型社会基本計画では物質フロー指標及び取組指標を設定しています。

 循環型社会の形成に向けた各主体の施策・取組の進捗度を測るための取組指標を設定しています。

 ア 物質フロー指標

 物質フロー指標の設定については、平成18年6月〜平成20年1月まで計10回の物質フロー検討会(座長:安井至 前・国際連合大学 副学長)において集中的に議論を行うとともに、OECD各国や中国、インド、ロシア等の指標や統計に関する専門家を集め、OECDとの共催で物質フローと資源生産性に関する国際セミナー(全体議長:森口祐一 独立行政法人国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター長)を開催するなど、国内外の最先端の知見を踏まえ、指標の拡充・強化を図りました。

 循環型社会の形成にあたっては、どこで、どのような廃棄物等が、どれくらい発生するのかという情報が極めて重要です。これを的確に把握できれば、廃棄物等の発生の原因等を明確にし、その発生抑制や循環利用を促すことが可能になります。

 また、これは廃棄物等の発生過程だけに当てはまるものではなく、社会に投入される物質全般の効率的な利用を進めるといったことにも応用できるため、我が国全体の物質フローをまず把握することが重要であり、今後の政策立案にも極めて有益な情報を得ることができます。

 経済社会におけるものの流れ全体を把握する物質フローを算出し、どれくらいの資源が我が国の経済社会に投入され、そのうちどれだけが社会に蓄積され、エネルギーとして消費され、廃棄物等の発生に回り、発生した廃棄物等のうちどれだけが循環利用され、最終処分されたかという数値を把握し、物質フローの模式図(物質フロー図)を作成しています(図4−1−11)。


図4−1−11 我が国における物質フロー(平成17年度)

 我が国全体の物質フローの「入口」、「循環」、「出口」の3つの断面について、それぞれ3つの指標(資源生産性、循環利用率及び最終処分量)の目標を設定しています。この目標は政府を始めとする関係者が一体となって取り組むものです。第2次循環型社会基本計画においては、目標年次は平成37年度(2025年度)頃の長期的な社会を見通しつつ、平成27年度(2015年度)に設定しています。

 「入口」については、資源生産性を設定し、平成27年度において約42万円/トンとすることを目標とします。これは、産業や人々の生活がいかにものを有効に利用しているかを総合的に表す指標です。天然資源等はその有限性や採取に伴う環境負荷が生じること、また、それらが最終的には廃棄物等となることから、より少ない投入量で効率的にGDP(国内総生産)を生み出すよう、増加が望まれます。目標値は、平成2年度(約21万円/トン)から概ね倍増、平成12年度(約26万円/トン)から概ね6割の向上にあたります(図4−1−12)。


図4−1−12 資源生産性の推移


環境負荷の高い資源採取の例  資源採取後、植林を行う例  出典:国際連合大学 谷口正次氏

 「循環」については、循環利用率を設定し、平成27年度において、約14〜15%とすることを目標とします。最終処分量を減らすために適正な循環利用が進むよう、原則的には増加が望まれます。目標値は、平成2年度(約8%)から概ね8割向上、平成12年度(約10%)から概ね4〜5割の向上にあたります。なお、「経済社会に投入されるものの全体量」は天然資源等投入量と循環利用量の和です(図4−1−13)。


図4−1−13 循環利用率の推移

 「出口」については、最終処分量を設定し、平成27年度において、約23百万トンとすることを目標とします。最終処分量は、最終処分場のひっ迫という喫緊の課題に直結した指標であり、一般廃棄物と産業廃棄物の最終処分量の和として表され、減少が望まれます。目標値は、平成2年度(約110百万トン)から概ね80%減、平成12年度(約56百万トン)から概ね60%の削減にあたります(図4−1−14)。


図4−1−14 1990年からの廃棄物の最終処分量の推移

 これら3つの「目標を設定する指標」に加え、[1]土石系資源投入量を除いた資源生産性、[2]低炭素社会への取組との連携、の2つの補助指標について、目標を設定しました。

 資源生産性については、非金属鉱物系資源(土石系資源)の投入量の増減が天然資源等投入量全体に与える影響が大きいという第1次循環型社会基本計画における進捗状況の点検等からの指摘を受け、[1]土石系資源投入量を除いた資源生産性を、現行の資源生産性を補足するものとして、別途目標を設定することとし、平成27年度において約77万円/トンとしています。これは、平成12年度約59万円/トンから概ね3割向上にあたります。

 [2]低炭素社会への取組との連携に関する指標は、改定京都議定書目標達成計画に則り、廃棄物分野の排出削減対策の目標を設定しました。平成22年度において、780万t-CO2の削減を目標にしています。将来的には廃棄物として排出されたものの原燃料への再資源化や廃棄物発電等により代替される化石燃由来の温室効果ガスの排出量を差し引いた、廃棄物部門由来の正味の温室効果ガス排出量に関して目標を設定することが望ましいですが、その算定手法が分野ごとの配分方法等について国際的に共通な理解・合意が得られていないため、知見の蓄積を図っていきます。

 また、今後の施策展開の参考となる指標として、「推移をモニターする指標」を導入しました。

 特に効率的利用が必要な枯渇性資源であり、地球温暖化対策の観点から注目する必要のある「化石系資源に関する資源生産性」について計測します。

 地球規模の環境問題に対する認識を深める指標として、「隠れたフロー・TMR」という指標を盛り込みました。資源の採取等に伴い目的の資源以外に採取・採掘されるか又は廃棄物等として排出される「隠れたフロー」を含む関与物質総量(Total Material Requirement。以下「TMR」という。)は、資源利用の持続可能性や地球規模で与える環境負荷を定量的に表すための一つの目安と考えられます。自然界からの新たな資源の採取を少なくし、金属系資源の循環利用を推進していくことは、我が国の資源利用に伴う国外での環境負荷を減少させることにつながります。また、重量だけでは評価されにくい希少資源等の再生利用の進展度合の評価に活用することも考えられます。3R施策の対象として関係の深い輸入される金属系資源に着目すると、我が国の金属系資源輸入量に関わるTMRが約21億トン(金属系資源輸入量約1億トン(純金属量換算)の21倍)生じているという推計があり、これを計測します。

 なお、TMRの計測にあたっては、本来は金属系資源が採取される各鉱山における鉱石の品位等の情報を正確に把握する必要がありますが、我が国は金属系資源需要の大部分を海外からの輸入に依存しているため、海外鉱山における鉱石の品位等の情報については、必ずしもその正確な把握が容易ではなく、相当程度を推計に頼らざるを得ないデータであることを認識する必要があります。また、資源採取後、改変した環境に植林をするなどの取組によって、与える環境負荷を最小限にしようと試みる取組もあるため、TMRの値自体が直ちに環境破壊への影響度を示すものではないこともある点には配慮が必要です。

 また、我が国にとって、金属系資源の海外からの安定供給確保は重要な課題ですが、その一方で、海外鉱山においては鉱石品位の低下、鉱床の深部化が進む傾向にあり、TMRの数値もこのような事情の影響を受ける可能性もあり、引き続き国際的な知見の蓄積が重要です。

 資源生産性については、我が国全体の指標だけではなく、資源多消費型の財・サービスを中心に個別に推計する「産業分野別の資源生産性」を把握し、より的確な変動の要因の分析を行っていくこととします。将来的には、各国間において産業分野別の資源生産性を算出、比較し、資源の有効利用の度合いを比較することが期待されます。

 さらに、今後の検討課題を整理しました。

 先進国やアジア諸国等との国際的な比較が可能となるように、「国際比較可能な物質フロー指標」の設定について、共通の算定手法の開発やデータベースの構築に取り組んでいく必要があり、国際的な知見の蓄積等に積極的に貢献していきます。特にアジア諸国における資源生産性、循環利用率、最終処分量について、統計の整備を中心に支援を推進していきます(図4−1−15)。


図4−1−15 アジア各国の資源生産性(2004年)

 一方、資源生産性に関連して、GDPの代わりにある企業や製品の価値を置き、天然資源等投入量といった資源の消費量の代わりに環境に与える負荷の量を用いて、環境負荷と財・サービスの付加価値の間の効率性を測る「環境効率」という考え方があります。このため、資源の採取、資源や製品の利用等に伴う環境負荷について、定量的な把握・評価を行うための各種情報の収集・分析や、こうした環境負荷の算出に係るインベントリの整備、特に日本国内の研究所間や海外の研究機関及び国際機関との共同研究の推進などを行っていくことを検討します。

 統計の不備や国際的なコンセンサスのとれていない換算係数に関しても、国際的に共有しうる換算係数の設定に向け、OECDやUNEPでの議論に引き続き貢献し、その成果を活かしていきます。

 イ 取組指標

 循環型社会の形成には、国はもとより、あらゆる関係主体がそれぞれの役割を果たしていくことが重要です。物質フロー指標が我が国全体の循環型社会への到達度を図る指標とすれば、取組指標は、関係主体による循環型社会形成のための手段に関する指標と言えます。関係主体の取組に関して目標を設け、取組を推進するとともに、定量的な把握及び評価をすることで、循環型社会形成に向けた取組をさらに促進する役割を果たします。

 なお、取組指標は、関係主体の各取組が全体の着実な進捗につながることに留意する必要があり、毎年の点検、分析結果を受けて、必要に応じて機動的な変更・拡充を行っていく必要があります。また、これらの指標は、より先進的な地域独自の取組指標を設定していくことも含め、地域における目標設定の参考となることが期待されています。

(第2次循環型社会基本計画第3章第2節「取組指標」より抜粋)

1 目標を設定する指標

(1)廃棄物等の減量化

 ア 一般廃棄物の減量化

(ア)国民、事業者双方に係る取組指標として、「1人1日当たりのごみ排出量(計画収集量、直接搬入量、集団回収量を加えた一般廃棄物の排出量を、1人1日当たりに換算)」を平成12年度比で約10%減とすることを目標とします。


 第1次循環型社会基本計画では、「1人1日あたりの生活系ごみ排出量」及び「1日あたりに事業所から排出するごみの量」について、それぞれ平成12年度比約20%減という目標を定めていました。これらの指標は、ごみ排出量の減量とともに、分別や資源回収に協力することで達成する目標でした。

 第2次循環型社会基本計画では、分別への協力など資源化への努力を評価する指標を引き続き設定したほか、ごみ排出量そのものの減量化に関する目標を設定しました。これは、廃棄物の発生抑制に関する指標、いわゆる「リデュース」に関する指標です。循環型社会形成において最も重要な「リデュース」の取組が促進されることが期待されます。

(第2次循環型社会基本計画第3章第2節「取組指標」より抜粋)

2 推移をモニターする指標

(2)レジ袋辞退率(マイバッグ持参率)、使い捨て商品販売量(輸入割り箸)

 国民によるリデュースに対する取組指標として、レジ袋辞退率(マイバッグ持参率)、使い捨て商品販売量(輸入割り箸)を把握します。


 国民のリデュースに関する取組指標として、レジ袋辞退率(マイバッグ持参率)、使い捨て商品販売量(輸入割り箸)を計測します。

 国民が日常生活において使用する個別の物品ごとに、その使用削減量、再使用量の計測や資源の採取段階から廃棄に至るまでの環境負荷(LCA:Life Cycle Assessment)について、今後きめ細かく検討して行く必要があります。

(第2次循環型社会基本計画第3章第2節「取組指標」より抜粋)

2 推移をモニターする指標

(6)ごみ処理有料化実施自治体率、リデュース取組上位市町村

 地方公共団体によるリデュースに対する取組指標として、ごみ処理有料化実施自治体率、リデュース取組上位市町村を把握します。


 地方公共団体のリデュースに関する取組指標として、ごみ処理有料化実施自治体率、リデュース取組上位市町村を計測します。

 循環型社会の形成には、地方公共団体の役割が極めて重要であることから、地方公共団体の取組については、推移をモニターする指標として、リサイクル取組上位市町村、リサイクルプラザ等の資源化等を行う施設数等、幅広くその取組を把握します。



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